23. 436.5MHz 15ele エレメント位相式クロス(PSX)八木アンテナの例 2014/11/5 de JA1CPA/中村
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作る場合は、下記↓を参考にしてください。
435MHz 14エレ・エレメント位相式クロスアンテナの製作例(ロングブーム)
このアンテナは、ここに記載の性能が再現できるか不明です。
このアンテナは、再現性が少し不安定なのと多エレメントにすると軸比(円偏波の程度)があまり良くないので、他の
システムのアンテナを検討しています。 2014/11/20
★アンテナのゲインを測定しました。 2015/1/29
このアンテナは、クロスするラジエーターの水平と垂直エレメントの長さを変えて、水平エレメントを共振周波数より
長くして誘導性にし、垂直エレメントを共振周波数より短くして容量性にして、90°近い位相を作り、誘導性と容量性
をほぼ同じにして目的の周波数で共振させで円偏波にし、クロスする部分のインピーダンスを50Ωにするアンテナ
です。
この事によって、マッチングケーブル、位相のためのケーブル等を無くし、円偏波(実際には楕円偏波)アンテナに50
Ω同軸ケーブルを直接接続できる欲張ったアンテナです。
1.シミュレーション結果(MMANAによる) ↓ クロス中心部分間隙を8×8mmにした
↓ SWR
↓ ↓ ↓
↑ ゲイン 14.9dBi
↓ ↓ EL80°の軸比 5dB ↓ シミュレーションTXT
2.各部の寸法 下図を入れ替えました。2015/1/9
163+181 2014/12/20修正 2015/1/9修正
↑ Ra(ラジエーター)は、344=163+181 を+部分で90°に曲げる エレメント公差は±0.1にする。↑
Rahと Ravの組み合わせによっては特性が出ない場合があります。(検証中)
A 部詳細図↓□15×1.5tアルミパイプ(ブーム)
↓φ6穴にφ4.2×φ6×20のスペーサーを入れてからエレメントを入れる、Ra以外は同じ
↓アクリルバー詳細図
←今回は長穴にしなかったのでブームの水平
位置調整が出来なかった
3.製 作
・材 料
①ブーム:□15×1.5tアルミ角パイプ 2m、1m 各1本
②ラジエーター:φ2真ちゅう棒 1m 1本
③エレメント:φ4アルミ棒(A5052) 1m 10本 又は 2m 5本
④アクリルバー(上図) 4本
⑤同軸ケーブル:5D-FB(先端はNJ-5DFBコネクター付き) 0.5m
⑥スペーサー:廣杉計器(株) C-420-6 26個
⑦M 3×10タッピングネジ、φ3φ6平ワッシャー 各24個
⑧接着剤 1本
⑨アクリルラッカースプレー(クリヤー) 1本
⑩横マスト φ30H-VP継ぎ手、パイプ 1本
⑪同軸ケーブル 5D-FB 片側N-P付き 1/2λ整数倍長 ※ 1本
・エレメント加工↓
エレメントを指定寸法±0.1で仕上げる
長さのマークを付ける
両端は面取りをする
なお、寸法合わせは、A5052が硬いの
で小型グラインダーを使うと良い
・組 立
↑接着剤で固定する ↑ラジエーターに同軸ケーブルを半田付けする
同軸ケーブルはラジエーターとリフレクターの間の
角から引き出す。
・ラジエーターだけでSWRを測定(室内)した↓ アナライザーはAA-1000 ↓フロント方向を見た図
この製作記事では、分かりやすくするために水平エレメント、垂直エレメントと表現したが、設置は45°(X字)に
してエレメントに水滴が滞留しないようにする。(雨で水平エレメントに水滴が貯まるとSWRが大変化する)
↑クロス部はアクリルラッカースプレーを吹き付けて防水絶縁する↑
・屋外で測定し調整した
①特にリアクタンス成分が410~437MHzぐらいまで-10~-15Ωとなって完全に共振していない状態で有った。
②抵抗成分は436.5MHzで38Ωとやや低く周波数を高くするとさらに低くなっていた。(実際にハンダ付けした同軸ケ
ーブルは1/2λにしていなかったので実際の抵抗成分は高かったと思われるので逆になっていた模様)
・ラジエーターの調整
①室内の状態とあまり変わらなかったのでラジエーターを前後に曲げてみたが大きな違いは出なかった。
②調整後の現品の状態(短エレメントを短くした。164.5⇒161.4及び 159.7)
←↑調整後のデーター
共振状態が比較的平坦になった
・現品の寸法状態をシミュレーションした結果 調整前のシミュレーションとほぼ同じだった
↑ 中心周波数は435.0MHz
4.・・・
このアンテナのラジエーター部分の共振周波数は長くすると周波数が下がり短くすると周波数が上がるとは限らない。
その差も影響する。従ってその組み合わせは無限に近く存在する感じがする。
製作は、やはりクロスする部分が少し難しい。今回はアクリルバーを自作したが寸法精度が悪くラジエーターとD1
デレクターの寸法差が悪く1mm近く狂ってしまった。ここは長穴にして調整できる必要が有った。(図面は修正済み)
ラジエーター以外のエレメントにφ4のA5052材を使った。これは強度が有り硬いので、製作後に移動の都度に
あちこちにぶつかったても曲がる心配が無い。純アルミは柔らかいのでぶつかるとφ4でも曲がってしまう。
ゲイン、QSB等は、実際に上げて衛星の電波を受信して見ないと分からない!
今上げているアンテナも同じ15エレメントクロス八木(1/4λ位相ケーブルによる円偏波、分配器によるマッチング)なの
で、何れは交換して比較たい。
(注意)2014/12/17
クロス八木を支えるマストの影響を調べました。
ブームの中間付近にブームを支えるマストが無い場合は、R51.6-jX0.4、SWR1.02でしたが、φ30の金属にしてエレメン
ト中心(ブーム中心)までにすると、R62.2+jX0.45、SWR1.24と悪くなります。(φ30パイプ無しで計算しているので)
φ30の金属をエレメント中心(ブーム中心)から300mm(約1/2λ)離すと、R51.82-jX0.62、SWR1.04となり、ほとんど影
響しなくなります。
従って430MHz帯のクロス八木は、ブーム中心から金属パイプ等を1/2λ以上離す必要が有ります。
通常の八木アンテナは、マストをエレメントと90°にすれば全く影響しません。ただし垂直偏波で垂直マストにすると影
響します。
★アンテナのゲインを測定しました。 2015/1/29
・測定方法 (ここも参考にしてください)
測定基準にしたアンテナ:、A430S10R(10エレ) 周波数 430〜440MHz、VSWR1.4以下、利得 13.1dBi、(第一電波製)
1.430MHz帯の周波数を約3.5mの2階のベランダから、約45°下向けで6エレ八木を水平偏波で送信した。
2.地上1.5mで約45°正面上向けで受信し、電測計のアッテネーターを5dBとした時のデジボル電圧を「基準電圧」と
した。
3.次に比較測定アンテナをラジエーターを同じ位置、送信アンテナ正面に垂直、水平(+状態)にして「基準電圧」と
同じ値になるようにアッテネーターを増減した。
4.測定アンテナを90°回転して、「基準電圧」と同じ値になるようにアッテネーターを増減した。
・測定値
基準電圧との差:-1.1dB、90°回転の差:1.0dB
・結果
測定基準にしたアンテナのゲイン(カタログ値):13.1dBi+1.1dBi=14.2dBi(ラジエーターは真ちゅう)
円偏波軸比:1.0dB
MMANAシミュレーション値:14.9dBi(上記)
・考察
ゲインは、ほぼシミュレーションに近い値となったが、もう少しアップしたい。(メーカのカタログ値は信用できるかな?)
円偏波軸比は、非常に良いが周囲や地上反射の影響か?。
(共に八木アンテナで水平、垂直にした場合は約20dBぐらいの差。本来はもっと差が有るはず)
斜め上から八木アンテナで電波を出して、できるだけ地上反射の影響を少なくした。(アンテナ工学ハンドブックにスラントレンジと)
送受信アンテナの間隔が少し足りないかも知れない。(もう少し暖かくなってから、ゆっくりとやりたい)
なお、前に作った6エレメントPSX、8エレメントPSXについては、1本はクロス部で同軸ケーブルがショート断続、もう1本
が半田付け不良発生の模様。
クロス部の半田付け方法の再検討が必要。
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おわり