泉の精

プレアウッドの森をアヴィン、マイル、アイメル、ルティスの4人が歩いていた。

泉のそばを通りかかったとき、アヴィンが石につまづいた。
「うぉっとっと・・・」
どぷん
アヴィンは泉に落っこちた。
「アヴィン!」
「アヴィン!?」
「おにいちゃん!!」
「まったくそそっかしいんだから、アヴィンは」
マイルが泉を覗き込みながらアヴィンを呼ぶ。
「アヴィ〜ン」

「ん?」
泉にあぶくがわいてきた。
ぷくぷくぷく・・・・
ざばばばば〜
「わわっ!」
「な、何!?」

泉から現れたのは水にぬれた髪も悩ましい泉の精だった。

「落ちたのはこの金のアヴィンですか?それとも銀のアヴィンですか?」

「何・・・?」
「いえ、つぎはぎの・・・」
動揺しながらも冷静に答えるルティス。
「ちょっと待って!」
マイルがルティスを制した。
「ここで金のアヴィンと答えたら『うそついちゃいけません』っていわれて、何ももらえない。
でも、つぎはぎアヴィンと答えたら金のアヴィンと銀のアヴィンももらえてしまうんだよ」
「・・・ということは・・・」
「そう。アヴィンが3人になっちゃうんだ」
「それは困るわ・・・。アヴィンって馬車馬のように食べるんだもの」
「ただでさえ人の3倍食べるのに」
「アヴィンの食事を作るだけで一日終わっちゃうね・・・」
「おにいちゃん一人だけ残るような答えってないのかしら」
「ないとおもうよ」
「こうなったらいっそのこと・・・」
「そうね・・」
「涙をのんで・・・」

「どうなさいました?」
3人は声をそろえて精霊に行った。
「いいえ、何も落としてません!」

「・・・そうですか・・・」
ざざざざ・・・
精霊は沈んだ。

精霊を見送る3人。
「アヴィン・・・君のことは忘れないよ・・・」
「あなたの子供・・・ちゃんと育てるから見守っててね」
「さようなら・・・おにいちゃん・・・」


教訓:いかなる犠牲においても平和を(ラマルティーヌ)






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