44.  145.9MHz モノポールアンテナの利得の検証      2016/9/25  de JA1CPA 中村  
                              目次に戻る

一般的に1/2λダイポールの利得は2.15dBiで有ると記されている。
一方で1/4λモノポールの利得は、多くの書籍を調べても書いてない。
Webを調べたら次の説明が有った。

垂直ダイポールアンテナの放射電力をPd、入力電流をIdとすれば、放射抵抗は73Ωなので
Pd ≡ 73 × Idの2乗となる。
無限地板上のモノポールアンテナはλ/4の垂直接地型アンテナと同じ意味だろうと思い、
このアンテナはダイポールアンテナの半分なので電力Pv、電流Ivとすれば、放射抵抗が36.56Ω
なのでPv ≡ 36.56 × Ivの2乗 となる。
これらのアンテナからd[m]だけ離れた場所の電界強度Eは、実効高をheとすれば、
E = (60πIdHe) / λd [V/m]で表される。
この式を使って、放射電力Pを代入すると、
Er = 60I/d = 60/d × √(P/73.13) = (√49.2P)/d = 7√P/d 、λ/4垂直接地アンテナの放射
抵抗は36.56Ωなので、E = 60/d × √(P/36.56) = 9.9√P/d = √2×7√P/d つまり、同じ
電力ならば、電界強度は√2倍になり、電界強度が√2倍であれば単位面積あたりの受信電力は
2倍になるので、+3dBの利得があるのと同じである。
この計算過程が正しいとすれば、利得はダイポールが2.15dBi、λ/4垂直接地アンテナのゲイン
は3dBアップの5.15dBiとなる。
実際のλ/4垂直接地アンテナでは、大地の電導度、接地抵抗、ラジアル(接地面を作るために、
四方八方に向けて展張するλ/4の地線)、周囲を取り巻く状況などがあり、あまり理想的には行
かず、輻射効率(受信側から見れば送信アンテナのゲインと同じ)が落ちると考えられる。


すなわち、ダイポールに比べてモノポールは放射抵抗が1/2なので同じ電力で有れば電流が2倍
になり電界強度が√2倍、受信電力は2倍になってダイポールより+3dBとなり2.15+3=5.15dBi とな
ると云うことらしい。

以下 145.9MHzモノポールをMMANAシミュレーターで検証した。

  ↑φ3.2×489.3mmエレメントを大地に垂直に設置した。


  ↑ X,Y,Zの交点と大地間に給電した。○印


  ↑ No.7、No.1は完全導体グランド(大地)、利得5.14dBi
    No.6は0.2m長ラジアル10,000本、利得5.11dBi
    No.5は0.2m長ラジアル1,000本、利得5.00dBi
    No.4は0.2m長ラジアル100本、利得4.52dBi
    No.3は0.2m長ラジアル10本、利得2.28dBi
    No.2は0.2m長ラジアル4本、利得0.03dBi
グランドの状態(ラジアルの数)により利得が変化し、完全導体で有れば5.14dBiとなった。


          ↑ 水平面パターン


            ↑ MMANA-GALによる3Dパターン

 ★ 考 察
   Webの記述と一致したが、正しいかどか もう少し検証が必要と考える。

          目次に戻る               おわり