13-02. 衛星通信には、なぜ円偏波のアンテナが良いのか? チョット考えてみた! 
 
                                                    
2013/5/25   de JA1CPA/中村

                                                 目次に戻る 
補足 頭の体操
  2015/11/10

 AO-7やFO-29のアンテナは、円偏波用に作られているが、最近の衛星はモノポールやダイポールで直線偏波の
アンテナになっているようである。


通常、衛星は比較的ゆっくりとスピン(自転)しながら飛翔している。
また衛星には姿勢を安定させるために磁石が内蔵されていて、姿勢は地磁気に平衡になっているが、地磁気の南
極又は北極上空では衛星が180°反転するものと考えられる。

そのような衛星がら出される電波は、信号強度や偏波は大きく変化していると考えられる。
地上局のアンテナには、その変化する衛星からの直接波以外に大地(地球表面)に反射した電波も到来する。
この大地反射は、直接波よりも弱いが信号強度、偏波、移相等が大きく変化している。
地上局ののアンテナには、これらの信号が混在して入力されると考えられる。

一方、変調された信号は、FM,SSB,CW等のアナログ系(主に音声)は上記の混在した信号の強さに比例して了解度
が上がると考えられる。(むしろ積極的に大地反射を利用している場合も有る)
しかし、データー系では主に偏波等が影響して信号強度だけでは安定した復調が得られないと考えられる。
事実、地上局が直線偏波のアンテナでは、信号強度が強くても安定した復調は得られていない場合が多い。


FM,SSB,CW等のアナログ系(主に音声)の衛星電波を受信する場合は、地上局のアンテナを直線偏波にしても良いが
、データー通信を含めた衛星の信号を受信する場合は、円偏波のアンテナにして偏波が変化しても対応できるように
する事が必要で有る。
また、出来るだけ大地反射を少なくして、衛星からの直接波だけを受信するようにすることも必要で有る。

一方、衛星では、地上局から来た電波は偏波面とは別に衛星がスピンしながら受信することになるので、衛星に付けら
れたアンテナの位置にもよるが、あまり衛星自身の反射は期待出来ず、直接波だけを受信することになると考えられる。
従って、これも円偏波で送信された電波であれば直線偏波のアンテナがスピンしても大きな変動が無く受信できると考
えられる。
特に、衛星では直接波だけ受信することになるので、偏波が違うと大きなロスとなって、変化の激しい受信となると考え
られる。

結論:
1.FM,SSB,CW等のアナログ系(主に音声)の衛星電波を受信する場合は直線偏波のアンテナでも良い。
2.データー系の衛星電波を受信する場合は円偏波のアンテナが必要。良い。

3.FM,SSB,CW等のアナログ系(主に音声)の電波を衛星に送信する場合は円偏波のアンテナ必要 良い。
4.データー系の電波を衛星に送信する場合は円偏波のアンテナ必要。 良い。
5.従って、衛星通信を行う場合は、基本的に円偏波アンテナ必要。 良い。
6.特に地上からの送信が直線偏波(たとえば垂直波)の場合は、衛星のスピンで衛星のアンテナが水平波偏波になっ
 た時は、衛星周囲からの反射は無く直接波だけなので受信できないことになる。
 ただし、「衛星周囲からの反射は無く」と書いたが、衛星自身の反射は多少は有るかも知れないが、その程度はまった
 く不明である。
 MMANA-GALでシミュレーションすると----- 
7.最近、多くの大学で衛星を上げているが衛星搭載のアンテナは、直線偏波になっている。 衛星が受信する偏波に対
 する影響を知っておくことも必要ではないか。特にデータ通信においては、その影響を地上の電波暗室で区間ロスを作
 って偏波の変化を含めて確認しておく必要が有る。

補足 頭の体操  2015/11/10
1.直線偏波と直線偏波の偏波が一致すれば、偏波ロスはゼロか。
2.直線偏波と直線偏波の偏波が90°違えば、偏波ロスは15dBか?。
3.円偏波と円偏波は回転方向が一致すれば、偏波ロスはゼロか。
3.円偏波と円偏波は回転方向が反対なら、偏波ロスは15dBか?。
4.直線偏波と円偏波は回転方向に関係なく、偏波ロスは3dBか。
「偏波が違うと最大15dBロスする」とWebに出ていたが?。その根拠は?

 
実際には
送信が直線偏波の場合は
1.円偏波アンテナで受信出来ても直線偏波アンテナで受信出来ない場合が有る。
2.直線偏波アンテナで受信出来る場合は円偏波アンテナでも受信できる。
3.直線偏波アンテナは円偏波アンテナより3dB強く受信出来る時が有る。
4.円偏波アンテナも直線偏波アンテナも受信出来ない場合が有る。
衛星の実際の形態は、この全てが混在した状態であると同時に地上アンテナには大地反射が混在し
て来るのでより複雑な形態になると想像していますが。
これでいいのかな~~
実際には、地球にアンテナが向いているわけでは無く、何らかの方向に傾いていると思われるので
垂直成分と水平成分が混在していると思われるし、ダイポールやモノポールの線方向には電波が来ない。
実際の電波を円偏波アンテナと直線偏波アンテナで同時受信して比較すると、衛星のスピン方向によっ
て必ずしも直線偏波アンテナが悪いことにはならないかも知れない。

一つの実験
1.NOAA-19の電波は右旋円偏波と言われいる。
2.この電波をクロスダイポールを右旋円偏波と左旋円偏波に切り替えて受信したが、その違いはほとん
ど確認できなかった。(1回ずつの受信だったが)
3.クロスダイポールの場合は、大地反射が大きくて、その差が出なかったのか?。

おわり                                      目次に戻る