コネクターとアンテナの関係                                    目次に戻る

  クロスダイポールで検証                                       2012/03/26
                                     de JA1CPA/中村      2012/5/3

無線機とアンテナは、一般的には同軸ケーブルで接続しますが、その接続にはコネクターが使われます。
HF帯から430MHz帯に使われているのが、M型コネクターです。
M型コネクターのインピーダンスは50Ωに規定されていません。HF〜144MHzまでは、あまり影響しませんが、
430MHz帯では、いろいろ影響します。
我々が一番分かるのは、一般的にSWRが悪化します。
その影響について、主に430MHz帯について検討しました。比較の意味で144MHz帯も一部検討しています。
なお、周波数については、主に衛星通信で使われる周波数(435.0MHz及び145.9MHz)で検討します。
また、同軸ケーブルの電気長は波長に短縮率を掛けたものですが、周波数、メーカー、型番、ロット等々によ
って変化します。
従って、メーカー、型番(太さ等)、ロット等及び周波数や倍率、コネクターの有無が変わる毎に測定して設定
する必要が有ります。

1.各種コネクターの静電容量の測定
上左から、BNC-R、  N-R、  M-R(白)
静電容量  1.8pF    1.6pF   2.4pF
                   4.2pF   2012/5/2
                       
                     2.7pF(白/穴明け)

下左から、MP-5、  M-R(茶)、  M-R(濃茶)
       2.4pF    5.0pF      5.2pF 

2.145.9MHz 電気長1/2λ×2倍(尖端間:5D-FB/1600mm/四国電線) の同軸ケーブルとM型コネクター(茶)

アンテナの本には、電気長1/2λ×2倍のインピーダンスは尖端開放だと
「無限大」となると書かれています。
両端MP-5、尖端開放、|Z|(インピーダンス:絶対値表示、R,L,Cの識別は
出来ない)

アナライザーの表示は、
|Z|=9999.0Ω以上(このアナライザーは、10kΩ以上は表示できない)
|X|=9999.0Ω以上
R=0.0Ω
L=10912nH (10.912μH = 9,998Ω/145.9MHz)
C=0pF
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示されている。

先端にM-R(静電容量:5pF)取り付けた場合。

アナライザー表示は
|Z|=182.8Ω 
|X|=181.5Ω
R=21.3Ω
L=198nH (0.198μH =181Ω/145.9MHz)
C=6pF(181.9Ω/145.9MHz)
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示されている。



先端にM-Rに共振するコイルを取り付けた
5pF(6pF)で共振するインダクタンスは0.198μH

アナライザー表示は、
|Z|=9999.0Ω 
|X|=9999.0Ω
R=0.0Ω
L=10312nH(10.312μH)
C=0pF
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示されている。

M型コネクターの静電容量5pFと共振するインダクタンス0.198μHを付けた
ことにより共振してインピーダンスが高くなり、尖端開放と同じ状態となった。
ここに145.9MHzに共振してインピーダンス50Ωのアンテナを付ければ、
M型コネクターの静電容量の影響は無くなるはず。
なお、0.198μHのコイルの代わりに、同軸ケーブルによるスタブ(|X|=181Ω、0.198μH)を付けても良いはず。

3.435MHz 電気長1/2λ×4倍(尖端間:5D-FB/1030mm/四国電線) の同軸ケーブルとM型コネクター(茶)
両端MP-5、尖端開放、|Z|(インピーダンス:絶対値表示、
R,L,Cの識別は出来ない)

アナライザーの表示は、
|Z|=406.6Ω以上
|X|0.0Ω以上
R=406.6Ω
L=0nH
C=0pF
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示されて
いる。

435MHzでは、尖端開放でもM型コネクターの影響で400Ω
ぐらいにしかならない。
両端のMP-5、N-M変換コネクター等の影響が有ると思われる。

このアナライザー(AA-520)は、N型コネクターなので、N-M変換
コネクターを使っている。
そのためにSWR値で0.1〜0.3多く表示される。


  
先端にM-R(静電容量:5pF)取り付けた場合。

アナライザー表示は
|Z|=58.5Ω 
|X|=56.9Ω
R=12.4Ω
L=20nH (0.02μH =54.6Ω/435MHz)
C=6pF(61.0Ω/435MHz)
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示され
ている。








M型コネクター静電容量5pFに共振するインダクタンスは、
0.02μHなので、そのコイルを作って測定した。
かなり誤差が有る模様。







先端にM-Rに共振するコイルを取り付けた
5pFで共振するインダクタンスは0.02μH。

アナライザー表示は、
|Z|=314.5Ω 
|X|=0.0Ω
R=314.5Ω
L=0nH
C=0pF
L/Cの識別表示は出来ないので、LとCの両方が表示されてい
る。

M型コネクターの静電容量5pFと共振するインダクタンス0.02μH
を付けたことにより共振してインピーダンスが高くなり、尖端開放
に近い状態となった。
ここに435MHzに共振してインピーダンス50Ωのアンテナを付け
れば、M型コネクターの静電容量の影響は無くなるはず。
なお、0.02μHのコイルの代わりに、同軸ケーブルによるスタブ(0.02μH)を付けても良い。

4.435MHz、クロスダイポールを付けてみる











435MHz、クロスダイポールのエレメントをM型コネクターに直接半田付けした。









435MHzではSWR2.0となった。             |Z|=30.0Ω、|X|=12.4Ω、R=27.4Ω、L=4nH、C=29pF
アンテナのインピーダンス50ΩとM型コネクターの5pF(|X|約50Ω)が並列に接続されて、インピーダンスは
約半分になった感じ。










共振させるべく、0.02μHのコイルを付けた。

共振周波数が420MHz付近となった。

ここからが、カット & トライ の繰り返し。














結局、ワンターンコイルに近くなった。
分布容量やコイルリードの部分が見えない定数になっている。










435MHz、SWR 1.16となった。

5.0.02μHのコイルの代わりに、同軸ケーブルによるスタブ(|X|=54Ω)を付けみました。
 
 0.023μHと誤差が有りますが、これを付けます。
 (少し短い)




もう少しカット & トライ(長く)すれば、435MHzがSWR 1.19の中心
にできると思います。


このアナライザー(AA-520)は、N型コネクターなので、N-M変換
コネクターを使っている。
そのためにSWR値で0.1〜0.3多く表示される。


実際のアンテナ設置の場合に、M型コネクターの挿入位置が
アンテナに近いと、その影響が大きくなります。
そのために、設置状態での再調整が必要になります。
あまり細かくSWRを気にしなければ、そのままでもOKです。


なお、このクロスダイポールは、エレメントを故意にLとCのキャパシタンスにして、2つのダイポールで共振せています。
そこに、M型コネクターのキャパシタンスが入ったり、給電する同軸ケーブルが、アンテナの不整合でキャパシタンス
リアクタンスが出たり、測定器(SWR計、アナライザー等)のコネクター等も複雑に影響しあっているようです。


6.M-R型コネクターのダイエット?  2012/5/3

M-R型コネクターの静電容量は、前記のように 4.2pF です。
これを何処まで少なくできるか、やってみました。
左上断面図の緑色とピンク色が白い樹脂になっています。
これをピンク色部分をφ3ドリルで取り去ったのが、中、右写真です。
これで 4.2pF が
2.2pF になりました。(Xc=166Ω/435MHz)

1.8pF


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 おわり