32.435MHz 3エレ・エレメント位相式クロスアンテナの製作例                2015/2/21
            3elePSX                                           目次に戻る
   下記に左旋円偏波と記されているのは間違いで、右旋円偏波が正しい。訂正します。

このアンテナは、マッチングケーブルや円偏波のための位相ケーブル等を使わずに円偏波アンテナにして、50Ω同軸ケ
ーブルを直接 接続できる欲張ったアンテナです。
  このアンテナは、クロスするラジエーターの水平と垂直エレメントの長さを変えて、水平(垂直)エレメントを共振周波数より長くして誘導性にし
   、垂直(水平)エレメントを共振周波数より短くして容量性にして、90°近い位相を作って円偏波にし、誘導性と容量性をほぼ同じ値にして目的
   の周波数で共振させ、さらに水平と垂直エレメントの長さの差を付ける事によって結果的にインピーダンスが高くなる事が分かったので、この
   性質を利用してクロスする部分のインピーダンスを高くし、2つのラジエーターを並列に繫いで、50Ωにして同軸ケーブルを直接 接続するアン
   テナです』

そのためも有ってか、各部の寸法誤差が特性に大きく影響します。
特にラジエーター回りの製作精度が影響して『調整』をしないと必要なSWR等を得ることができません。
その調整も八木アンテナと比べると難しく、シミュレーションでラジエーターの長さを算出して可変しないと、必要な特性を
得る事は難しいと思います。
MMANAとAA-1000を、ある程度使いこなせることが必要です。
従って『誰でも、作れば、性能が出る』アンテナではありません。
難しく困難に挑戦したい人は、作ってみて下さい。

1.外 観



2.MMANAシミュレーション



                                             4.5dB  


3.各部寸法、加工組立参考図など
  
  170.9/148.3の所にニッパーで歯あとを
  付けて90°に折り曲げる

  
同軸ケーブルの芯線(5mm)又は編組(5mm)
をラジエーターの穴に差し込んで半田付け
後に
アクリルラッカースプレー吹きつけ。


                                              ABS樹脂板でやりましたが、使えるようです。
 エレメントは全てブームから絶縁する               メーカー製のアンテナでもABSが使われているようです。
 廣杉計器(株)(C-420-6、スペーサー)で絶縁する


 3D-2Vを1/2λ✕1では短く、1/2λ✕2にしたら長すぎました。(ケーブルロスが増える!)

5.測定 (測定ケーブルは1/2λ✕n倍) AA-1000で測定

 
↑↑ 作ったままです。ほぼシミュレーション通りですが、X4.8Ωをもう少し小さくすればSWR最低がもう少し下がるか。

6.仮説1(MMANAによるシミュレーション、寸法単位はm)
最も寸法が出しにくい同軸ケーブルの接続部の芯線と編組の長さを、シミュレーションではそれぞれ5mm、幅3+3=6mm
としました。5mmの寸法はラジエーターφ4の中心からなのでラジエーター周囲からは3mmとなって、この寸法が実際には
5~7mmと+2~4mm長くなっている模様です。この値を入れてシミュレーションしました。

 
初期シミュレーション(-0.005)                          jX-0.244 

         
jX4.813   jXが現物の4.8にX1を大きくしたら-0.00862と、-0.005から3.26mm長くなった  
従って、現品は同軸ケーブル芯線及び編組がそれぞれ3.62mm長くなっている模様である(他の誤差も含む)

7.仮説2
X4.8をラジエーターの中心にインダクタンスを入れた場合をシミュレーションしました。L=0.001845μHにするとjX4.8となった。

                        
0.001845μHを入れると  ⇒    jXが4.8026Ωとなった(現品と同じ状態)
注)Xが-(容量性)になった場合は、キャパシタンスに置き換えて、それを打ち消すラジエーター長を計算する。

8.修正シミュレーション
シミュレーションでX4.8をインダクタンスに置き換えて、それを打ち消すラジエーター長を計算しました。(仮説1も同じ結果)
                         
↓↓0.001845μで0.17204 にすると ⇒jX0.033となった(共振状態)

その結果、Rav172.04-170.9=1.14mm長くすれば良いことが分かった。

9.修正(調整)

Ravの先端にφ2銅棒を長さ3mmにして半田付けした。(両端)
(φ4より細いので1.14mmより適当に長くしたhi)


10.再測定
調整後の測定データ
   435.0MHzでSWR1.04

                                             シミュレーションは、R51.583 jX0.033 SWR1.03
                            ↑  ピタリと一致 しすぎ?
SWR最低ポイント





11.ABS板をアクリル板に変更しました。  2015/2/21pm
3エレの場合は強度は不用なので、ABS板(黒)を3tアクリル板(半透明)に変更しました。 見た目はいい



ABSをアクリルに変更したためか、寸法誤差でラジエータークロス部が変わったのか不明ですが、Xが10.0Ωになってし
まった。 

修 正

Ravをさらに3~4mm長くしました。(両端)(φ2全長6.5mm、7.0mm)
φ2で細い方が長さの変化に対して特性の変化
はブロードになるのでやりやすい。


アクリル板、3t✕18✕110
この方が、見た目が良いかな!


再々測定
再調整後の測定データ   435.0MHzでSWR1.06



SWR最低ポイント

円偏波軸比:約4dB(実測値)


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おわり