14.7MHzダイポールアンテナの考察(いろいろ)          de JA1CPA/中村     2014/06/05
                                   目次に戻る                   2014/6/6

詳細説明は一番下に(まとめ)   ベント型 を追加しました。(下図右下) 2014/6/24修正       2014/6/6追加


アマチュア無線で最も使われているかも知れない? 7MHzダイポールアンテナの考察をした。
一般的に 7MHzダイポールに必要な主な要件は次の通りで有る。
 1.必要な周波数に共振している。 jXは限りなくゼロ。
 2.給電点のインピーダンスは50Ω。(必要により別途インピーダンスマッチングをする) 
 3.設置した時のゲインは出来るだけ高く。 
 4.設置した時の打ち上げ角は出来るだけ低く。 
この要件を実現すべくアンテナ・シミュレーターMMANAで計算した。

総括(アンテナ周辺の建物等の影響の程度は不明)
1.アンテナの給電点インピーダンスは、地上高によって大きく変化し、共振周波数は適度に変化する。
2.アンテナエレメントの長さによって、共振周波数は大きく変化し、給電点インピーダンスは適度に変化する。
3.地上高7.3mで給電点インピーダンスは約50ΩとなりSWRは1.02となる。ただし打上角20°のゲインは0.85dBiと低い。
4.地上高25mで給電点インピーダンスは約57ΩとなりSWRは1.14となる。打上角20°のゲインは7.5dBiと高くてベスト。
5.地上高12mで給電点を低くするとインピーダンスは約60ΩとなりSWR1.21となる。打上角20°のゲインは1.14dBiとなる。
5.地上高10~20mで水平設置の場合は、給電点インピーダンスが70~90Ωとなるので、別途インピーダンスマッチングが必要。
6.いわゆるインバーデットVアンテナは、打ち上げ角が高く、DXには向かない。
7.左右のエレメント長差は、1mぐらいは有っても特性に変化は無い、共振周波数の調整はエレメント片側の調整で良い。
8.アンテナ調整は、①地上高を変えて給電点インピーダンスを50Ω付近にして、②次にエレメント長を変えて共振周波数
  を7.100MHzにする。①、②を繰り返す。


計算の条件
 1.エレメントはφ2(mm)、長さL1+L2=L(m)のワイヤーの中点を給電点とした。
 2.周波数を7.100MHzとし、jX±0.1を共振点とした。
 3.EL20 Ga(dBi)は、打上角20°のゲインを表す。


  表1  アンテナは地上高によって共振周波数、インピーダンスはどの様に変化するか

表1の考察                                                    Max Gaは天頂方向
1.地上高を変えて、その都度エレメント長を変化させて共振点(jX<±0.1)を求めた。
2.地上高によってインピーダンスは大きく変化する。
3.地上高を7.3(m)にしたら、共振した時のインピーダンスが51.492(Ω)となりSWRは1.03で、同軸ケーブルが直接接続でき
  る。 ただし、EL20のゲインは0.95(dBi)と低い。
4.地上高を25(m)にしたら、共振した時のインピーダンスが57.047(Ω)となりSWRは1.14で、同軸ケーブルが直接接続できる。
  さらに、EL20のゲインは7.50(dBi)と高いゲインとなった。この高さが実現出来ればダイポールとしては最高。

 表2    アンテナ長の調整は片側だけを変化させても出来るか?   給電点を中心からずらしたら?

表2の考察                                              Max Gaは天頂方向 
1.エレメント長の調整は、片側の長さを変えて調整すれば良い。(±0.5m以内)
2.エレメント長(L)は変えずに左右(L1、L2)の長さを変えたときに(±0.5m以内)共振周波数、インピーダンス(R)はあまり
  変化しない。 ただし、共振周波数は微妙に変わる。インピーダンス(R)は無視できる。
3.L1-L2=1.0m(給電点を片側に0.5mずらした)は、特性は、ほとんど変化無い。
4.L1-L2=2.0m(給電点を片側に1.0mずらした)は、インピーダンス、共振点が僅かに変化したが許容範囲。

 表3   アンテナのインピーダンス調整を給電点の高さを変えて行うのは有効か    下図入れ替えた

表3の考察                                              Max Gaは天頂方向
1.給電点の高さを変えてインピーダンス調整する方法は有効。
2.No4-M及びNo5-Mは、給電点は低くなるがゲインはEL20で1dBi以上有る。
3.No4-A及びNo5-A(いわゆるインバーデットVアンテナ)は、ゲインはEL20が0.1dBi程度でDXには向かない。

 
表4   アンテナの特性は地上高によってどの様に変化するか? (エレメント長は地上高7.3mで共振している)

表4の考察 (エレメント長は地上高7.3mで共振している)
1.地上高4~30m(1/10~3/4λ)の場合は、共振周波数、インピーダンス、ゲイン等は大きく変化する。
2.地上高を可変する事によって必要なアンテナ特性を得ることが出来る。


 
表5   
アンテナの特性が地上高の影響を受けるのは何波長(λ)ぐらいまでか

表5の考察 
(エレメント長は地上高7.3mで共振している) 
1.地上高100m(2.5λ)以上になればアンテナ特性に影響しない。
2.従って、HF帯では、何らかの形で影響する。
3.V/UHF帯では、144MHz/430MHz、5~2m以上で影響は無くなる。

まとめ  図1
↓ すべて共振周波数 7.100MHz(jX<±0.1) 寸法単位:m   Bent型追加 2014/6/24追加,修正

図1の説明  
すべて共振周波数 7.100MHz(jX<±0.1)、20G(dBi)は打上角20°のゲイン(dBi)  エレメントはすべてφ2
1.H12型は、教科書に出てくる7MHzダイポール。地上高の影響でインピーダンスは89Ω、打上角20°のゲインは1.69dBi。
  使うためには、89:50Ωの変換(バラン等)が必要。
2.M12型は、地上高の影響でインピーダンスは61Ω、打上角20°のゲインは1.14dBi。SWR1.21なので同軸ケーブルが直接
  接続することが出来る。打上角20°のゲインは1.14dBiなので、DXにはIV型より良い。
3.IV型は、地上高の影響でインピーダンスは53Ω、打上角20°のゲインは0.12dBi。SWR1.07なので同軸ケーブルが直接
   接続することが出来る。打上角20°のゲインはほとんど無いのでDXには向かない。
4.H7.3型は、地上高の影響でインピーダンスは50Ω、打上角20°のゲインは0.85dBi。SWR1.01なので同軸ケーブルが直接
  接続することが出来る。打上角20°のゲインはほとんど無いのでDXには向かないが、IV型より良い。
5.25H型は、地上高の影響でインピーダンスは56Ω、打上角20°のゲインは7.7dBi。SWR1.12なので同軸ケーブルが直接
  接続することが出来る。打上角20°のゲインは7.7dBiなのでDX向きで、ダイポールとしては最高!。(この高さなら・・

6.Bent型は、昔、よく使っていましたが、まあまあです。
2014/6/18追加
7MHzの場合は、周囲の影響を受けるので実際にはこのデーターの付近で特性は変化する。

 
          25Hの垂直面パターン                 IV12の垂直面パターン


ベント型を追加  2014/6/18
 エレメントはφ2
20G(dBi)は打上角20°のゲイン










★7MHzダイポールを地上高を変えるとインピーダンス、ゲイン等が大きく変化する。  
2014/10/9
地上高26m付近にすると、Z=R57.15+jX1.479、 SWR1.15、 Ga7.81dBi、 Elev°21.7となる。






                                            目次に戻る
           おわり