34. 28.120MHz 衛星通信用 1/2λダイポールの検討     2015/6/21       de JA1CPA/中村

     エレメント位相式クロスダイポールも検討しました                目次に戻る

28Mhz帯の衛星通信用としては、AO-7の受信用として、29.450MHz エレメント位相式クロスダイポールを使ったことが
有りますが、最近上がったNO-84(PSAT)は28.120MHzでアップリンクすることができます。

ただし、28.12MHzは日本のバンドプランでは「衛星」に区分されていないのでアップリンクできないかも知れません。
厳密には、衛星の受信も出来ない?。
受信単独なら良いが他の周波数でアップして28MHz帯を受信して通信することはできない。29MHz帯は「衛星」区分が有
るのでAO-7、Aモード(29.450MHz±)は衛星通信が可能です。
  ↓ 下段にも記述 ↓
JARLに問い合わせしていましたが、回答が来ました。最下段
                                                          PCがチョットおかしい?
まずダイポールを検討しました。
条件としは、「SWRが1.5以下。打上角(仰角)が高くて出来るだけゲインが有る。建設が容易」です。


☆ 1/2λダイポールの地上高に対してエレメント長を変えて、共振(jX±約1.0以下)させた時の、条件をシミュレーション
  しました。
 



  1.5mH  El 32° 3.1dBi←→90° 6.10dBi←→148° 3.1dBi     2mH El 27° 2.26dBi←→90° 5.26dBi←→153° 2.26dBi


  2.5mH  El 25° 1.59dBi←→90° 4.59dBi←→155° 1.59dBi    3mH El 20° 1.30dBi←→90° 4.30dBi←→160° 1.30dBi


        6mH  7.42dBi El 24° -3dB>12~40°              8mH 6.76dBi El 18° -3dB>8~32/60<°
           ↑ これはDX向き ↑                       ↑ El 60~120°で約5dBi ただしSWR1.45
                                            ↑ El 40°付近を無視すれば衛星通信用


          参考 15mH  7.10dBi  El 9.9°                 参考 30mH 7.63dBi  El 5.0° 

 V又は逆Vダイポールにするとインピーダンスが低くなるのでシミュレーションしました。

                ↑ El 30° 2.6dBi←→90° 3.2dBi←→150° 2.6dBi
  LOS(dB) = 20*LOG((4*3.14*400*10^3)/10.67) = 114 dB  400km空間ロス(天頂)
 LOS(dB) = 20*LOG((4*3.14*1000*10^3)/10.67) = 122 dB 1000km空間ロス(El 30°) 天頂との差 = 8dB


                ↑ El 30° 4.0dBi←→90° 3.2dBi←→150° 4.0dBi
 EL 30° 1000kmの空間ロスが天頂400kmより約8dB多いが天頂ゲインが-1dBなので可とした。


EL 25° 1200kmの空間ロスが天頂400kmより約9dB多いが天頂ゲインが-8dBでも可とした。

☆ 考 察
 ①地上高1.5m~2.5m,5.5m~8mでSWR1.5以下となります。
 ②仰角は、地上高1.5m~3mが-3dB以内になりますが4m以上では低く(NG)なります。
 ③ゲインは、地上高1.5m,2m,6m以上で高くなります。
 ④以上の検討では、給電点の地上高を3.5mにして
V型にした時が、最も衛星通信に適したダイポールと言えるようです。
 ⑤エレメント位相式クロスダイポールにするとEl 25°以上で約dBi のゲインとなります。軸比は8dBと楕円形(まゆ形)。
なおシミュレーションでは大地が理想的な平面としているので、実際の地形(樹木等の有無等)によって変化すると思われ
ます。

特に波長に対して地上高が低い今回の場合は、その影響は大きいと思われますのでシミュレーション通りでは無い可能性
が有ります。

☆ アマチュアバンドプラン  JARLホームページより  



このバンドプランは、主に占有周波数帯幅に起因する電波の型式による区分と、衛星、レピーター等の業務による区分が
混在しています。28MHz帯で衛星通信業務に使えるのは29.30~29.51MHzのみとなります。
世界的に衛星通信の活性化のために、ますますHF帯を使ってUP/DOWNする衛星が出てくることが考えられます。
そのために、衛星通信にはバンドプランを柔軟性を持たせたものにする必要が有ります。(別途 提案します)
QSO(衛星通信)しなければ良い?(ループテストのみとか)との解釈も有る様なので、JARLに問い合わせ中です。
JARLからは、まだ回答が来ていませんが、検討中の返信を貰っています。2015/6/26


☆電波法では?(衛星通信関連部分)  2015/6/27    
・・・・・2012/2013年版(平成23年12月15日発行)・・・・・・
注5 衛星通信を行う場合に使用することができる周波数の電波は、(5)の周波数の電波に限る。
注6 (6)の周波数の電波は、衛星通信を行う場合に限り、使用することが出来る。ただし・・・・

・・・・・2015/2016年版(平成27年3月1日発行)・・・・・・
備考3 周波数の欄に定める各周波数は、別に注で定める場合を除き、次に掲げる場合に使用する事はできない。
  (1) 衛星通信  (2) ・・・・  (3) ・・・ 
注6 備考3の規定にかかわらず、この周波数の電波は、衛星通信を行う場合に限り使用することができる。
今回の改正で 備考3 が追加されました。実際的には改正前と同じですが、すべての周波数で衛星通信を禁止しているのは
何とも不気味!!!と感じるのは当局だけでしょうか。 

☆JARLから下記の回答が来ました。
(原文のまま)  2015/6/29
「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別を定める告示」によりこの周波数でのアマチュア衛星への
uplinkはできません。通常の通信(CWと狭帯域データ)を意図した通信が衛星によりダウンリンクされた場合は問題とはなら
ないと考えます。残念ですが、衛星通信を意図した通運はNGです
。                                                    

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 おわり