泉の精ぱーと6〜その3〜


若き日のトーマスは人知らぬ山奥で魔法の練習をしていた。
「シャインブレッド!」

光の雨が湖面に降り注ぐ。
と、急に水面が盛り上がった。

ずざざざ〜
「わわっ!」

現れたのは深いブルーのローブを羽織った魔道師・・・ミッシェルであった。

「あなたですか・・・」

「ラップ!?なにやってんだよ,こんなとこで」
「ちょっとここの管理人に用心棒として雇われたんです」
「用心棒〜!?」
「最近タチの悪い人が多くなったといってましたので」
トーマスの背中に冷や汗が流れた。

「そんなことより、今貴方が落としたのはリーン・カルナシオンですか?」
身の危険を感じたトーマスは慌てて否定する。
「いや、違う!俺はそんな強力な魔法は使えないぞ!」

ミッシェルは極上の笑みを湛える。
「正直な人ですね。
御褒美に私のリーン・カルナシオンをさしあげましょう」

「い、いらねえっ!!」
「遠慮するなんてあなたらしくありませんよ?」
ミッシェルは指をトーマスの方に向ける。
「ほいっと」

「ぎゃあああああ!」


教訓:だました奴をだますことは二倍の喜び(ラ・フォンテーヌ)





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