パトライトスイッチ

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特別支援学校の運動会で使用するスイッチとその周辺装置を製作した。

【開発目的】
運動会で、重度の障がい(四肢がほぼ動かない、言葉を発せない)を持つ児童が、自分の意志で車いすを押してもらうことを介助者に指示することで徒競走に参加させたい。

【対象児童の状況】
小学6年生。四肢はほとんど動かせないが、腕を固定具で固定すると、自分の意志でスイッチをわずかに押す動作がみられる。押しボタンスイッチ等、力が必要なスイッチを操作する力はなく、ごくわずかな力で動作するスイッチが必要である。

【機器の概要】

○スイッチを押すことで児童の前にある手元ライトが点灯し、介助者が手元ライトの点灯を確認した時にだけバギーを押すことで、徒競走の競技に参加する。

○パトライトは交流100Vを変圧器で直流12Vに変圧するタイプのものが提供されたので、内部の変圧器を外して軽量化し使用した。
○観客にもよくわかるよう、介助者の頭上にパトライトも点灯した。100均のパーティーグッズの帽子の内部に薄い合板を入れパトライトを固定、裏側全体を梱包用テープで補強し、頭への固定用にリボンを取り付けた。


○電源はパトライトに合わせて12Vとし、移動と充電を考えて電動工具用のバッテリーを使用した。着脱可能なようにバッテリー固定用のプラスチックケースに入れスポンジで固定、バッテリーの+−の接点から電力を取り出すため専用のバッテリーケースを製作し、上からかぶせた。


○手元ライトはパトライトの予備球を使用し、バッテリーケース内に固定した。

○スイッチは、レバー付きのマイクロスイッチを採用、スイッチレバーはファイルのプラスチック留め具を転用しマイクロスイッチのレバーに接着した。押し過ぎや引き過ぎ、横倒し防止のためプラスティックケースでスイッチカバーを製作した。



今後は多少高価だが耐久性に富む、ロッド型のスイッチを推奨する。(2019/07/02追記)



○スイッチとバッテリーケース間の接続は、他に転用できるようにφ3.5のモノラルミニプラグとジャックで行った。また緊急時に介助者が行動しやすいように、パトライトとバッテリーケース間の線(約1500mm)の中央にφ3.5のモノラルミニプラグとジャックを入れて取り外し可能とした。

○スイッチやバッテリーは装置固定枠に固定した。装置固定枠はバギーの着脱式テーブルに、2枚の平行な板でテーブルに挟む形でスライドして取り付けた。テーブルへのねじ等で完全な固定を避け、テーブルの緩衝スポンジの反発力を利用して固定した。
【介助者から】「事前の練習から当日まで、児童の腕の可動域が日によって微妙に異なるため、スイッチの位置を前後左右の微妙な調整ができたのが良かった」との報告を得た。