泉の精ぱーと6〜その2〜


若き日のトーマスが山奥を歩いていた。

こん
トーマスの足が小石を蹴飛ばす。

ざざざざ〜
「わわっ!?」

泉の精が現れた。

「あら?あなたはこないだの・・・」
「そういうおまえこそこないだの・・・」
「まあいいですわ
貴方が落としたのはどんな小石ですか?」

「よし、今度こそ金だ!」

泉の精はにっこり微笑った。
「うそを言ってはいけません。
これはクイズじゃありません」

ざざざざ〜
泉の精は沈みかけた。
「ちょっと待てー!!」

「なんですか?」
「俺はうそついたわけじゃないぞ!」
「ここにあるのは正直な人に上げるための賞品です。
あなたのようなよこしまな心の人にあげるものはありません」
「くそー」

何かを考え込んでいたトーマスはふっと顔を上げて言った。
「じゃ、賭けをしようぜ!」
「賭けですか?」
「賭けなら正々堂々だろ?
俺が勝ったらあんたの手持ちの賞品をもらう」
「え、それはちょっと・・・」
「いいからいいから」

「賞品の中にルーレットはないのか?」
「ありますよ」
「それを使おうぜ」
「でも賞品を使うわけには・・・」
「ちょっとくらい使ってもわかりゃしないって」

賭けがホントに正々堂々なのか考え込みながらも
いきなりルーレットにひきずりこまれてしまった泉の精。

「また俺の勝ちだな」
トーマスのあまりのギャンブル運のよさに、泉の精はすってんてんになっていた。
あっというまにトーマスの手は金の台座、金のネックレス、黄金の剣などでいっぱいになった。

「もうけたぜ♪」
ほくほく顔で帰っていくトーマス。

「しくしくしく」



教訓:悪の根源をなすものは、金そのものではなくして、金に対する愛である(スマイルス)





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