12.衛星の高度計算(地表からの高度)   ☆目次に戻る    2014/8/17    de JA1CPA/中村

                TeikyoSat-3及びArtSatの↓↓TLE毎の再突入日は最下段に掲載↓↓

 衛星の高度計算はSatEvo等を使ってパソコンで計算出来るが、ここでは衛星の周期を測定し、その周期から
 エクセルで計算する方法を紹介する。
 この原典は、まだコンピュータが無い時代にドップラーから衛星のMELを測定し計算するものであり、「アマチ
 ュアの衛星通信」日本AMSAT編 昭和49年11月30日発行によった。(amazonで時々古本が出ている)
 なお、MELの一致するAzはCALSAT32を使用して求めた。
 注)衛星が赤道に直角に上昇、下降していれば、MELから次のMELで正確な周回時間となるが、実際の衛星
   は赤道に対して傾斜している。
   そのために、北上オービットで右に傾斜している場合は角度に応じて、次のMELは実際の周回時間より長
   く測定される。
   そのために最初のMELのAzとそれ以降のMELのAzが一致していれば、その合計周回数の合計時間は正
   しい合計周回時間となる。(MELの大小は関係しない)

 衛星の高度は地球を一周する時間が決まると自動的に決まってしまう。
 従って衛星のMELから次のMELまでのAzが一致した時間を正確に測定できれは計算することができる。
 また、数日間のMELのほぼ一致するAzを求めて周回数で割ると、その平均となって精度が向上する。
 なお、この本が発行された時代?は衛星高度が1500kmぐらいが多く、現在の400km高度に比べれば空気抵
 抗等による高度低下は考えなくて良かった。
 

衛星周期から衛星平均高度を計算する。
                 (CALSAT32を使用して計算で求める)
「アマチュアの衛星通信」日本AMSAT編 
                    昭和49年11月30日発行による


(以下、計算式等は説明省略のため数学ルールと違う部分が有る)
★衛星周期を求める(例) 
・CALSAT32で、当日の北上オービットを貼り付ける(下記例)
-----------AOS------ ---Max El--- -----LOS------
 DATE   JST  Az  MA JST  EL   Az  JST  Az  Rev
14/08/16 14:20 131.7 074 14:21 02.0 110.0 14:23 081.2 2671
・次にCALSAT32の日にちを更新し、当日のMax ELのAzとほぼ同じ値
 (±2以下)を見つけて貼り付ける(下記例)
14/08/22 12:32 132.5 076 12:34 02.0 110.2 12:36 080.6 2766
・当日と経過時刻のMax El時刻の時間差を秒単位で求める(To)
・当日と経過時刻のRev差(Re)を求める
・T=To/Re(sec)で衛星周期を求める
・計算(例)
 To=5日*24h*60min+1333min=⇒8533*60=511980(sec)
 Re=2766-2671=95
 T=511980/95=5389.263157 これを右下 衛星周期に入力する
★計算(例) (エクセルに計算式を入れて計算する)   ここに衛星周期(sec)を入力
衛星周期        5389.263157 [sec] 
r^3=C14^2/(0.989*10^-13)    293,671,965,373,080,000,000
r=POWER(C15,1/3)            6,646,926 [m]
  ここに衛星平均高度が出る
          8/16~8/22の平均高度(8月19日)   h=r-6.371*10^6           275,926 [m]
  T^2=(4π^2/GM)r^3     式1
  T^2=0.989*10^-13*r^3 (3.5)
  r^3=T^2/0.989*10-13
  G=6.67*10^-11 [N*m^2/kg^2] 万有引力定数
  M=5.98*10^24 [kg] 地球の質量
  R=6.371*10^6 [m] 地球半径
  r=R+h  [m] 地球中心からの高度
  h=r-6.371*10^6 [m] 衛星高度(地表からの平均高度
★誤差について
 衛星高度が低くなると、空気の影響等がだんだんと大きくなり高度が
 低くなるほど急激に低くなる
 ここでの計算は2点(日)間を平均したもので、実際より高く計算される。
 衛星高度が300km以上では、ほぼ直線的に低くなるので誤差は少な
 いが、250kmを過ぎると下降速度は速くなり、約200kmを過ぎると急激
 に低下して 2~4日で地球に再突入する模様
である。(下図参照)
 

★SatEvo v0.51でシミュレーションした。(多摩美大ArtSat、近地点高度)
 このシミュレーションによると2014/9/10に大気圏に再突入することになっている。
 デフォルトで条件が設定されている模様。詳細は不明。大気抵抗、衛星の断面積 / 質量比等々の影響は、
 衛星個々に違ってくると思われるのでそれが誤差となって現れるのか? それとも、
 全ての条件(大気抵抗、衛星の断面積 / 質量比等々)を数ヶ月前からの下降傾向から計算できるのではないか。
 下降傾向は全ての条件を含んでの結果であるはずなので、各衛星共通の高度に非直線の大気密度、衛星固有
 で一定の衛星の断面積 / 質量比等々から定まる条件である。
 このシミュレーションが正しいかどうかは、9月10日に確認したい。
 
  この傾斜が大気密度になるのかな?  ↑↑  TeikyoSat-3は まだ直線!(近地点高度)
  
5次多項式(---)と、かなり一致している。これで予測できないか!?
  SatEvo v0.51の使い方は、JE1CVLさんのブログ(2014/8/16~)に出ています。

SatEvo v0.51シミュレーションした値が下記。TLEの変化により日々変わる模様。
 Elset Obj # Epoch Decay (Date)
 TeikyoSat-3
 14009E14192.188850(2014 October 16)
 14009E14219.515920(2014 November 8)        ↓↓一日経過する毎に一日早くなっています。
 14009E14225.214145(2014 December 20)       このまま経過すると再突入は8月29日か!!
 14009E14227.239455(2014 December 26)        ArtSat(INVADER)
 14009E14228.948080(2015 January 8)         14009F14228.217442(2014 September 10)
 14009E14229.960472(2015 January 12)         14009F14229.403726 (2014 September 11)
 14009E14230.846280(2015 January 2)          14009F14230.215065(2014 September 10)
 14009E14231.921785(2014 December 24)        14009F14231.026129(2014 September 9)
 14009E14232.807405(2014 December 17)        14009F14232.210928(2014 September 7)
 14009E14233.250183(2014 December 13)        14009F14233.208028(2014 September 5)
 14009E14234.198899(2014 November 29)         14009F14234.204478(2014 September 4)
 14009E14235.906320(2014 November 22)        14009F14235.200208(2014 September 3)  
 14009E14236.917969(2014 November 26)        14009F14236.195252(2014 September 4)
 14009E14238.245573(2014 November 27)        14009F14237.189529(2014 September 4)
 TeikyoSat-3は2014年10月25日に地球に再突入して消滅しました。

                                                   ☆目次に戻る  
  おわり