09.CJU アンテナの考察(435MHz)             de JA1CPA/中村  2014/02/05
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          ↓↓ 一番下に CJUアンテナmdoki を作りました。2014/2/6
          ↓↓エレメント・セミフォールデットタイプ 追加    2014/2/8


ループになっているラジエーターにディレクターを付けてループ面に指向性があるCJUアンテナが有ります。
シンプルで作りやすくJA2NLT/斉藤さんに紹介してもらいました。
このアンテナを他のアンテナと比較してゲインを測定したら、6.20dBでした。ここに比較測定があります。
今回は、このアンテナをMMANAでシミュレーションして、マッチングについて検討しました。
さらに、同じ要領で3エレメントにして、同じマッチングの検討をしました。
マッチングと行っても、50Ω同軸ケーブルを直接、ラジエーターにつなぐだけです。
下図は、435MHz CJUアンテナのホームページからコピーした写真です。


これをMMANAでシミュレーションしました。
 ↓↓各部寸法

435CJU 原典
*
435
*** ワイヤ ***
5
0.0, 0.116, 0.0, 0.0, -0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.116, 0.107, 0.0, 0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.116, 0.107, 0.0, -0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.116, 0.107, 0.0, -0.116, 0.107, 0.001, 0
0.0, 0.1675, -0.05, 0.0, -0.1675, -0.05, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 0
w1c, 0, 0, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 50.0, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
435.00 51.53 -52.20 2.69 4.61 6.76 5.63

 結果は、Rは50Ω付近で良いのですが、jXが-52.20Ωとなって、435MHzに共振していません。
かなり高い周波数に共振しています。
エレメントを長くして435MHzに共振させたいと思ったのですが、折角、R=51.53Ωになっている
のにエレメントを長くすると R =51.53も大きくなってしまいます。
このまま共振させるには、-52.2Ωを打ち消す+52.2Ωを付ければ良いことになります。
 ここで、上のCJUアンテナの写真を良く見てください。
通常は、給電部分の同軸ケーブルの接続部分は、最短の長さでラジエーターに接続しますが、この
写真は何故か、芯線と編組が長くなっています。
正確には分かりませんが、写真から判断すると約25mmぐらい芯線と編組が長くなっています。
もしかしたら、ここを L(インダクタンス) として使っているかも、と大推理しました。
 1.5D-2Vを測定しました。長さ20mm(先端ショート)

静電容量計(1kHz)では、0.02μHです(限界です)。 アンテナ・アナライザー(AA-1000/435MHz)では、
L=38.8nH=0.0388μH、jX=106.0Ωです。(AA-1000はこんな事もできます)
立派にインダクタンスになっています。52.2Ωが必要なので、1.5D-2Vでは10mmぐらいで良いようです。
原典の同軸ケーブルはRG223なのでもう少し太く1.5D-2Vより長く必要でしょう。
これで、上写真の給電部の芯線と編組が長い謎が分かりました。(目からウロコ!)
+jXを入れる場合は、誘導性なので同軸ケーブルに直列接続します。(長くなるとロスになります)
-jXを入れる場合は、容量性なので給電部(同軸ケーブル)に並列に接続します。(スタブ等)
それでは、52.2Ωを入れてシミュレーションします。
  ↓↓各部寸法

435CJU  L 調整
*
435
*** ワイヤ ***
5
0.0, 0.116, 0.0, 0.0, -0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.116, 0.107, 0.0, 0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.116, 0.107, 0.0, -0.116, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.116, 0.107, 0.0, -0.116, 0.107, 0.001, 0
0.0, 0.1675, -0.05, 0.0, -0.1675, -0.05, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 1 ↓μH (芯線+編組 6~15mm
×2)
w1c, 0, 0.01912, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 50.0, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
435.00 51.53 0.06 1.03 4.61 6.76 5.63

 シミュレーションでは、0.01912μHを入れると、jX0.06、SWR1.03となることが分かります。
CJUアンテナは、給電部の同軸ケーブル芯線+編組を10~30mmにして共振させて
いた。
と云うことになります。
MMANAは、給電部の長さは 0 として計算しています。
しかし、同軸ケーブルは必ず芯線と編組に分けて接続します。
シミュレーションで、あらかじめ jX -30~-60Ωにして、同軸ケーブルの接続シロを確保
すべきと分かりました。(勉強になりました!)


ディレクターを1本付けて、3エレメントを検討します。
 ↓↓各部寸法

435CJU 3ele
*
435
*** ワイヤ ***
6
-0.116, 0.0, 0.116, 0.001, 0
0.107, -0.116, 0.0, -0.116, 0.0, 0.001, 0
0.107, 0.116, 0.0, 0.116, 0.001, 0
0.107, -0.116, 0.0, 0.107, 0.116, 0.0, 0.001, 0
-0.09, -0.172, -0.09, 0.172, 0.001, 0
0.21, -0.158, 0.0, 0.21, 0.158, 0.0, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 1 ↓μH (芯線+編組 8~15mm×2)
w1c, 0, 0.0202, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 50.0, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
435.00 50.88 0.08 1.02 7.17 9.32 11.04

ラジエーター部分寸法は、変更しませんが、
その他の部分は変えています。
給電部は、0.0202μH(jX=-55)となりますので、
同軸ケーブル芯線と編組を約10mmとなります。
ゲインは、9.32dBi です。


ディレクター = 316mm(ラジエーター給電部から210mm)
リフレクター = 344mm(ラジエーター給電部から90mm)

エレメント径 φ=2mm(すべてのエレメント)




MMANAで計算しました。(CJUアンテナの共振周波数に対する必要なインダクタンス(μH))
給電部の同軸ケーブル芯線+編組を長くすると、インダクタンスが増加し共振は低くなります。

 8/9/11mmは、1.5D-2Vの芯線と編組のおおよその長さです。


・CJUアンテナを作りました

                                      芯線と編組は、17mmです

                    芯線と編組が17mmの特性


    芯線と編組は、26mmです                芯線、編組が26mmの特性 

共振周波数は、さらに低くなります。








 1.5D-2Vの場合は、芯線が細くインダクタンスが多くなる模様。
原典では、435.0MHz/R 51.53Ω/jX -52.20Ωだったが、jXは-70~-100ぐらいでも良い。
この同軸ケーブル芯線と編組の長さを変えて共振周波数の調整にも使える。
ただし、ここが長いとロスになります。


・3エレメント CJUアンテナを作りました。



SWR最低点 434.000MHz
芯線と編組=15mm(これ以上短く出来ない)
シミュレーションでは9.5mmなので、まだ長くて
共振周波数もやや低い。

ディレクター = 314mm(ラジエーター給電部から210mm)
リフレクター = 344mm(ラジエーター給電部から80mm)

にすると、jX=-65となり共振周波数は高くなるはずです。
ただし、ゲインは9.19dBiと少し低下します。

ディレクター = 314mm(ラジエーター給電部から210mm)
リフレクター = 344mm(ラジエーター給電部から80mm) にしました。芯線と編組=15mm

SWR最低周波数は、435.0MHzと1MHzアップしました。

ブームが木なので簡単に変更出来ます。


・CJUアンテナ 1. CJUアンテナmodoki1. ゲイン最大化   こんな寸法で!?! 
 
↓↓MMANAシミュレーション結果   ↓↓各部寸法

436.5CJUmax
*
436.5
*** ワイヤ ***
11
0.0, 0.003, -0.005, 0.0, -0.003, -0.005, 0.001, 0
0.0, 0.145, 0.0, 0.0, 0.005, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.005, 0.0, 0.0, 0.001, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.005, 0.0, 0.0, -0.145, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.001, 0.0, 0.0, -0.005, 0.0, 0.001, 0
0.025, 0.145, 0.0, 0.0, 0.145, 0.0, 0.001, 0
0.025, -0.145, 0.0, 0.0, -0.145, 0.0, 0.001, 0
0.025, 0.145, 0.0, 0.025, -0.145, 0.0, 0.001, 0
-0.06, 0.168, , -0.06, -0.168, , 0.001, 0
0.0, -0.003, -0.005, 0.0, -0.005, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.003, -0.005, 0.0, 0.005, 0.0, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 1 ↓0.01027μH/1.5D-5mm
w1c, 0, 0.010268, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 50.0, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
436.50 49.534 0.002 1.01 4.97 7.12 7.60

 ゲインを追求したら、下図のような寸法になってしまいました。 ゲイン = 7.12dBi
 
SWR1.5 以内は ±2.5MHz(帯域が狭いので製作精度が要求されます)     

 寸法精度は、±0.2mm         
↑↑指向性は、この図の上方へ

                                              
↑↑赤丸が給電点



・CJUアンテナ 2、  ゲイン最大化  CJUアンテナmodoki2. こんな寸法で!?! 
 ↓↓MMANAシミュレーション結果  リフレクターからディレクターに変更した
                ↓↓各部寸法

436.5CJU D1
*
436.5
*** ワイヤ ***
11
0.0, 0.003, -0.005, 0.0, -0.003, -0.005, 0.001, 0
0.0, 0.15, 0.0, 0.0, 0.005, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.005, 0.0, 0.0, 0.001, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.005, 0.0, 0.0, -0.15, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.001, 0.0, 0.0, -0.005, 0.0, 0.001, 0
0.025, 0.15, 0.0, 0.0, 0.15, 0.0, 0.001, 0
0.025, -0.15, 0.0, 0.0, -0.15, 0.0, 0.001, 0
0.025, 0.15, 0.0, 0.025, -0.15, 0.0, 0.001, 0
0.0, -0.003, -0.005, 0.0, -0.005, 0.0, 0.001, 0
0.0, 0.003, -0.005, 0.0, 0.005, 0.0, 0.001, 0
0.078, 0.1615, 0.0, 0.078, -0.1615, 0.0, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 1 ↓↓μH 1.5D-17mm
w1c, 0, 0.033618, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 50.0, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
436.50 50.727 -0.001 1.01 5.13 7.28 7.03

SWR1.5 以内は ±2MHz(帯域が狭いので製作精度が要求されます)

 寸法精度は、±0.2mm         ↑↑指向性は、この図の上方へ
パターンは、リフレクターをつけたものと同じです。



・CJUアンテナmodoki2.を作りました。2014/2/6  436.500MHzは衛星区分の中心です。



芯線と編組が15mmの時は440.150MHzでSWR1.02でした。寸法精度は悪いです。
これを30mmにしたのが上写真です。 SWR1.5以下は、±2MHzでシミュレーション通りです。
SWRは、ほぼシミュレーション通りですが、はたしてこれでCJUアンテナ(純正)よりゲインが有るでしょうか?・
Ga=6.76dBi が Ga=7.28dBi に !


・2エレメント・セミフォールデットタイプ    2014/2/8

シミュレーションは、ラジエーターをダイポールとして行った。
             ↓↓各部寸法

2eleD1 SFD
*
435
*** ワイヤ ***
2
0.0, 0.162, 0.0, 0.0, -0.162, 0.0, 0.001, 0
0.075, 0.16, 0.0, 0.075, -0.16, 0.0, 0.001, 0
*** 給電点 ***
1, 1
w1c, 0.0, 1
*** 集中定数 ***
1, 0
w1c, 0, 0.00847, 0.0, 0
*** 自動分割 ***
400, 40, 2.0, 1
*** 計算環境 ***
0, 6.0, 0, 16.7, 120, 60, 0
f (MHz) R(Ω) jX SWR Gh(dB) Ga(dBi) F/B(dB)
435.00 15.68 -23.15 3.79 50.20 7.17 6.85
  435.00    15.68    0.00    1.06     5.02     7.17 0.00847μH

シミュレーションは、ラジエーターをダイポールで行った。このラジエーターの片側を折り曲げて、
セミフォールデットダイポールにすると、インピーダンスは3倍になって、15.68×3=47.04Ωとなる。

これでも、CJUアンテナmodoki と同じような性能です。
 ブームは、割り箸2本です。

                              同軸ケーブルは6φアクリルパイプに通す↑↑

 作るのは、CJUアンテナより簡単かも!


  436.5MHz 3エレメント八木アンテナでゲイン9.88dBiを作りました。

                                    目次に戻る

 おわり