泉の精ぱーと5


ラグピック村に近い川でラップじいさんは洗濯をしていた。

ばしゃ!
横に立てかけておいた物干し竿が川に落ちた。
「おおっとっとっと」

ざざざざー
「な、なんじゃ?」

ベールを深く被った泉の精が現れた。
「あなたがおとしたのはこの物干し竿ですか?」
「なぬ?」

ラップじいさんは腕組みをして考えはじめた。
「はて、どんな竿だったかのお・・
樫の木・・・いやいや、柳の木・・・」

竿を持った泉の精の手がふるふるとふるえている。
「ひどいわ、ミッシェルさん!
私のこと忘れちゃったの!?」

ばさっとフードをはずしてこぼれ落ちたのは
わずかに紫がかった銀色の髪・・・

「私のことを忘れるなんて!」
「あ!まさか・・・」
「おまけに物干し竿だなんてあんまりだわーー!」
「うおおおっ、決して忘れていたわけではないんじゃあーー!」
「あなたなんて知らないっ!」
「ああっ、まってくれーー!」

泉の精・・・もといゲルドは泣きながら川に消えた。
ラップじいさんはその場にくずおれた。

「わしは・・わしはなんてことをしてしまったんじゃぁ・・・」



教訓:幻想は短く、後悔は長い。(シラー)





泉の広場に戻る