E 衛星通信用2バンド・クロスダイポールアンテナ     目次に戻る     2013/2/11
  
折りたたみ式                           2013/2/142013/2/15随時追加変更

  145MHz 1/2λクロスダイポール & 435MHz 3/2λクロス高調波アンテナ


特徴
 2013/2/14                                    

1.一つのアンテナで145MHz435MHzで送受信が同時に出来る。

送受信はデュープレクサーで分離する。

2.145MHz1/2λクロスダイポールとして、435MHz3/2λクロス高調波アンテナとして動作している。

3.円偏波にするためにエレメントの長さを変えて行っているので移相ケーブル不要。

ただし、かなり直線偏波に近くて多少楕円偏波になっている程度。

4.ほぼ無指向性なのでアンテナコントロール部分の製作やアンテナ制御が不要。

5.エレメントが折りたためるので、移動用(輸送)に便利。

6.十分に実用的であるが、アンテナゲインが低いので低仰角ではQSOがやや困難か?。(検証中)


使用中(6mH)


           折りたたみ式


  寸法図(シミュレーション値)                      システム系統図


  諸元(シミュレーションはMMANA)


 145.9MHz SWR                    436.5MHz SWR


 145.9MHzパターン図                    436.5MHzパターン図

 8字(左上/右下)水平偏波、8字垂直偏波        四つ葉になっている分が円偏波になっている
  8字のくびれが少ないところが円偏波になっている    はず。(円偏波で無い場合は2方向にサイド
  はず。完全な円偏波なら円形になるはず。
         が小さく出る)

 折り曲げ部分                            給電部(水道塩ビ管VP30/40キャップ)

 スプリングワッシャーを80%締めにしている。         同軸ケーブル芯線、編組は極力短く。
   ABSケース(タカチ)から切り出した 
                防水絶縁はアクリルラッカースプレーで

  VP40キャップを切って蓋にして接着した。         アンテナ全景 (釣り糸が見えますか)
 

・・・考察
諸元にも書いてあるように、145.9MHz Z=41.34+7.33/436.5MHz Z=61.80-7.87となっていて、145MHz/435MHz
の共振周波数が上下にずれていて、これ以上近づけることができません。
145.9MHz/436.5MHzの衛星周波数中心に完全に共振していませんが、ブロードなのでそのまま使っています。

なお、このアンテナの欠点は、左右偏波面を簡単に変えられないことですが、あまり円偏波になっていないの
で、その必要がどの程度有るか・・・様子見です。

・・・QSO・・・    2013/2/15
すべての衛星の北上オービットのMELからLOSの間が強く UP/DW します。(SSB/FM、50W、RS55〜59で強す
ぎることも)
ただし、同じ衛星でもAOS-MEL-LOSがすべて弱い時も有ります。
それは、衛星の姿勢か偏波面のためかアンテナパターンのためか、ロケーションのためか分かりません。
その後に、アンテナをひっくり返して右旋円偏波を左旋円偏波にしましたが、違いは感じないので円偏波の
効果はほとんど無いようです。
むしろ、エレメントの長さの違いは、インピーダンスが変わるのでマッチングさせるために必要な感じです。


さらなる検討中・・・
もう少し共振周波数を近づけてSWRも下げたいのと、垂直面パターンの天頂部分を低くして低ELを大きく、さら
にゲインも少しでも大きく、と欲張った計画をしています。
それには、2エレモドキのリフレクターをラジアルモドキにしてシミュレーションしています。

シミュレーションでは、145.9MHz Z=46.591+6.235/436.5MHz Z=58.016-0.281 とRが50Ωに近づいたのでSWRが
共に1
.16と良くなっています。
ゲインは、上記のアンテナは145.9MHz/436.5MHz共に5.2〜5.23dB(6mH)だったのが、145.9MHz G=7.80dB、
436.5MHz G=6.56dB と1.3〜2.57dBアップしています。

どのような材料と構造にするか思案中です。 ・ ・ ・ ・ここに途中経過報告中 20130219

・・・このアンテナ製作のきっかけ    2013/2/14

衛星通信用クロスダイポールは、JA9BOH/前川さんが145MHz用と435MHz用を、エレメント長差に

よる移相にして、それぞれ別々に作ってモービルから運用し
FBQSOしていました。

このアンテナを固定局で使えるようにしたいと考えたのがきっかけです。

このクロスダイポールは、円偏波を作るための移相をエレメント長を変えて行っています。

すなわち1本のダイポールを共振周波数より長くして誘導性とし、クロスするもう一本のダイポールを

共振周波数より短くして容量性にして
90°近い位相にして円偏波にすると共に、誘導性と容量性の

リアクタンスを同じにして共振させるものです。

JA9BOH/前川さんからは、いろいろアドバイスを頂きましたが、この考え方のアンテナはかなり昔から

有ったようです。

理論的根拠については、JH1GVY/森岡さんのホームページ

http://www003.upp.so-net.ne.jp/JH1GVY/x-dp.htmlに出ていますので参考にさせて頂きました。

・・・製作・調整と経緯  2013/2/14

基本は145MHz用クロスダイポールです。

145MHzで共振したアンテナは3倍高調波の435MHzでも共振します。

そこで1本のアンテナで145MHz435MHzの2周波で送受信同時に使えないかと考えました。

これは私のオリジナルです。  

送受信周波数は、デュープレクサーとプリアンプ等で分離します。(送受アンテナが別々でもアンテナが至近距離

なので送受信周波数はデュープレクサーとプリアンプで分離が必要)
2013/2/15

給電点インピーダンスは、145MHzでは約75Ω、435MHzでは約105Ωとなり、これが2本パラ接続となる

ので、ほぼ約
37Ωと約52Ωとなるはずです。

145MHz435MHzの両方で移相条件を満足し、円偏波にする条件は、

1.145MHz435MHzで共振させる。(クロス2本の±jX=0)

2.2本並列接続して50Ωにする。(100Ω並列=50Ω) 

3.2本のR成分とjX成分の値を同じにする。(一本が+45°もう一本が−45°、R=|jX|=100)

何百回?とシミュレーションして条件出しをしました。

クロスする2本のダイポールの長さを変えると、その差の違いや長さの違いで、2本の合成インピーダン

スが変化することが分かりました

シミュレーションの結果、3.項はほとんど実現不可能でエレメントが長いとRが大きく、エレメントが

短いと
Rが小さくなります。

Rの大小によってパワーも2本のアンテナに1/2づつにはなりません。

給電部にN-Rコネクターを使うと、その静電容量のためかSWRが悪くなります。

そのために同軸ケーブルを直接接続するようにしたら、シミュレーション通りの寸法でSWRが低くなり

ました

衛星通信の周波数帯の中心は145.9MH/436.5MHzで正確に3倍ではありません。

また、共振周波数も435MHzでは145MHzの3倍より約10MHzも高くなります。(2.3%ぐらい高くなった)

結果的には145MHz435MHzSWR最小になるポイントをシミュレーションで探して妥協しました。

円偏波については、2バンド共用したのとSWRを優先したために、145MHz/435MHz単独よりもかなり直線偏

波に近く、少し楕円偏波になっている程度だと思います。

2バンド(145MHz/435MHz)共用とするための検討はアンテナ・シミュレーションソフトMMANAを使っ

て検討しました

このアンテナはMMANAが無かったら実現できなかったと思います。


・・・クロスエレメントの長さの状態を変えた時のパターン(シミュレーションによる)  2013/2/15

      2本のクロスエレメントの長さを同じにした場合ただし、インピーダンスは無視している。
   435MHz 直線偏波のパターン                  145.9MHz 直線偏波のパターン


      ↓2本のクロスエレメントの長さを大きく変えた場合ただし、インピーダンスは無視している。
   435MHz かなり円偏波に近いパターン            145.9MHz かなり円偏波に近いパターン

                        上図の黒線は水平偏波、赤線は垂直偏波


  おわり                                 目次に戻る