泉の精ぱーと8


ラエルは魔法大学校のお使いで王都街道を歩いていた。

太陽が頭上に差し掛かった頃、ラエルは泉のほとりにいた。

「ふぅ〜、おなかがすいたな。もうぺこぺこだよ〜。
そろそろお昼にしよう。
お昼はおにぎり、おやつはプディング・・・っと」

ラエルは肩から掛けていたカバンから大きな包みを取り出す。

子供の頭ほどもある特大のおにぎり。
「エレノア先生のおにぎりっておいしいんだよなぁ」
がさがさと包みを開ける。

「あっ!」
おにぎりはラエルの手を離れてころころっと転がっていく。

ぽちゃん・・
おにぎりは泉に落ちてしまった。

ざざざざ〜

「わわっ!」
泉の精が現れた。
その手には大きな金の塊と銀の塊を持っていた。

「あなたが落としたのはこの金のおにぎりですか?
それとも銀のおにぎりですか?」

「違うよ。普通のおにぎりだよ。
おなかがぺこぺこなんだからはやくかえしてよ〜」
「正直な子ですね」
にっこり微笑む泉の精に、ラエルが得意になる。

「えっ、いやぁそれほどでも
だっておいら、将来の大魔道師なんだから
ウソついちゃいけないんだ。えっへん!」

「正直のごほうびに両方あげましょう」
「えっ?えっ?」

ラエルは泉の精から金のおにぎりと銀のおにぎりを受け取った。
しかし、子供の頭ほどもある金塊と銀塊は子供にもてるような代物ではない。
当然足元がよろける。
「お、重い・・・」

さらに空腹も手伝って、その場にばったりと倒れてしまった。
「あーーーん!よけいにおなかがへっちゃったよー!」



教訓:食欲(貪欲)は必ず身を食う(源平盛衰記)




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