01.HBM(HB9CV modoki) 2ele 3ele 4ele を作って電測をしました。 
     
de JA1CPA/中村   2010/3/26  2010/3/28   2010/3/30    2010/4/4

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☆イントロ

  435MHzのHBM、 
2ele  3ele  4ele をアンテナ・シミュレーションで計算し、ゲイン最大、jXゼロ±0.5点を

  求めて、同軸ケーブルでマッチングして、435.3MHzでSWR=1.2以下にしました。

 @2eleについては、ラジェーターとリフレクターの中間に給電コネクターを付けた物(2eleM)と通常のHB9CVと同じ

  ラジェーターの所に給電コネクターを付けた物(2eleF)を作りました。

 A3eleについては、通常のHB9CVと同じラジェーターの所に給電コネクターを付けた物(3eleF)としました。

 B4eleについては、通常のHB9CVと同じラジェーターの所に給電コネクターを付けた物(4eleF)としましたが、イン

  ピーダンスが低すぎてマッチングしにくかったので、ラジェーター/リフレクター共にフォールデット型としました。

 C比較の為に、マスプロの8eleYagiも測りました。


 
下の写真は3eleのシミュレーション例です。 ゲイン最大にしたので、F/B比は悪くなっています。
                                                 
(シミュレーションソフト:MMPC)



☆測定に使用したアンテナ達

写真左から、
受信用基準FD、送信用DP、2eleブーム中央給電、2eleブーム前給電、3eleブーム前給電、   4eleブーム前給電、   マスプロ8eleYagi、


☆給電部
 
  
2eleFの例(3ele、4eleも同じ)              3D-2V 同軸外皮をM-Rの芯線へ
   同軸先端部は外皮と芯線をエレメントに接続する(防水処理は別途行う必要があります) 
 

マッチング部分の同軸ケーブル

寸法はあまり正確で無くて良い

M-Rフランジ(アース側)はブーム及びエレメント中心に接続されています。
 調整は、周波数はエレメント長で、SWRは同軸ケーブルの位置で行います。SWR:1.0に出来ます。(詳細は後述)


☆測定環境

 
送信アンテナ                  受信アンテナ(3eleFの例)
                             測定アンテナのラジェーターの位置を同じにした。





左写真:受信アンテナの後ろから、左上の向こうに送信アンテナが。



送信アンテナ:約4mH

受信アンテナ:約1.5mH

送受信間距離:約20m

途中に樹木の小枝が有る。

送信:438.1MHz、5W(全電波形式、実験・研究用)



受信側の測定方法:アッテネーターゼロで受信用基準FDで受信し、

電圧(mV)を記録し、他の測定アンテナの時の電圧(mV)及びアッテ

ネーターを入れて、受信用基準FDと同じ電圧(mV)になったときのアッテネーター値を記録した。




☆測定データー(1回目)
           受信電圧(mV) アッテネーター(dB)
(ダイポール比)
   dBi (計算値)
受信用基準FD    0.7
   0.7
     0    2.15
2eleM    2.3
   1.75
     5.5
     4.3
   7.65
   6.45
2eleF    2.5
   1.7
     6.0
     4.0
   8.15
   6.15
3eleF    3.6
   2.5
     7.0
     6.0
   9.15
   8.15
4eleF    2.9
   2.6
     6.5
     6.0
   8.65
   8.15
8eleマスプロYagi     6.8
   5.4
     9.5
     8.5
  11.65
  10.65



枠内上は1回目の測定、下は2回目の測定

1回目より2回目が、送信出力が低下(5W→4W)

していた。


注)電圧比、電力比とアッテネーター値が必ずしも一致していません。別途検討必要。
(2010/3/28)








☆考察

 
@4ele以外は、ほぼ予想した値となったと思います。

 A4eleについては、インピーダンスを上げるために、ラジェーターとリフレクターをフォールデットにし

  たのが、効果が無かったようです。

 B2eleM、F の給電位置による違いは測定誤差の範囲でした。
 
 C受信電圧が小さすぎるので、距離を15m、出力10Wにして、受信場所を送信アンテナの向こう側

  (公園のグランドゴルフ場)にすると、障害物も無くもう少し確度が上がると思います。(送信アンテナ

  は公園との境界に設置した)

 D一般的に屋外での電測は、地面からの反射や周囲からの反射が有って、アマチュアにとっては

  定量的な測定は困難です。従って、多くの場所、
信頼のおけるメーカー製のアンテナ、多くの自作

  アンテナ等々を出来るだけ
「同一条件」で比較測定する必要が有ると思っています。


☆3ele HBM(HB9CV modoki)のデーター
 
@エレメントデーター
     シミュレーション
計算 長さ(mm)
修正した
  長さ(mm)    
  太さ(mm)
リフレクタ(Rf) 329 337 6φ×1t
ラジェータ(Ra) 314 322 6φ×1t
ディレクタ(D1) 302 310 6φ×1t
スペース(Rf-Ra) 70 70
スペース(Ra-D1) 180 180
ブーム 約500 約500 12×12×1.5t


「修正した長さ」はブームの太さによる影響を考慮した物です。

修正した長さ=「シミュレーション長さ」+(ブーム太さ×0.7)

計算例:337=329+(12×0.7)=329+8

長さの誤差は、1mm以内とする

 シミュレーションはブームの太さは考慮していません。HF帯の場合は無視できますが、V,UHFでは影響を受けます。
 この計算では、ブーム太さの0.7倍をプラスするとちょうど良かったのですが、ブームの太さが大きく変わると0.7倍
 と違ってくると思います。



 ASWR特性
帯域はあまり広くない
  SWRの測定は、BR-510Dを使いました。BR-510Dは共振型なので、SWR最低点が同調周波数になります。


マッチング部分の同軸ケーブル

寸法はあまり正確で無くて良い



 
調整は、周波数はエレメント長で、SWRは同軸ケーブルの位置で行います。SWR:1.0に出来ます。
 マッチング用同軸ケーブルの位置やエレメントとの距離を変えると周波数やSWRも少し変化します。
 また、接続部の防水処理によっても周波数やSWRが若干変化します。
シリコンゴム材(防水処理材)、
品名:ボンド「変成シリコン
コーク」、色調:ホワイト、品番:#27032
信越化学:品名 KE-45                            等はUHF帯でもあまり影響しないようです。

上記のシール材は、小容量では入手しにくいので、下記のものを使ってみました。(2010/4//5)
「バスボンドQ」コニシ株式会社、品番:#04888、半透明、50mlチューブ入り。
これは浴室のシール材でシリコーン樹脂100%と書いて有ります。非常に粘性が高くチョット使いにくいのと、硬化するのに2〜3日
かかりそうです。浴室用なので防水性は問題無いと思います。

高周波特性は435MHzでは問題無く使えそうです。(試用中)
なおシリコーン材全体に言えることですが、超絶縁性なのでコネクターのネジ部等の電気的に接続する部分には絶対付けないようにしないと、
電気的導通が無くなったり、導通特性が悪くなります。



   
                                       
 「バスボンドQ」を塗布したところ



☆2回目の測定                  2010/3/28   (参考)を訂正しました
  @測定結果
   
   
 

  A測定環境
   
    
4eleのFDを水平にしました。


  B電界強度計
   
           
電界強度計外観                                電界強度計回路(写真入替え)


  C考察
  
 ・2ele 3eleは前回とあまり変わらなかった。

   ・4eleはFD部分をエレメントと同じ面(水平)にしたためか、3eleと同等となった。しかし 4eleとしては機能してない

    感じです。 もう一度FDで測定してから、FDをやめて測定してみます。(追加)

   ・8eleYagiのゲインが1回目より少なく計測された。?

   ・計算値(参考)の値は、1SS16のダイオードの特性から受信基準FDの電圧が小さいので、

    他の電圧との比が大きく出ているように感じています。

   ・このタイプでは、3ele程度が実用的ではないかと思います。


   
 2010/3/28 AO-51(1624)から、435MHz/3ele水平を設置しました。(今までは、2ele×2スタック)
    



☆3回目の測定                2010/3/30
 
 
受信アンテナの仰角を変えて測定しました。

@測定結果                           (参考)を訂正しました
 

  
     
  仰角0°(水平)                仰角28°(送信アンテナ方向)          仰角90°(垂直、上向き)


 A考察
 
 ・受信アンテナの仰角を変えて、受信電波の変化を測定したので、サテライトの動きとは違ったパターンと思われる。

 
 ・受信基準FD及び2eleはビームパターンがブロードのためか、地面反射の影響で仰角0°(水平)が一番強かった。

  ・3ele、8ele はビーム方向が一番強かった。

  
・2eleを水平偏波、水平設置、地上高を低くして、地面反射を使って見るのも面白いかも知れません。
  
 
 ・移動局が地上高1m程度てやる場合は、ビームパターンのブロードなものでも良いのではないかと思います。

  
 特に地面が鉄板等で電波の反射率が高い平面な所は良いのではと思います。

   プロの電測サイトは、鉄板で鏡面状態にして、反射率100%にして、その反射を計算で差し引いてアンテナゲイン

   を算出しているのを見た記憶が有ります。(違ったかな?)


 



2010/3/30現在のサテライト用アンテナ、

地上高4m、仰角30°固定


145MHz 2ele×2スタック、
垂直偏波

435MHz 3eleシングル、
水平偏波









☆4回目の測定                      
2010/4/4
  @測定結果
    
3ele F(new)は新規製作した。(SWR:1.05/435.7MHz)                 (参考)を訂正しました
   


 A測定環境
 
 
植木屋さんが来たので、電測に障害になる枝をすっきりしてもらいました。(完全見通し)


 B考察
 
 ・前回と同じ3eleは受信基準FD比で6dBから5dBに1dB低く測定された。

  ・前回と同じエレメントデーターで新規に作った3eleは前回と同じく7.5dBとなった。

  ・2eleは地面反射の影響を強く受けていると思われる。

  ・いずれにしても±1dB程度の測定誤差は有ると思われる。

 3eleが2本出来たので、水平スタックで使ってみます。





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 おわり