北東アジア情報化に関心
 
          --- 秋田 環日本海学会で研究報告 ---

                                                                      98.11.23
                                                                      伊藤  征一
 

   10月31日、11月1日の2日間、秋田市で環日本海学会が開催された。
初日の「基調講演」、「環日本海交流国際シンポジウム」に引き続き、2
日目の「第4回研究大会」では、9つの分科会で約30人の研究者が研
究報告を行った。

    「環日本海における人・物・情報の交流の変貌」というテーマで、幅広
い研究成果が発表されたが、特に、「情報」分野への取り組みが印象に
残った。

   初日のシンポジウムでは、ビデオ会議システムによって秋田の会場と
韓国の東亜大学校の会場が電話回線で結ばれ、パソコンの画面に映し
出された相手側の様子を見ながら討議が行われた(注、[写真])。

   2日目の研究大会では、「環日本海地域における情報インフラの現状
と課題」に関する特別分科会で、「環日本海地域における国際光海底ケ
ーブル」、「東北大学・ロシア科学アカデミーシベリア支部間学術情報ネ
ットワークシステム」についての報告が行われた。

   今回行われた講演、シンポジウム、研究報告のすべてについて、音声
と静止画がCD-ROMに書き込まれて、後日配布されることになっている。
以上のような情報通信に関わる意欲的な試みにより、北東アジアの情報
化への関心が喚起されたことは高く評価すべきである。

   東南アジアではシンガポールやマレーシアなどの高度情報化構想が
話題となっている。また、台湾のコンピュータ産業やインドのソフトウェア
産業の躍進も世界の注目を集めている。

   これに対して、北東アジアでは、環日本海経済圏の実現のため、情報
通信ネットワークを活用して企業同士の連携を強めていくことが重要であ
る。今回の学会をきっかけとする情報通信関係者による新たな活動が期
待される。

(注) シンポジウム会場の写真の両サイドに、ビデオ会議システムの画面が見える
 
 

(新潟日報 98.11.23 環日本海情報ライン 「エリナ・レター」  より)