第3回 イレウス

イレウスの腹部単純写真がきわめてよく出題されている。診断は、典型的なニボーを伴う、小腸ループの拡大でわかる。問われるのは、患者の治療方針をどうするかが多いようである。

ポイント

  1. 単純性(癒着性)か絞扼性かを見きわめる。
  2. ガスが比較的少なく、腹痛や腹膜刺激症状のある場合は、絞扼性であると判断。絞扼性では、緊急手術となり、絞扼を解除しないと、腸管壊死となり重篤化する。
  3. 単純性イレウスでは、まずイレウス管を留置して、腸管の減圧を行い保存的に加療する。
  4. 最終的な判断は、問題文がどちらをより示唆しているかで、考えたほうがよさそうである。白血球増多や炎症の程度、腹痛の程度で判断するとよい。

解説
通常は、術後の癒着性イレウスが最も多くなる。この場合は、ほとんどが小腸レベルでの閉塞となる。癒着のみでは虚血症状がなく、患者も安定した状態の場合が多い。治療として、絶食と補液をしながらイレウス管を留置して減圧をはかることで改善することが多い。しかし内ヘルニアやクローズドループを形成して、腸間膜が締め付けられると虚血になり腸管の壊死を起こす。こうなると、重篤になるため、緊急手術の適応となる。患者様の一般状態や、腹膜刺激症状、CTでは虚血腸管の壁肥厚や造影不良、腹水の増加などで判断される。
国家試験的には、大腸癌のため生じたイレウスなども出題されることがある。

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