36. 436.5MHz 6エレ・エレメント位相式クロスアンテナの製作例(真円偏波ねらい) 2015/10/3
目次に戻る de JA1CPA 中村
4-1. 全面的に再検討しました 2015/10/11 まだ一部工事中
・435MHz 6エレメントクロス八木を使って円偏波の回転方向を再確認しました。 2016/7/25
↑↑(今までの回転方向は間違えていました)2016/7/25
ホームページを下記に移転しました。
https://ja1cpa.jimdo.com/
d12. に移転しました。
・このアンテナは、マッチングケーブルや円偏波のための位相ケーブル等を使わずに円偏波※※1アンテナにして、50Ω
の同軸ケーブルを直接接続できる欲張ったアンテナです。
『このアンテナは、クロスするラジエーターの水平と垂直エレメントの長さを変えて、水平(垂直)エレメントを共振周波数より長くして誘導性にし
、垂直(水平)エレメントを共振周波数より短くして容量性にして、90°近い位相を作って円偏波にし、誘導性と容量性をほぼ同じ値にして目的
の周波数で共振させ、さらに水平と垂直エレメントの長さの差を付ける事によって結果的にインピーダンスが高くなる事が分かったので、この性
質を利用してクロスする部分のインピーダンスを高くして、クロスする2つのラジエーターを並列接続で50Ωにして同軸ケーブルを直接 接続す
るアンテナです』
このアンテナは、円偏波の軸比を出来るだけ小さく(真円偏波ねらい)するようにしました。円偏波の検証しました。
そのためには、エレメント数の割にはゲインとF/B比をあまり大きくしないようにすると真円に近く出来ることが分かりました。
1. 外 観 Y Z
2. MMANAによるシミュレーション
・特性表 ↓ JAMSAT5005円アンテナの11dBi とほぼ同じ
↑ ゲイン、F/Bを控えめにすると円偏波の軸比が良くなる ↑
・アンテナパター、SWR特性等 ↓↓
↑ 自由空間 水平向け ↑ 自由空間 上向け 軸比0.5dB
↑ 地上高 8m 上向け ↑ SWRが割とフラットなので多少製作誤差が有っても
特性は変わらないと思いますが?
3. アンテナ寸法等 全面的に再検討しました
4. 作 り ま し た。(アルミブーム、アクリル樹脂絶縁) 全面的に再検討しました
同軸ケーブル出口 ↑
↑ クロス部は3tアクリル板で作ったが割れやすく少し強度不足。 5tポリカーボネイト板(耐候性)が良いか?
↑ シミュレーションとかなり違っていますが、SWRはそこそこです ↑ 436.5MHz e長で測定
↑ 436.5MHz 任意長で測定 |Z|、R が高くなった。X がやや多い
シミュレーションと少し多く違っています。エレメント寸法、間隔等は間違い有りません。
ただし、ラジエーターがクロスする部分で、クロス中心から各3mm外側にするところを垂直エレメントが各4mm(間隔が
2mm広い)、水平エレメントが各2mm(間隔が2mm狭い)となっている模様です。とりあえずこのままにします。
4-1. 全面的に再検討しました。(2本目、塩ビブーム、塩ビ絶縁) 2015/10/11
・ブーム、ラジエータークロス部をすべて塩ビパイプと塩ビフランジで作りました。ラジエーター以外のエレメントは前作を
流用しました。
ラジエーターのクロス部分の加工はプロクソン マイクロ・クロステーブルを小型ボール盤に取り付けてφ4エンドミルで行
いました。ラジエーターのクロス部寸法は、一番正確に安定しています。
特性は前記のアルミパイプとラジエータークロス部をアクリル板で作ったものとほとんど同じになりました。
・修正シミュレーションを行いました
当初のシミュレーションが下表です。
これに基づいてアルミパイプのブームで作った実測値が下表です。(上記アナライザー写真より)
Rが約20%も低くなっています。
上記の実測値を修正シミュレーションをして再現したのが下表No.1です。これはラジエーター線径をφ4からφ7にしたもの
です。jXの修正シミュレーションはインダクタンスまたはリアクタンスを集中定数としますが、抵抗成分(R)を可変する場合
はラジエーターエレメント径を可変することで行いました。
これをラジエーター寸法を修正(Ravを150から146に修正)してシミュレーションしたのが、上表No.2です。
下図の左は上表No.1のパターン(軸比2.8dB、実測2.2dB)、右は上表No.2のパターン(軸比0.5dB)です。
・修正シミュレーションした寸法に修正(Rav150を146にした)して特性を測定しました。シミュレーションと一致した!
長短差を測定しました。2015/10/12
長短差∶0.8~1.0dB
ゲインはA430S10R(13.1dBi)比較で 8.3dBi となりシミュレーションより2.62dBi低くなりました。
これについては、下記(6.長短差の測定)に記載します。2015/10/12
・ブームをアルミパイプて゜作ったものと塩ビパイプで作ったものが、ほぼ同じ特性になり特に抵抗成分(R)が約20%も低く
なった原因は不明です。特に抵抗成分(R)は今までこんなに大きく違ったことは有りません。 どこかな~?
絶縁材料の影響かと思いますが、形も違うアクリル板と塩ビがラジエーターとの接触面積も違い、ほぼ同じ特性になるとは
考えにくい。アクリル板の部分をポリカーボネイト板で実験します。 2015/10/11
・もう一本作りました。(3本目、アルミブーム、ポリカーボネイト樹脂絶縁) 2015/10/13
このアンテナの長短差を測定しました。
実測軸比∶1.6dB 2015/10/18
前記の2本より、
このアンテナが一番シミュレーションに近い特性です。
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5.円偏波の検証 その1、
今まで数多くエレメント位相式のアンテナを作ってきました。
理論的には円偏波になることは確認していますが、現品が本当に円偏波になっているかの検証はしていませんでした。
ここで簡単に出来る方法で確認しました。ただし右旋、左旋の違いについては検証できません。
← 図1
1. エレメント位相式クロスダイポールを2階ベランダから45°下向けにして送信する。(大地反射を軽減するために45°と
する)
2. 送信側アンテナに対向した受信側アンテナ(上記で作ったアンテナ)でレベルを測定する。
3. 送信側アンテナの前後(裏表)をひっくり返して円偏波の旋回方向を変えて送信する。(旋回方向が反転すると考えた)
4. 受信側でレベルを測定して、前測の値の差を求める。
5. 正方向と逆方向の差∶測定結果∶22.9~30.9dB となった。(電圧差から計算したので正確ではない)
6. 測定結果にバラツキが有るのは、受信側アンテナのブームを90°変えた時の変化で、特にレベルが小さい方の変動が
大きく約8dB有ったためで有る。
7. この差は送信側がダイポールで有るために後ろに出た電波が建物に反射しているためと考えられる。従って前後比も
一般に云われている旋回方向の違いによる差より少なくなっていると考えられる。(一般には40dB以上とも)
8. 結論としては、円偏波になっていると考えている。(右旋、左旋は特定していない)
6. 長短差の測定
修正シミュレーションの結果をラジエーターに反映させて再測定の結果は、上記のように長短差∶0.8~1.0dBとなりました。
ゲインについては、上記のようにダイヤモンド430MHz10エレメント八木A430S10R(13.1dBi)長短差で 8.3dBi となりシミュレ
ーション値10.92dBより2.62dBi低くなりました。
しかし、これは直線偏波の送信電波を直線偏波アンテナで受信した値と円偏波アンテナで受信した値を比較したもので、
この場合は円偏波アンテナは-3dBとなるので、2.62dB減で有れば+0.38dBなので、シミュレーション値10.92dBより0.38dB
多いことになり、このアンテナのゲインは10.92+0.36=11.28dBとなります。
なお、このゲイン測定には測定誤差が1~3dBぐらいは有ると思われるので、大まかにシミュレーション値に近い特性だと
認識しています。
円偏波を直線偏波アンテナで受信した場合と円偏波アンテナで受信した場合を比較すると直線偏波アンテナが-3dBになる
はずですが、円偏波アンテナの軸比が大きく関係するので(軸比が3dB有ると直線偏波アンテナとの比較が相殺される?)
大体の傾向を掴む程度の認識しかできないと思いますが、いずれやってみたいと思います。 2015/10/13
・その後の測定 2015/10/18
左旋円偏波6エレメントクロス八木アンテナで電波を出し、10エレメント八木アンテナと別の左旋円偏波6エレメントクロス八
木アンテナを比較受信しました。
結果∶10エレメント八木アンテナ---------------------------- 0dB
別の左旋円偏波6エレメントクロス八木アンテナ--------- +1.2dB
となり10エレメント八木アンテナのカタログ値13.1dBiなので、円偏波を直線偏波で受けたので-3dBすると10.1dBiとなる。
一方で測定した別の左旋円偏波6エレメントクロス八木アンテナは10エレメントに比して+1.2dBだったので11.3dBiとなる。
この種の測定には誤差が有るので、このアンテナはシミュレーション値10.92dBi付近だと思われる。
まとめ
直線偏波アンテナ送信 直線偏波アンテナ受信 0dB
直線偏波アンテナ送信 円偏波アンテナ受信 -4.8dB(-3dBする)
円偏波アンテナ送信 直線偏波アンテナ受信 0dB(-3dBする)
円偏波アンテナ送信 円偏波アンテナ受信 +4.2dB
この実測では直線偏波と円偏波の差は4.2~4.8dBとなった。(理論値は3dB)
2本の円偏波アンテナの軸比は1~1.6dB
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7. 円偏波の旋回方向の検証(右旋円偏波、左旋円偏波) 2015/10/17 2016/7/25
円偏波の右旋円偏波、左旋円偏波を確認するために既知の円偏波衛星の電波を受信して確認します。↑ φ4 シミュレーションでは軸比1.5dB ↑ φ6 シミュレーションでは軸比1.5dB
気象衛星NOAA-15,NOAA-18,NOAA-19等は、右旋円偏波で電波を出しています。
その137.50MHz受信のための円偏波クロスダイポールアンテナを作ります。(左右は半固定で切り替える)
←受信用なのでRがやや高く
ても可とする。
↓ φ4で作製した ↓
← ↑アンテナから約10mの5D-FB
経由で測定した
工事中右旋円偏波、左旋円偏波を
切り替えてNOAAを受信して検証中
かなり難しいです!
大地反射が大きいので円偏波の回転方向が分かりにくくなっています。
・ヘリカルアンテナを作って回転方向の確認 2015/10/19 2016/7/25
↑ 送信用435MHz帯ヘリカルアンテナ(SWR1.8) ↑ 受信用435MHz帯エレメント位相式クロスDP ↑ ↑ これが怪しくなってきた。今までの回転方向は間違っていました。2016/7/25
左巻きヘリカルアンテナから435MHz帯で電波を出し、受信用435MHz帯エレメント位相式クロスDPで受信してDPの裏表
(左旋円偏波、右旋円偏波)のレベル差を測ったらDPの左旋円偏波が6.5dB強かった。
←その時のエレメントの状態は、左図の通りで有った。
一応、今まで考えていた回転方向が正しかったようです。
・435MHz 6エレメントクロス八木を使って円偏波の回転方向を再確認しました。 2016/7/25~27
1. 送信アンテナ ①エレメントをクロスしてブームの前後に1/4λずらして配置し同相給電した。
②右旋円偏波と左旋円偏波の切り替えは1本のラジエーターを180°変えた。
2. 受信アンテナ ①受信アンテナA:片側のラジエーターに1/4λ同軸ケーブル接続した。
②受信アンテナB:エレメント位相式(左旋円偏波のつもりだったが!)
3. 測定値
①偏波が一致した時、
受信アンテナA,Bが -39~-41dB
②偏波が不一致の時、
受信アンテナA,Bが -51~-57dB
③偏波の一致/不一致の差 10~18dB
④上記の①②は各2回測定しほぼ一致した。
エレメント位相式の回転方向は当初
左旋円偏波だと考えていたが上表の
ように右旋円偏波だった。
上表の直線偏波(最大値)は6エレメント八木アンテナ(直線偏波)で参考値。 図1(左下)を改めて見て納得した。
4. 回転方向 ↓ 図1
短エレメントと長エレメントが接するA点に同軸ケー
ブルの芯線から短エレメントと長エレメントに同相の
電圧が加わると短エレメントは容量性なので位相が
進み、長エレメントは誘導性なので遅れて短エレメント
と長エレメントの差は90°近くになる。
(編組側も同様)
ただし、短エレメント側と長エレメント側に電力を等し
く2分して加えると長エレメント側の放射が強くなるので
円偏波にするためには少し不均等にする必要が有る
と考えられる。シミュレーションでは、これらを総合して
上図で左旋円偏波にするには垂直を長くし水平を短くする。 パターンの断面を真円になるように繰り返す。
5. アンテナの写真
送信アンテナ
↑ 左旋円偏波 ↑ 右旋円偏波
↑75ΩQマッチ接続↑
↑下側ラジエーター左側 ↑下側ラジエーター右側
受信アンテナ
←上図(図1)の接続
↑右旋円偏波 1/4λ同軸ケーブル ↑右旋円偏波 エレメント位相式
左側に2/4λ長、右側に3/4λ長 上側短エレメント+右側長エレメント
75ΩQマッチ付き 同軸ケーブルの芯線を+接続している
下記は上の写真の接続詳細です。
円偏波の回転方向の詳細な接続を書いたものが無いので記述しましたがこれで正解かどうか自信が有りません。
6. 測定状況(例:1200MHz帯測定中)
←右上が送信アンテナ
←左下が受信アンテナ
おわり 目次に戻る