ミニ授業書<電気と電子> 5ページ

電 子 の 移 動

 帯電板を使うと、アルミはくでも蛍光灯を光らせることができました。蛍光灯をコンセントや電池につながないのに、蛍光灯の中を電気が流れたのでしょうか?

 科学者は蛍光灯が光るときには必ず電気が流れていることを確かめています。そして、電気が流れるときには、マイナスの電気をもつ小さな粒=電子が移動していることも分かっています。

 ものとものとをこすり合わせたときにも電子が移動します。

 発泡スチロールの板を毛皮でこすると、毛皮から発泡スチロールに電子が移動します。電子は発泡スチロールの板の中をほとんど移動しないので、毛皮でこすられたところに電子がたまります。

 電気が起きた発泡スチロールには、電子がたまっているのです。余分な電子は、たいていのものの間を自由に移動しますが、発泡スチロールでは移動しにくいのです。

 ものとものの間を電子が移動しないようにすることを「絶縁(ぜつえん)する」といいます。アルミはくの下に置いた発泡スチロールの板は、アルミはくと机の間を「絶縁する」しています。

 電子はアルミはくの中にもたくさんあります。アルミはくに帯電板(電子を余分に持つ)を近づけると、帯電板の近くのアルミはくの電子は帯電板から遠ざかろうとします。アルミはく(A)から(B)へ電子が移動する=電気が流れるわけです。帯電板を遠ざけると、アルミはく(B)に移動した電子は、アルミはく(A)に戻ってきます。

 [問題2]では、アルミはく(A)と(B)の間に蛍光灯を置きました。帯電板で電子がアルミはく(A)と(B)の間を行き来する時に、電子は間に置かれた蛍光灯を通るので蛍光灯が光ったのです。

 蛍光灯は電子が左右どちらの向きに移動しても同じように光ります。

 [問題3]では、電子がアルミはく(A)から(B)に移動したままで、アルミはく(A)と(B)を離しました。その結果、アルミはく(A)は電子不足の状態になり、アルミはく(B)は電子が余った状態になったのです。

 [問題4]では、帯電板をアルミはくに近づけて、電子をアルミはく(B)に移動させましたが、アルミはく(A)と(B)がつながったまま、帯電板を遠ざけたので、アルミはく(A)から(B)へ移動していた電子は、アルミはく(A)に戻ってしまいました。アルミはく(A)と(B)は元の状態、電子が不足していたり余分に余っていない状態に戻っていたのです。

 電気を起した発泡スチロール板(帯電板)や、[問題3]のアルミはく(B)のように、電気を余分に持つものに蛍光灯を接触させると蛍光灯は光ります。また、電子を余分に持つものだけでなく、[問題3]のアルミはく(A)のように、電子が不足しているものでも蛍光灯は光ります。

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