8月7日 GET SPORTS

「南原清隆が見た世界水泳 競泳ニッポンの未来は!?」

chapter1 北島康介「銀メダルの先に・・・」
chapter2 中村真衣「前略、プールより・・・」
chapter3 新世代「Road to Beijing」
スタジオトーク

テロップ「2005.7 in Montreal」

BGMで「BANG! BANG! バカンス!」がかかっている。
ナレ「南原はそこで未だかつて見たことのなかった競泳ニッポンに出会った」

ナレーションと同時に、南原さんがプールを見下ろす客席。
「ここから!」「来た!」「来たよ!」「来たよ!」「来た!」
「よし! メダルだ!」「うぉー」と叫び続けている。
隣の誰かとハイタッチしそうなところで映像が選手のゴール映像に切り替わる。

テロップ
「北島康介 50m平泳ぎ 銅 100m平泳ぎ 銀」
「柴田亜衣 400m自由形 銀 800m自由形 銅」
「日本(森田・北島・高安・細川) 400mメドレーリレー銅」

ナレ「史上初、世界水泳9つのメダル獲得。さらに12個の日本新記録を叩き出した。水の戦士達。今は日本はアメリカ、オーストラリアと並び、完全に世界強豪国との一つとなった」

南原さんの映像に切り替わる。
競泳日本代表元ヘッドコーチの上野広治さんと対談している。

ナレ「実はその飛躍の裏には、競泳ニッポンが今年新たに掲げたあるテーマがあった」

南原「今回の、その、ま、日本代表の目的というか、戦いって言うのは、我々は何処に見ればよろしいんでしょうか」
上野「当然、メダルいくつ、当然、その中でも金メダルを数多くということが目的になると思うんですけど、やっぱり現場としては数多くの入賞者数をまず増やしていく。これが、あの非常に大事だと思ってます」

入賞者の映像。
ナレ「そして、大会を終え出た驚異的な結果。なんと競泳ニッポン、40種目のうち半数以上の25種目で入賞者、すなわち決勝

進出者を送り込んでいたのだ」

手を叩きながら、「すごいなー、あれ」と言っている南原さん。

ナレ「北京へ、大いなる進化を見せた2005年。南原が見た、世界水泳モントリオール。水の戦士達が繰り広げた、熱き戦いとその未来がここに」

ナレーションの間、南原さんの取材の模様がダイジェストで切り替わっていく。

chapter1 北島康介「銀メダルの先に・・・」

北島選手が大会記録で日本新記録を出した予選の映像。

ナレ「まさかの国内敗戦から3ヶ月、何がこの男を変えたのか?」

インタビューに答える北島選手。
北島「駄目だったら駄目っていう、そういう考えだったんで。今回は」

ナレ「最大のライバルとの歴史に残る名勝負。そこで繰り広げられた、緻密な戦略とは?」

平井コーチ「一か八かのことをやらなきゃいけないなぁ、と」

北島選手と南原さんが両手で握手している映像。
テロップ「MONTREAL 南原清隆×北島康介」

ナレ「北島康介、モントリオールの戦いに南原清隆が迫った」

テロップ
南原が見た 世界水泳モントリオール

chapter1 北島康介「銀メダルの先に・・・」

プールで泳ぐ北島選手。
テロップ「競泳種目、開幕前日」

ナレ「世界水泳開幕直前、南原は3ヶ月ぶりに北島の姿を目にしていた」

白いカーボーイの帽子(テンガロンハット?)をかぶって、北島選手を見ている南原さん。
少し微笑みながら「泳ぎが元気そうだね。うん。なんかキビッキビッとして元気そう」

テロップ「アテネ五輪100m・200m平泳ぎ金メダル 北島康介 22歳」

ナレ「オリンピック二冠、北島康介。5年ぶりに敗れたあの日とは何かが違う」

7/24のGET SPORTSで流れたインタビュー映像

南原「感触はだんだんよくなってきてると思われるんですけども、どこら辺が、こう、自分の中では」
北島「やってみきゃ判らないっていうのが一番あれなんですけど、まぁ、ここまでの過程で自信のある泳ぎがちょっとずつ出来てきているので、それは試合でどう出せるかが勝負になってくると思います」

ナレ「この短期間で何故、復調してきたのか。南原は平井コーチの元を訪ねた」

並んで立っている平井伯昌コーチと南原さん。

南原「日本選手権のときとか、すごく心配なさったと思うんですけど」
平井「あの時とは全然、別人が泳いでるんじゃないかっていうようなね。それぐらいの感じで来てると思いますんで」

ナレ「4月の日本選手権だけでなく、6月の前哨戦でも敗れた北島」

テロップ「6月 ミッションビエホ国際大会2連敗」

ナレ「しかし、これはあくまで準備段階での出来事」

平井「ミッションビエホ大会ではね、あまり、その鍛えてきた状態だったんで、あまり良くなかったんですけど、今回、高地トレーニングでかなり良くなったっていうか、本人もなんか、すごい手ごたえを感じてると思うんですよね」

ナレ「高地合宿での泳ぎこみ。これにより、鍛えてきた筋肉が徐々に水中で馴染んできた。そして、北島は大会直前の練習で当時の日本記録に相当するタイムをマーク。王者はこの大一番にしっかりと照準を合わせてきた」

ナレ「そこに立ちはだかるのはこの男。北島、最大のライバル。ブレンダン・ハンセン」

ハンセン「アテネ五輪で負けたことが僕をやる気にさせる原動力だった」

ナレ「去年のアテネオリンピック、自らの持つ記録では北島を上回りながら、勝負に敗れた。その悔しさを晴らしたい一心で、このモントリオールへ乗り込んできた」

(しばらく南原さんと関係なくVTRが進むので、ダイジェストで)

100m予選の様子、レース後のコメント。
準決勝ではタイムが逆転。
その映像を元に平井コーチが考えたボーダーラインは世界新。
わずかなミスが敗北を意味する。自分のレースをさせることが一番。

決勝当日。スタッフ用の席(?)に用意されたモニターでレースを見守る南原さん。

決勝のレースのVTR。ラスト25メートルの勝負。勝ったのはハンセン。

南原「うわぁー」
マイクを頭にあてている。

レース後のインタビュー。平井コーチのコメント。

表彰式。
ナレ「北島康介、世界大会で初めて手にする銀メダル」

それを見守る南原さん。
南原「笑顔を作ってるって感じだよねぇ。まぁ、でも、もうやる気になってるんじゃない? まぁ、今晩辺り悔しさがどんどんわいてくると思うけどねぇ」

ナレ「100mでは敗北を味わったこの男、ただでは終わらなかった」

タッチを修正し、50mで銅メダル獲得。リレーでは、ハンセンを上回るタイム。

北島「金じゃなかったけど、先の見えた銀メダル」
北島「ここからまた勝負っていう気持ちにさせてもらいましたね」

ナレ「北島康介、22歳。銀メダルの先に、新たな可能性を信じて」

chapter2 中村真衣「前略、プールより・・・」

テロップ
南原が見た 世界水泳モントリオール
chapter2 中村真衣「前略、プールより・・・」

中村選手のゴール映像。
応援席で両手をグーにして口元に当て、うなっている南原さん。
右手だけ離すが、左手はグーで口元に当てたまま。悔しそうな顔。

ナレ「もしかして、このレースが彼女にとって最後になってしまうのではないか。南原の頭にはそんな予感が漂っていた」

映像が中村選手の映像に切り替わる。

ナレ「背泳ぎ代表中村真衣選手、26歳。シドニーオリンピック、100m背泳ぎ銀メダリスト。世界水泳モントリオール、50m背泳ぎ・・・4位。彼女は今、どんな想いでいるのだろう」

映像が、南原さんの目のアップに。

ナレ「翌日、南原は中村選手と再会することになっていた」

テロップ「再会」
右隅に「中村真衣 再会はいつもプールで」

ナレ「2000年、シドニーオリンピック。その舞台で銀メダリストになってから、中村選手は世界の舞台で思うような成績を残せない日々を送っていた。周囲からの過剰な期待。それに応えようとして生じる、焦りと緊張。プレッシャーの中で自分を見失い、勝てなくなっていった」

テロップ「2003年 新潟・長岡市」

ナレ「彼女がそんな苦しみを抱えていた、2年前」

明るい緑のポロシャツ姿の南原さん。髪が短い。
南原「さぁ、長岡に・・・」

ナレ「地元長岡で練習する中村選手を南原が取材に訪れた」

プールサイドで練習を取材する南原さん。
南原「すごいね、これ」

応接室のような部屋で中村選手にインタビューする南原さん。

南原「負けちゃいけないっていうのは、何に対して負けちゃいけない?」
中村「それは、それは、あの、勝負です。勝負に、やっぱり、あの、メダリストだから、そんな若手に負けてらんない、とか。勝ち負けばっかりにこだわってしまっていた」
南原「うん」

ナレ「彼女の心の葛藤を聞いた後」

中村「じゃーん!」
バックから何かを取り出す中村選手。
笑っている南原さん。
中村「新潟限定キティでーす」
南原「じゃ、これで、これ持って応援行きますよ」
中村「もう、是非」
南原「世界水泳」

ナレ「迎えた、世界水泳。バルセロナ。100m背泳ぎのレース」

ストップウォッチと一緒に、キーホルダーを握り締めている南原さん。
白いTシャツにオレンジのシャツ。
レースの映像。中村選手が遅れていく。

南原「うわぁ」

キティちゃんのキーホルダーをグーで握り締め、口元にあてている南原さん。
ちょっと泣きそうに見える。中村選手は7位。

ナレ「ここでも本来の実力を発揮することが出来ず、もしかして自分もあの取材で彼女に余計なプレッシャーをかけていたのでは。南原にはほろ苦い後悔が広がっていった」

まだストップウォッチとキーホルダーを握り締めたまま、遠くを見るような表情。

ナレ「2004年、アテネオリンピック代表選考会」

3位だった中村選手。代表落選。

記者「水泳、この後も続けられる?」
中村「うーん、どうしようかなっていう感じで。うーん、どうしよう」

ナレ「三度目の挑戦となるはずだったアテネオリンピックは代表落ち、一時は選手を引退することすら考えた。そんなとき、今までに触れたことのない水泳に出会う」

地元のプールでの水泳教室(?)に参加したり、子供達に水泳を教えている中村選手。

ナレ「子供達は水泳を楽しむ心を教えてくれた。引退を考えていた友の再挑戦」

アテネ五輪での田中雅美選手の映像。4位。

ナレ「彼女から、諦めない勇気をもらった。もう一度、水泳を続けよう。そう決意した」

2005年世界水泳代表選考会。50m平泳ぎ決勝。1位でゴールし、嬉しそうにガッツポーズ。

ナレ「世界水泳モントリオールへの切符を手にし、久しぶりに感じた泳ぐことの喜び。中村選手の中で、水泳に対する新たな気持ちが芽生え始めていた」

プールサイドで取材に応える中村選手。
中村「なかなか最近、国際大会で自分の納得いく泳ぎっていうのが出来ていないので、挑戦者として臨みたいですし、自分の泳ぎが、精一杯そのときの力が出せれば、良いと思ってます」

テロップ「世界水泳モントリオール2005」

ナレ「チーム最年長のベテランスイマーとして迎えた5回目の世界水泳。若いスイマー達がこの大会を経験の場ととらえる中、中村選手にはある覚悟があった。もう一度、自分の泳ぎを取り戻す。あの過去の自分を乗り越えた先にあるはずの、自分本来の泳ぎを」

ナレ「女子50m背泳ぎ。実は中村選手、世界水泳ではこの種目、初めての決勝進出。南原はあえて、試合前の取材を控えていた」

観客席の南原さん。にこやかな顔から、真剣な顔へ。

ナレ「今度こそ、納得いく自分の泳ぎをしてもらいたいから」

レースの映像。バサロスタートから浮き上がった時点で、2位。

見づらいのか、体をずらしながら
南原「悪くない、悪くない!」

ゴール。タッチの勝負。

南原「3位か?」

うなりながら、両手を握り締め目にあてる南原さん。
中村選手、4位。

最初の映像に戻って、両手をグーにして口元に当て、うなっている南原さん。

ナレ「タッチの差でメダルを逃す、4位。それでもこれが精一杯の泳ぎと結果に満足し、水泳をやめてしまうという予感もある。これが彼女の最後のレースになってしまうのだろうか。彼女は今、どんな想いでいるのだろう」

テロップ「翌日」

ナレ「南原はちょっぴり心配を抱えながら、中村選手と再会した」

水辺の公園。先に待っている南原さん。
ピンクのTシャツの上にストライプの入った白いシャツ。
そこに向かってくる中村選手。
中村「お疲れさまでした」
中村選手の右手と両手で握手する南原さん。
南原「お疲れさまでした」
中村「お疲れさまです」

ベンチに座る二人。
南原「まぁ、レースが終わって、一晩経って。どうですか?」
中村「やっぱり4番になって、すごい悔しいっていう想いもすごく強いですし、全然寝れなかったですね」

ナレ「しかし、彼女の口をついて出たのは、悔しいという強い想い。現状に満足しない、現役アスリートの魂が蘇っていた」

南原「11年ずっとこうやってきてね」
中村「はい」
南原「全然違った感じで臨めたんですかね? 大会とかは」
中村「今回はあの、自分の期待に応えようというか、自分の目標をクリアしようと思ってきたんで」

ナレ「メダルまで、わずか0秒14。それはタッチの差。紙一重でメダルを逃した悔しさと世界の舞台で再び好レースを出来た喜び。レース翌日の中村選手は、その狭間で戸惑っているようにも見えた」

ナレーション中、音声オフで中村選手と談笑する南原さんの映像。
足を組んでベンチに座り両手で体を支える、リラックスした感じ。

姿勢をただして足を下ろし、手は膝の上に戻っている南原さん。
南原「ここにきてね、モントリオールで見たら、また新しい感じなとこにきてるなって。もう少ししたら、本当になんか楽しく泳ぎそうな感じがするんですけどもね」
中村「そうですね。なんかもう少し、自分でも何があるのか判らないんですけど、でももう少しこう、何かを抜け出せたら、本当楽しく水泳が出来んじゃないかなっていう、そういう気持ちもあるんで、もう少し続けられるかなっていうのはあるんですけど」
南原「うん」

ナレ「もう気負いはない。次に会うときも、きっとまたプールで。中村選手の笑顔に、南原はそんなシーンを思い浮かべた」

テロップ「草々 またプールで!」

chapter3 新世代「Road to Beijing」

南原が見た 世界水泳モントリオール
chapter3 競泳ニッポン新世代「Road to Beijing」

ナレ「この夏、史上最多となる9つのメダルを獲得した競泳ニッポン。しかも40種目中で日本が入賞を果たした数はなんと25にも及んだ。中でも南原が注目したのは、今回、世界大会初出場ながら入賞を果たした選手たち」

客席で笑いながら誰かと話をしている南原さん。
フリースっぽくも見える地の厚い黒の上着を着ている。

ナレ「水泳王国ニッポンを世界に植えつけた背景には、若手選手たちの活躍があるからだ」

プールサイドで、傘を持って選手を見ている南原さん。

ナレ「南原は目覚しき飛躍を遂げるその新星たちを直撃していた」

会場外の公園らしき場所に立っている南原さん。白いTシャツの上に水色の半袖シャツ。
柴田隆一選手が笑顔で近づいて、柴田選手の右手に両手で握手する南原さん。
お互いに礼。もう一度、今度は柴田選手も両手で握手。

柴田「一発一発全力で行って、ばてちゃった感じだったんです。常にこう、メダルを頭に入れて」
南原「うん」
柴田「それに向かってやっていかないと駄目だな、と思いました」
南原「心の余裕とかそこら辺が、メダル取る取らない人の差だったって感じしました?」
柴田「僕はまだちょっと心が弱いな、というのを痛感しました」

レース後、佐野選手にインタビューしている南原さんの映像。

佐野「決勝はすごい緊張しましたね。初めての経験だったので」

佐野「もうちょっといけるかなーと思ったんですけど、まだまだですね、はい」

ナレ「彼らの中には世界を経験することで、高い目標意識が芽生えていた。一方、開幕直前、南原は鈴木ヘッドコーチからメダル獲得の秘策を聞き出していた」

幕が貼ってある場所(プールの下?)で、鈴木ヘッドコーチと握手する南原さん。

鈴木「ま、オリンピックが終わった翌年ですから」
南原「はい」
鈴木「だいぶ戦い方っていうのは違ってくると思うんですけども」

ナレ「一体、どんな戦い方をしたというのか?」

CM

ナレ「世界水泳モントリオール、史上最多となる9つのメダル、25種目で入賞者を出した競泳ニッポン。競泳開幕直前、日本代表のヘッドコーチ鈴木氏は南原にこんなことをもらしていた」

鈴木「まぁ、去年のアテネの勢いを落とさずに、そのまま戦えるかとどうか、というようなことと、きちんと力を十分に引き出すのが各コーチの役目だと思ってますので、その辺を、あの各コーチとも、ま、予選準決勝の結果を見て、十分戦うようにしようじゃないか・・・」

ナレ「その言葉通り、今回のメダリストは過去に国際舞台を一から踏んできた選手ばかりだった。世界大会初のメダルを獲得した松田、平泳ぎの今村もまた、去年のアテネで国際舞台を経験してたどり着いたメダルの獲得だった。また、アテネのメダリスト森田も個人種目では惜しくもメダルを逃したものの、メドレーリレーではその経験から建て直し、銅メダル獲得に貢献。南原は確信していた。世界を経験した選手だからこそ、なしえる結果だと」

表彰式を真剣な眼差しで見ている南原さん。薄紫のシャツの上に、白の上着。拍手している。

ナレ「しかし、今大会、史上最多のメダル数も金メダルには一歩及ばず、北京へ向け、さらに求められるものとは何なのか」

鈴木コーチと話す南原さんの映像。

ナレ「南原が今宵、世界の金メダリストを生み出した名将に迫る!」

スタジオトーク

「G Talk」
いつものスタジオ。
向かって左から、大木アナ、南原さん、鈴木コーチ、中西さんと座っている。

南原「さぁ。ね、と言ったことで、今回は、日本代表の、水泳代表の森田選手とか、鈴木大地選手を育てたヘッドコーチでもあります」
中西「はい」
南原「鈴木陽二コーチに来ていただきました。よろしくお願いします」
3人「よろしくお願いします」
全員で、礼。
南原「さぁ、今回のね、世界水泳の成績というか、メダル数を」
大木「こちら。銀と銅をあわせて、9つのメダルを獲得したんですよね」
大木アナがメダルを獲得した選手の名前が載っているパネルを出す。
南原「ねぇ。えー、今回、こう、オリンピックという大きなイベントの次の年のこういう世界大会というのは非常にモチベーションとか難しいと思うんですけど、日本水泳は何を目標というか目的にしていたんですか」
鈴木「そうですね。あの、2001年から2年に1回の世界選手権が行われるようになりまして、えー、やはりあの、アテネの勢いを落とさない、という風なことと、それから、前回、あのバルセロナの世界選手権で6個のメダルを取ったわけですけど、その6個のメダルを上回る、と。それと、アテネで自由形の強化っていうかですね、これが出来なかったので今後、やはりあの水泳大国と言われるためにはですね、自由形を強化しなくちゃいけない、という風なことを、この3つをですね、テーマとしてあげて、世界選手権に臨みました」
南原「今回」
鈴木「はい」
南原「そしてまた、こう、入賞者数というか、ファイナリストが非常に増えたんですけどね」
大木「はい」
入賞者一覧のパネルに取り替える大木アナ。
鈴木「それはですね、やはりあのアテネで、かなりあの人数をしぼりましたので、やはりあの、北京に向けていくには、若い選手がやはり健闘してくれないと戦っていけない、という風なことなので、今回は人数も多くですね、選んで戦おうじゃないかという風なことが、この入賞が多くなった原因でもあると思いますね」
南原「底辺を広げていって」
鈴木「そうですね」
南原「底上げしていくという」
鈴木「はい」
南原「前回の福岡が25」(前回が福岡???)
大木「そうですね」
南原「入賞が25に対して今回は30。で、しかも、たとえば、初めて世界大会に出た佐野選手とか、残ったりとかしてたりするんですけども」
鈴木「そうですね」
南原「はい」
鈴木「それはやはりあの、アテネの勢いがまずあるということですね。それと、日本には北島、それから柴田亜衣ちゃんていうね、核になる選手がいますよね。で、ここに若い選手も絡まってくると、非常に入賞者も多くなってくる、という風なことだと思いますね。今回は特にあの、第1日目に柴田亜衣ちゃんがありましたし、2日目には、あの北島康介くんがありましたし」
南原「はい」
鈴木「えー、こういう選手が実力どおり発揮してくれますとね、やはりチームにも勢いが生まれますし、それから今回、やはりあの北島キャプテンもいましたので、中西さんという女子のキャプテン、チームもよくまとめてくれましたので、最後のメドレーリレーの応援なんかもですね、あの観客席では日本の応援が非常に人気になってまして」

頭には水泳キャップ、黒いサングラス(?)をかけ、日の丸のセンスを持ち
お腹に「G」「O」「!」「J」「A」「P」「A」「N」と書いて応援する男子選手。

鈴木「マイケル・フェルプスとかね、そういう選手を巻き込んで、こうやってたぐらいになってましたから」
中西「周りの人に鉢巻まかせたりとかしてましたよね」
??「そうですね」
中西「日の丸のね」
鈴木「ですから、非常に選手もですね、あの外国の選手たちとフランクに話してますし、そういう意味ではあの非常にチームとしてよくまとめて力を発揮してくれたんじゃないかなと思いますけどね」
南原「簡単にね、底上げしたいとか言いますけど、なかなか難しいじゃないですか」
鈴木「そうですね」
南原「どうやってこう、日本水泳を底上げできたんですかね」
鈴木「やはりあの、派遣する標準記録というのが明確になってるっていうのが、まず一つありますよね。で、そこに皆、まず一つは目標を置いてるわけですね」
南原「今回、派遣記録はどういうところに線を引いたんですかね?」
鈴木「あの、これはオリンピックの前の年まで変わらないわけですけど、派遣標準1,2というのは2まで来ると大体、決勝に残るかどうか、という風なところなんですよ。で、これだと非常に人数は少なくなるんですけども、そこにもう一つの派遣標準記録を作って、で、そこに、選手も、若い選手も結構いたっていうことですね。結局、この1と2という選手達が大体決勝に残るような状況になってますから、そうなってくるとチームとしては決勝に残れて当たり前」
南原「はぁ」
鈴木「メダルを狙わなくちゃ損をする」
南原「損をする?」
鈴木「で、金メダルとって」
南原「はい」
鈴木「本当にやっぱりこう、認められるみたいなね、こういう雰囲気になってくるんですね」
南原「じゃ、日本の大会自体がもう、で、ある程度世界が見えるっていう記録じゃないと出れなくなっちゃってるってことですか?」
鈴木「そうです。えぇ」
南原「へぇ」
中西「ただ今回、僕見てて、残念だっていうか、すごく我がままなんですけども、金メダルがなかったのがこう」
鈴木「そうですね」
中西「最近、必ず金メダル取ってる姿を、ね、国際大会で見てるじゃないですか。そういう意味じゃ、ちょっとこう」
鈴木「そうですね」
中西「満足感が・・・」
鈴木「ですから、やっぱり、まぁ、あの、勝負の世界ですから、やっぱり決勝に残らなければ面白くない」
中西「はい」
鈴木「それから、メダルを取れなければ面白くない。金メダル取れないと面白くない、とこういう風になるわけですね」
南原「でも、だんだん、まぁね、贅沢な悩みですよね。前はもう、メダル取っただけでよかったのが」
中西「そうですね」
南原「今、金メダルじゃないとなってるんですけども、ただ北島選手も記録は残ってるわけですよ」
中西「はい」
南原「大きくなってるわけですけど(?)」

南原「たとえば、入賞者になって、そこからまたメダリストになって金メダル、それぞれ大きな、こう壁って言うか、あると思うんですけど、入賞者は日本の水泳の中で、ある程度作れたとしても、そこからメダルになるまでは、まずメダリストと入賞者の違いっていうのは、コーチからご覧になって、どういったところが違いますか?」
鈴木「やはり、まず1つはメダルを絶対にとろうと思わないと駄目ですね」
南原「強く思わないと」
鈴木「強く思わないと駄目です」
南原「メダル欲しいな、ぐらいだと駄目ですか」
鈴木「欲しいな、じゃ取れないですね」
中西「取れないですか」
鈴木「取れないですね」
中西「それは、選手本人だけじゃなく、周りの人も、コーチもそうなんなきゃいけないですかね?」
鈴木「コーチもそういう風に思ってないと、取れないと思いますね」
中西「それはやっぱり、選手と同じ気持ちにならなくちゃいけないっていう」
鈴木「そうですね」
南原「去年・・・」
鈴木「あのー」
南原「はい」
(同時に話しだそうとして、鈴木コーチに先を譲る南原さん)
鈴木「たとえば、去年、松田くん」
南原「はい」
鈴木「松田君が今回は銀メダルとってくれたわけですけど」
南原「入賞者、メダリスト、ファイナリストからメダリストに変わった」(慌てすぎ)
鈴木「そうですね」
南原「わけですけど」
鈴木「彼は、あのアテネのオリンピックで400の自由形、決勝に残ったんですけども、期待された200のバタフライでは準決勝で敗退してますから。非常に悔しい想いしてると思うんですよね。で、しかも200のバタフライが一番、メダルの可能性があった種目なので、そういうことで今回はですね、クゼコーチとともにですね、なんとしてでもってことで、やはりあの200のバタフライに今回は、かけてるわけです。絶対とろうと。ですから」
南原「金を取るとか」
鈴木「そうです。レースもちゃんとそうしてきてますよね。予選は楽に、準決勝でちゃんとあげて、決勝で勝負する、と」
南原「これ、段階はあげなきゃいけないんですか? 予選、準決、決勝とタイムとか」
鈴木「理想はそうですね。理想はやはり、決勝が勝負ですから、ですから決勝できちんとタイムが上がるようじゃないと、まずメダルっていうのは非常に厳しいんですよね」
南原「なるほど」
中西「三本セットで考えないといけないってことですよね。ばらばらじゃなくて」
鈴木「そうです」
中西「その松田選手の場合は、アテネの時から今回、そういう成長が、二本じゃなく、三本で見られたっていうのがあったんですかね」
鈴木「あると思いますね。ですから、あの、ちゃんと本人も考えてたと思いますしね」
中西「組み立てを?」
鈴木「えぇ、組み立てを」
南原「メダリストといえば、去年、森田選手をメダリストにしましたよね? そのときには何かあったんですか? こう、後押しするような」
鈴木「まず一つはですね、本人は決勝に残れるぐらいのレベルだったと思うんですよ、去年はですね。でも、本人はメダルとろうと間違いなく思ってましたから。しかも、あのビックマウスで、金メダルとる、とか」
南原「はい、はい」
鈴木「フェラーリをくれとかね」
笑いがおこる。
鈴木「言ってましたから」
中西「有言実行ですよね。タイプ的にはね」
鈴木「ですから、まぁ、そういう強い気持ちを持ってたっていうのが一つあると思うんですね」
南原「はい」
鈴木「で、私自身もなんとかね、食らいついて、オリンピックっていうのは4年に1回ですから、ですからチャンスがあるときはなんでも挑んでいかないと、もうそのチャンスが後になってしまうっていうことだって、たくさんあるわけですね。ですから、本人には間違いなくチャンスが来てるから、と思ってですね。去年はま、銅メダルだったんですけど、準決勝でもうちょっと行ってくれれば、金も狙ったんですけど、やはりこれはちょっと難しいかな、と思ったのでメダル狙いに変えたっていうところがあるんですけど」
南原「去年、有名な話ですけども、ラストの10メートルを勝負だと思って、ちょっと若干、メートルを変えて、いったらもうそこから上手く突っ込んでいくっていう風に」
鈴木「そうなんですね」
南原「今回の、そのところで、モントリオールで予選と準決勝、明らかに泳ぎが変わってたんですけど」
鈴木「はい」
南原「サブプールでなんかこう、仰ったりしてましたよね。あれは何て、こう、仰ってたんですか?」
鈴木「そうですね、まず一つは本人に技術的なことですね」
南原「はい」
鈴木「やはり、あの予選の時は、あのキックとかそういうのがあまり聞いてなかったんで、そういうキック聞かせたような泳ぎと、それから、もう自分のきちんと集中した泳ぎをすれば、間違いなく54秒の前半ぐらいはね、出せるから、と。こういう話はしてました」
中西「あまりにこう、予選のタイムが悪かったんで、森田選手もちょっと若干落ち込んでる部分も」
鈴木「そうですね」
中西「見受けられたんですけど、その後、くっと修正したじゃないですか」
鈴木「はい」
中西「やっぱりそこでこういろんなやり取りがあるんですけど、今、言ったような技術的なアドバイスがやっぱり多いんですか?」
鈴木「そうですね。それと、後はストローク数だとか、そういうのをまず一つは技術の問題をきちんと解決して、それから精神的な取り組み方っていうかね」
南原「本人、何処が悪いんだろうっていうのを、まずここが悪いよってはっきり仰って」
鈴木「そうですね」
南原「精神的には何か言うんですか?」
鈴木「精神的には、本人も、自分なりにはいったつもりだけれどもあんまり良くない、という風なこと。ただし、本人も本当に集中してるわけじゃなかったので」
南原「うん、うん。気が乗ってるわけじゃなかったんで」
鈴木「その、ああいう感じでいって、もっと良い記録で泳いでくれれば、もっと決勝で戦えると思うんですけどね。だから本来ならば、ああいう感じで泳いで、もっと早くなれるような、そういう実力つけておくっていうことだと思いますけど」
中西「なるほど。予選での泳ぎで、軽く泳いでもある程度のタイムが出るようになれば、その後もっと力をこめられる、と」
鈴木「そうです」
南原「結構、だからね、今回、サブプールで駆け引きやってるんです、それぞれが」
中西「南原さんが見てても、なんかそういう、そこでぐっと変わったりする選手がいたりするんですか?」
南原「そこで集中、たとえば北島選手とか、そこで集中してるわけじゃないですか。どん、と。はい」
中西「そこでいろいろ駆け引きとか、集中力を高めたりとかしてるわけですね。サブプールで」
鈴木「そうですね。ですから、あのサブプールっていうのは水泳人生の縮図みたいなところがありまして」
笑う中西さん、大木アナ。
鈴木「みんな、そこにね、そこが勝負ですからね」
南原「調子の良い選手とかコーチ見てれば、ふーん、としてるんですけども、悪い選手はコーチがだーっと魔術かけるようにだーっとやってますから」
鈴木「やっぱりなんとかね、形勢を立て直そうとしてますからね」
中西「北島選手とか、余裕があるわけですか?」
鈴木「今回は、もう練習からですね、きちんと本人も仕上がってましたので、自信を持って臨んでますから、もうアップ見てても余裕がありますよね」
南原「そこらあたりでも勝敗がある程度決まってくるという」
鈴木「そうですね」
南原「さぁ、今後はですね、すごく目白押しなんですよ」
北京オリンピックまでの世界大会の予定を書いたパネルを出す。

(日付、場所まで予定でてるんですが、省略します)
パンパシフィっク水泳選手権大会 2006年8月
アジア競技大会 2006年12月
世界水泳メルボルン 2007年3月
北京オリンピック2008年8月

大木「次の世界水泳は3月開催ということで、もうここ(2007年3月の世界水泳メルボルン)まで1年半しかないんです」
鈴木「そうですね、ですからあの、今年の冬と来年の選考会っていうのが選手達には非常に大事になってくると思うんですね。それによって、再来年まで決まってくるっていうことになりますから」
南原「今年の冬である程度決まってくるってことですか?」
鈴木「そうですね、ある程度決まってきますよね」
南原「ここに、日本代表に残れないと、この後のここ(2007年3月の世界水泳メルボルン)」
大木「ここまで決まっちゃってるってことですね」
鈴木「ですから、まぁ、来年の選考会でパンパシフィックの、あの代表は決まるわけですけど、後は夏の大会を加味して、おそらくアジア大会、世界水泳を選ぶってことになると思うんですけど。ほぼ、大部分は来年の選考会で、決まってくるということになると思いますから、そうすると一年半までそれで大体決まりますからね」
中西「世界水泳メルボルンのところで良い成績を残さないと、オリンピックに対して、枠がもらえないとかそういうことがあるんですか?」
鈴木「そうですね。あの、特に今回、自由形の強化っていうのをあげてるわけですけども、ここで、リレーで2位に入ってないと出場権が得られないと」
南原「メルボルンで」
中西「メルボルンで」
南原「ということは、もうここら辺まで(アジア競技大会あたりを指して)作っとかないといけないってことですよね」
鈴木「作っておかないと駄目なんです」
南原「今後、自由形のメドレーで北京に向けて目標は、最終目標はなんですか?」
鈴木「それはもう、メダル取れればそれに越したことはないんですけど」
笑い声
鈴木「ただ、とりあえず決勝に残って、少しでも上位に行くっていうことですね」
中西「メドレーリレーも今回、おしかったじゃないですか。自由形であとちょっと耐えられれば」
鈴木「そうです」
中西「2位、銀メダルってところまでってことを考えると、自由形だけじゃなくて、メドレーリレーに対しても影響を及ぼしますよね」
鈴木「メドレーリレーもですね、自由形が強くなってくれると、まぁ、アメリカがダントツなんですけど、少しでもね、康介君も言ってるんですけど、もう、なんとでも、なんとしてでも金メダルって取れないですかねって、皆、言ってるわけですね」
南原「メドレーで」
鈴木「メドレーで」
中西「やっぱりこう、チームとして勝ちたいっていう気持ちがあるのは、メドレーリレーですかね?」
鈴木「最終種目ですからね」
中西「ですよね」
鈴木「それと、やはりあの、リレーが残ってるとチームが盛り上がりますよね」
南原「盛り上がりましたね」
鈴木「皆が応援しますしね。そういう意味で今回、初日で400のフリーリレーがあったんですよ。これがやっぱり、9番で残れなかったんですけど、これもやはりちゃんと残しておくとね、チームとしては非常に乗ってくるんじゃないかと思うんですけどね」
中西「やっぱり最初と最後にリレーの種目があるんで、実はキーになってくるのは自由形なんですね。やっぱりね」
鈴木「そうです」
中西「あー」
南原「北島君なんかは、なんとかメドレーで金、取りたいと」
鈴木「そうです」
南原「やっぱり金メダリストは強い思いがありますから」
中西「ですよね」
南原「それは可能なんですよね? 今後のスケジュールとして上手くいけば」
頷く鈴木コーチ。
中西「じゃあ、もう北京オリンピックでは、ね。自由形で良い成績を残しながら、メドレーリレーでこう、ね。メダルをとれるっていうことを」
鈴木「それはね、非常に厳しい目標だとは思いますけど、やはり、やっぱり頂点ですから。狙うのは頂点ですから」
南原「狙うのは頂点」
大木「狙っていかないと」
南原「ま、日本代表、水泳の代表がすごいメダル数増えましたから」
中西「そうですよ」
南原「すごい良い手本になってると思うんですよ」
中西「いろんなスポーツに対してね」
南原「はい。強い思いで、水泳界を引っ張っていってもらいたいと思います」
鈴木「頑張ります、よろしくどうぞお願いします」
スタッフから拍手がおこり、南原さん、中西さん、大木アナもお辞儀しながら拍手。

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