15. 18MHz GP型アンテナの検討 de JA1CPA/中村 2014/6/17
目次に戻る 2014/6/19 追加
トラップ式18MHz/24MHz垂直ダイポールを使って居ましたがトラップの防雨処置が良くなかったので2.5年でダウンして
しまいました。
そこで50Ωの同軸ケーブルを直接 接続できる18MHzのアンテナをMMANAシミュレーターで検討しました。
75Ωの垂直ダイポールに直接同軸ケーブルを繫いでも良いのですが、垂直ダイポールの場合は地上高を変化させ
ると打上角は変化しますが、インピーダンスはあまり変化しません。(注、ただし、水平ダイポールは地上高によってイン
ピーダンスは大きく変わる)
垂直系アンテナで打上角を低くして、インピーダンスを50Ωに整合したアンテナをGPタイプで検討しました。
要件
1.共振した時のインピーダンスが50<±5Ωぐらいで、同軸ケーブルを直接接続してSWR1.3以下にしたい。
2.打上角は20°以下(最大ゲイン角度)で、出来るだけ低くしたい。
3.ゲインは多い方が良い。
4.製作、設置が容易。
MMANAによるシミュレーション
1.一般的な垂直ラジエーター/水平ラジアル(両側2本)共に約1/4λにした時の検討
図1↓ 表1↓ 共振周波数:18.150MHz
・シミュレーションの条件
1.水平ラジアル(L1、2本)を約1/4λの4mに固定した。
2.地上高(H)を変えて、垂直ラジエーターを共振(jX<±0.1)
する長さ(L2)に設定した。
3.その結果は、上記 表1 のようになった。
4.地上高(H)を0.02m以下にするとGa(ゲイン)が極端に
多くなったが、これはシミュレーターの誤りか?!。
・表1の考察
1.地上高(H)を高くするほどゲインが高くなり、打上角(EL°)も低くなって良くなる。
2.しかし、インピーダンスは低くなってマッチングが取りにくくなる。
上記の通常のGPはインピーダンスがダイポールの約半分になります。(教科書通り)
いずれにしても、インピーダンスは、22~38Ωと低く、バラン、Qマッチ等で、50Ωにマッチングさせる必要が有ります。
2.垂直ラジエーターとラジアルの長さの比を変えてインピーダンスを50Ωにする検討。
図2↓ 表2↓ 共振周波数:18.150MHz、 最大ゲイン打上角EL(°)
・経験していたコト!
アマチュア衛星等のアンテナは、コマンド受信を145MHz帯で行っています。
この受信には、モノポール(GP)が使われていますが衛星本体を1/4λの
ラジアル又はグランドとするには小さ過ぎて、ラジエーターを1/4λにしたの
では共振させるコトは出来ません。(地球のグランドは使えない?)
またインピーダンスも50Ω付近にすることは出来ません。
しかし、ラジエーターを1/4λより長くすると145MHz帯で共振しインピーダンスも50Ω付近にすることが出来ます。
この現象は、衛星本体が小さいほどラジエーターを長くすると、範囲は限定されますが共振と50Ωが確保できます。
この考え方をGP(地球上のhi)に応用して、ラジアルを1/4λより短くして、ラジエーターを1/4λより長くすれば、GPのイン
ピーダンス33Ω付近を50Ωに出来るのでは?、と考えてシミュレーションしました。
結果は、右上の 表2 の通りです。
・シミュレーションの条件
1.水平ラジアル(L1、2本)をインピーダンスをアップする長さに仮設定し、垂直ラジエーターを1/4λより長くして共振点
をチェックしラジアルとラジエーターの長さをシミュレーションした。
2.地上高(H)を変えて、上記1.を繰り返した。
3.その結果は、上記 表2 のようになった。
4.地上高(H)を0.001~0.1mにするとグランドの効果でラジアルの長さに依存しないようになると共にゲイン等の数値が
大きく変化する。?!。これはシミュレーターの誤りか!?。
・表2の考察
1.地上高(H)を高くするほどゲインが高くなり、最大ゲイン打上角(EL°)も低くなって良くなる。
2.ラジアル(L1)とラジエーター(L2)を最適値にすると、共振とインピーダンス50Ωが実現できた。
3.これで、50Ω同軸ケーブルを直接接続することが出来る。(平行と不平衡の変換は必要かどうか不明?)
4.地上高(H)を4~7mにすると、インピーダンス50Ωで、多少はゲインが有り、打上角も低くできる。
↑水平方向は無指向性(円形) 表2の地上高4mの垂直面パターン
・余談 このアンテナが、地上高400,000m(400km上空の衛星では)どうなるか?、 2014/6/19追加
今までは、地球上に有るアンテナしか経験がありませんが、宇宙空間に有るアンテナは、また違った動きになります。
しかし、宇宙空間と云えども衛星は、まだ地球の引力範囲です。
たとえば、400km上空の衛星のアンテナを地上高(地球上)400,000mとしてシミュレーションすると地球が影響した結果が
得られます。
この結果が、正しいかどうかを確認するには、ISSから宇宙服を着て宇宙空間で確認するしか方法が無いのかも?。
400km上空の衛星のアンテナ(GP)を
地上高400,000mでシミュレーションした
垂直面パターン
図の下側もほぼ同じパターンになっているのでは
ないか?。(下側(地球側)は表示されない?)
実際には、衛星本体の影響も有るはずですが、
これはシミュレーターには設定できません。
↑↑400km
・QubeSat(100×100×100mm) 図3↓
図の下側もほぼ同じパターンに
なっている。
(下側(地球側)は表示されない?)
上との違いは、30~40°付近
Fq (MHz) | R(Ω) | jX(Ω) | SWR | Ga(dBi) | Ra(m) | H(m) |
145.900 | 53.738 | -0.0068 | 1.07 | 7.99 | 0.6524 | 400,000 |
100×100×100mmのQubeSatに付けた1/4λモノポールを計算しました。
MMANAシミュレーターでは、面の設定が出来ないのでQubeSatの対角線の稜線をφ2のワイヤーで設定して計算
しました。
従って、142×100を2面90°にしてQubeSatとしました。
φ2のエレメント長は、0.6524mで145.9MHzに共振しています。(1/4λは0.514mなので、かなり長い)
共振周波数でのインピーダンスは、53.738Ωとなり、SWRは1.07となりました。
実際の100×100×100mmのQubeSatのデーターは無くて不明です。
地上高400,000m(実際の衛星の高度400km)の垂直面パターンは、図3の通りです。
しかし、このパターンがどの様な意味を持つかよく分かりません?。
おわり
目次に戻る