こんにちはいっと6けん

テレビで放送された映像のおこしです。

「カルチャークリック」という10分弱コーナーで現代狂言の紹介がありましたので、おこしてみました。
映像は基本的に稽古の様子。アナウンサー二人は、声が入るだけです。

稽古中のVTRがたくさん流れたのですが、台詞や動きには全く触れていません。


竹澤「今日はですね、ウッチャンナンチャンのナンチャンこと南原清隆さんの現代狂言をご紹介します」
結城「現代、狂言? 狂言なんですか?」
竹澤「そうなんです。古典の笑いである狂言と、現代の笑いであるコントを融合させて、新しいジャンルに挑戦しようというものなんですね」
結城「なるほど」
竹澤「今月末に行われる舞台を前に、今ちょうど稽古が行われています。まずは、どんな舞台なのか取材してきました」

VTRへ

昼間。教室のような部屋。大きな窓から外が見え、日の光が差し込んでいる。
白い壁。木の床。壁の前には大きなホワイトボード。
壁際に座って、楽器を演奏する人が二人。
部屋の中央、カメラの前に立って稽古中の南原さん。
黒いジャージのズボン。灰色の長袖Tシャツ(背中にユーリンタウンのロゴ)。眼鏡。
カメラが南原さんに寄る。

竹澤「ナンチャンこと、南原清隆さん。新しい笑いを作ろうと始めたのが現代狂言です」

南原さんが移動すると、カメラも動く。
ホワイトボードの脇に大きな黒板。時計があり、12時15分ぐらい。その前に、台本のような紙を前に座っている人がもう一人。

竹澤「現代のコントと狂言を融合させようと考えました。作品は今回の舞台のために作られた新作です」

映像が切り替わる。演奏つき。

竹澤「現代の日本に神様がやってきて、美しい言葉を捜し求めるというお話です」

天野さん、登場。天野さんは片手に台本。

竹澤「その神様を演じるのが南原さん。神様がやってきたのは、東京、秋葉原なんです」
結城「秋葉原?」
竹澤「はい。秋葉原で出会ったオタクに教えてもらったのは」
結城「えぇ」
竹澤「こんな言葉でした」

天野さんにカメラが寄る。天野さんの台詞は、狂言口調と現代口調が混ざっている。

竹澤「その“萌え”という言葉の意味を知るために、メイド喫茶やフィギュアショップに連れて行ってもらい、騒動が起こるというお話なんです」

結城「はい」
竹澤「最近の世相や風刺が取り入れられているんですね。南原さんは台詞回しや動きなどの所作など、狂言の型を使います」

南原さんにカメラが寄る。

インタビュー映像に切り替わる。眼鏡を外して、黒いTシャツ姿の南原さん。

南原「狂言に現代人をだそうっていう、ことですかね。狂言に、我々、現代人の日常を出そうっていう。(左手で右の首筋を触りながら)やったら、どうなるんだろうなぁっていうのが、はい、心にあるんですけど」

南原「コントの良いところ、狂言のすばらしいところを、単純にこう、合体させたら、どんなのできるんだろうっていうことですよね」

VTRが切り替わる。
稽古中、台本を片手に相談をする南原さん。
向かって左にルー大柴さん、右に演出家の壌さん。

竹澤「物語の原案を考えたのは、南原さんです。稽古をしながら、思いついたことを演出家に伝え、より面白い物語を作ろうとしています」

インタビュー映像に切り替わる。作・演出の壌晴彦さん。

壌「久しぶりにものすごい刺激的なことをやっているなっていう感じですよね。あの、まぁ、両方お笑いのものですけれども。でも、それが今まで出会わなかったことが返って不思議だなぁっていう感じで。そういうのは、何が面白いかっていって、お芝居の場合って今やもう、俳優たちは演出家のいうことを待つんですよね。ところが、ああいうお笑いの人たちっていうのは演出ではなくて、自分たちのあるセンスが勝負ですから。非常に、その、こうした方が良いんじゃないか、ああだとか、うまくいかなかったときには、なんでだろうっていうディスカッションが、ものすごく行われている。そこがすごい面白いなぁ」

稽古中のVTRへ。

竹澤「シテとワキといわれる登場人物のかけあいで進行する喜劇、狂言。南原さんは狂言を演じる中で、気づいたことがありました」

インタビュー映像に切り替わる。

南原「ボケとツッコミっていうのを、僕なりの解釈なんですけど、どっから来たんだろうなって、前からずっと考えてたんですよ。そうすると、狂言にはもうあった、と。もしかしたら、この二人とか人数でやるっていうのが、日本人のオリジナリティじゃないのかなぁっていうのが、ボケとツッコミっていうのが」

南原「600年ぐらい前から日本人のポイントに、心のひだにはあったっていうことにびっくりしまして。そういう日本人的なギャグっていうのは、めんめんとこうあったんで、これはなんだろうなっていうのが驚きでしたね」

スタジオに切り替わる。

結城「なるほどねぇ。あのお笑いコントと狂言と、ボケとツッコミという意味でつながっていると。なるほどね。面白いですね」
竹澤「たとえば、歴史の中にあったのが驚きだったとおっしゃっていたんですけど、あの、狂言を学んでいくうちに、南原さんは日本は対の文化だと教わったんだそうなんですね」
結城「対っていうのはペアというか、二個で一個ってことですよね」
竹澤「そうですね。たとえば、おすしを一皿頼むと2貫でてきますね」
結城「あぁ、確かに」
竹澤「箸は一膳で二本の棒」
結城「なるほど」
竹澤「それから、屏風は一双、2枚で一つの絵」
結城「はぁ」
竹澤「ということで、日本は二つで一つという考え方なんですね。狂言の世界でもシテとワキ。それから、現代のコントでもボケとツッコミで対ということで、笑いの世界にも通じるものがたくさんあるんだとおっしゃってました」
結城「なるほどね。それで、日本の文化についていろいろね、こう考えが深まってきそうな気もしてまいりますが」
竹澤「はい」
結城「しかし、あの、お笑いの、コントの世界であんな活躍している南原さんが古典の方に目を向けるっていうのは、どうしてだったんでしょう?」
竹澤「南原さんは、今年で41歳で、まぁ、本当に長い間お笑いの世界で活躍してきたわけなんですが、もっと違う形で笑いというものを表現できないかという風に、ずっと考えてきたそうなんですね。で、今回はそうした意味で、大きな挑戦となったそうなんです」

稽古中のVTR

南原さんと天野さんが並んであぐらを書いて座って、台本を読みながら相談。

竹澤「南原さんは21年前、ウッチャンナンチャンとしてデビューし、お笑い界をリードしてきました。しかし、流行にあわせて次々と目新しいネタだけを作ることに疑問を持ち始めていました。時代に流されない、普遍的な笑いがあるのではないかと、考えるようになったと言います」

インタビュー映像に切り替わる。
南原「自分の今の、こう、コントっていうものと、(ちょっと宙をみて)また別のこう、見せ方っていうか、なんていうか、なんかはあるんじゃないのかなぁ、と(手を細かく動かす)自分の中でたまってたっていう感じなんですけどもね」

台本を床において、車座になって相談中のVTR。

竹澤「コントを生かして、新しい笑いが作れないものかと挑戦を始めました。そこでまず、落語とコントを組み合わせることを思いつきました」

インタビュー映像に切り替わる。

南原「一番最初のお笑いが、僕、落語だったんで、それをベースにいろんな落語を作ってみようということで、立って落語をやったんですね。立ち落語ってやったんですけども、これがですね、マイク一本の前でやったんですけども、これが、非常に、こう、難しかった、と。落語って言うのは座って、膝から上のところで歩いてみたりとか、走ってみたりっていう、想像させるのがあったんですけども、まるっきり立ってしまうと、この想像させるには何か芸がいるということに気がついて・・・」
(話の途中で音声がフェードアウト)

万之丞さんの写真に切り替わる。

竹澤「どうすれば新しい笑いができるのか迷っている中、出会ったのが2年前に亡くなった狂言師、野村万之丞さんでした。万之丞さんの元で狂言を体験することで、南原さんは答えを見つけられるのではないかと感じました」

インタビュー映像に切り替わる。

南原「狂言とかは、もうきっちりとできてるんで、で、万之丞さんに習ったときに、この形になれば笑いになるっていうのがあるんですよ。自然にこうアハハっと声が出ちゃうって言うのがあるんで、なんていうか、それは、うまくコントに取り入れられないかな、と。普遍的なものがなんかできないかな、というのはあったんですけど」

野村万蔵さんに所作の指導を受けている南原さん。

竹澤「狂言は、所作といわれる人間の動きで情景や心情を表現します。南原さんはこの所作の中に普遍的な笑いの型があるのではないかと考えました」

南原さんの稽古の様子。

竹澤「ここは、人にぶつかってしまうシーンです。ぶつかった仕草も狂言の型を教わります」

先ほどの所作に対して、先生の指導。

竹澤「動作を大きく、体の動きから物語が伝わるようにします。こうして、観客の注意をひきつけるんです」

インタビュー映像に切り替わる。

南原「最初、出ていくときに、橋渡り(?)をこう、入ってきまして。こうきて(立ち上がって、一歩前に出る南原さん)、半歩下がるっていう仕草が、まぁ、そういう所作があるんですけど、半歩下がるのにも意味がある、と。万之丞さん曰く、人間ってこう(中腰で前に一歩出る)きて。たとえば、(今度は、立ち上がってカメラ目線のままカメラに近寄り、すぐに下がる)“あの・・・”っていうと(座りなおす)、一端、寄られて、引くと、見ているお客さんが、ふっと、ちょっとこう前のめりになる、そのときに“このあたり”ってつかむっていう」
(話の途中で音声がフェードアウト)

稽古中の南原さんの映像。

竹澤「観客を物語りに引き込む所作。それをコントに取り入れることで、新しいジャンルの笑いが生み出せるのではないかと、南原さんは思うようになりました」

インタビュー映像に切り替わる。

南原「まさに狂言の立ち方っていう、所作がですね、想像させるってことに。あぁ!って合致しまして。求めてたものは、これだったのかっていうのが、自分の中ではじけたっていうか。古典と現代が上手く結びついて、まぁ、次に繋がればな、とは思ってますけど」
(話の途中で音声がフェードアウト)

結城「へぇ。さすがね、狂言は一つ一つの所作がまぁ、計算されているっていうか、ちゃんと笑いに結びつくようにできてる。そこに南原さんの新しい感覚の笑いが入ってくるとどうなるのか、とっても楽しみですよね」
竹澤「ホントそうですね。あの、南原さん、現代のお笑いの世界で活躍してはいるんだけども、日本の芸能というものに強くひかれ、それを取り入れることで、今、新しいジャンルを開拓しようとしているわけですよね」
結城「はい」
竹澤「で、ゆくゆくはですね、この現代狂言というものを、海外に持っていって公演したいという風におっしゃっていたんですよね。それも、日本の伝統のその笑いを使って、現代の日本をそこに映し出すことで、今の日本というものをね、世界の人に知ってもらうきっかけになるんじゃないかな、という風におっしゃってましたね」
結城「そうですね。どんな(?)舞台になるのか、楽しみです。それでは、公演の日程です」
竹澤「はい。公演は、今月の29日、それから30日の二日間です。東京、千駄ヶ谷の国立能楽堂で行われます。お問い合わせはこちらまでどうぞ」
結城「カルチャークリック、お伝えしました」

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