10.436.5MHz 3エレメント八木(3線式フォールデット)       de JA1CPA/中村  2014/02/11

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こんなアンテナを作りました。 ↓ ↓ ↓ (寸法は下に
 
目的は、3エレメントでゲイン最大を!





 
ゲインは、Ga 9.88dBi と今までの3エレメントでは最高です。帯域幅は狭いです。
 設計値より周波数が低くなっています。給電部の同軸ケーブルの芯線と編組を短くすると高くなります。


・シミュレーションでは!
一般的に八木アンテナは、ラジエーターを1/2λダイポールにして使います。
このダイポールの給電点インピーダンスは、エレメントが多くなるとインピーダンスが50Ωより低くなります。
シミュレーション等でアンテナゲインを多くして行くと、インピーダンスはさらに低くなり、低いほどゲインが多くなる
傾向になります。ただし限界はあります。
そのために50Ω同軸ケーブルとマッチングするには、何らかのマッチング回路が必要になります。
マッチングの方法には、いろいろな方法がありますが、その一つに、ラジエーター部分をセミフォールデットや
ホールデットダイポールにして低くなったインピーダンスを高くする方法があります。
ダイポールの各方式のインピーダンスは、下記のようになります。

 1/2λダイポール(DP):75Ω              
 


 セミフォールデット:150Ω(DPの2倍、50Ωの3倍)


 フォールデット:300Ω(DPの4倍、50Ωの6倍)


 3線式フォールデット(外線給電):
450Ω(DPの6倍、50Ωの9倍?)
 3線式フォールデット(中線給電):675Ω(DPの9倍、50Ωの13.5倍)


ラジエーターをセミフォールデットにすると、ダイポールでは50/3=16.7Ωで良いことになります。
さらに、3線式フォールデット(中線給電)では、50/13.5=3.7Ωまで低くできる事になります。
しかし、ここまで低くなるとなかなかマッチングすることができません。
試しに、3線式フォールデット(外線給電、上の下図)でマッチングが取れて、ゲインも9.88dBiと成りました。
たぶん、450Ω(DPの6倍、50Ωの9倍?に成っている感じです。(資料を持っていません)
ここでは、一般のアマチュア無線ではやらない、3線式フォールデット(外線給電)をラジエーターにてシミュレー
ションしゲイン最大値を計算しました。
下記がその結果です。ただしゲイン最大にしたことも有り、3エレメントとしては、F/B比が悪くなっています。



 SWR1.5> 436.5±1.3MHz
 
 エレメント径(すべて):φ2.0mm
 真ちゅう、銅、棒等

 棒の中心からの寸法
 寸法精度:±0.5mm
 寸法を正確に作るほどシミュレーション値
 に近くなる。






・周波数調整

同軸ケーブルの芯線と編組を短くしました。(約5mm)
SWR最低周波数:435.500MHz、SWR1.09(0.5MHzアップ)







ディレクター(D1)316mm及びリフレクター(Ref)336mmに対する
長さと周波数の変化の関係。
×4とは、D1、Refの両端4ヵ所の意味

×2は間違い、-1.0×が正しい

ラジエーター(Ra)の284mmに対する長さと周波数の変化
の関係。
ラジエーターは、作った後で調整するのは困難。

  ↑↑(注)インピーダンス(R成分)は、D1を短くすると大きくなり、Ref を短くすると小さくなる。

下記は、ディレクターの両端を1.5mmずつとリフレクター両端を1.0mmずつ切った状態の特性。


・製作のポイント
ラジエーターを少しプラスぎみに作ると、周波数が低くなるので、ディレクターとリフレクターをそれぞれ短くして
周波数を高くして必要な周波数に合わせる。

ディレクターとリフレクターは、両端を同じ寸法ずつ短くする。

・使って見ました
TH-F7(ケンウッド)のSSBモードでFO-29のビーコン(435.795MHz/EL15°程度)がFBに受信出来ました。

 このTH-F7のSSBモードのフィルターは簡易型と云うことで帯域がかなり広く5~6kHz離れていてもバサバサ
 と音がする感じで、ドップラーを伴う衛星のビーコンを受信するのに都合が良くなっています。
 ただし、違法局が出ているとかなり離れていても混信を受けます。
 混信の無い日曜日か夜間は非常に有効です。

・3D-2Vの芯線、編組のリアクタンス

 3D-2Vの芯線と編組(20mm)のリアクタンス(インダクタンス)です。

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   おわり