こっそり教えます私のウェーブ装備

 山で飛んでいたり、平地でも山の近くまでXCしていくとウェーブに遭遇することが多くなり、利用する機会も多く、なじみ深くなります
 ウェーブ利用はシステムの理解と実際の経験、そして装備の3点が重要です。最近興味はあるがまだ未体験の方からよく相談を受けますので主に北アルプスでのウェーブ装備と飛行についてこっそりお話しします。

1.装備
私の服装 
  足下 靴下は指先の別れている靴下+普通の靴下+厚手の毛の靴下+防寒用長靴(フェルト下敷き入り)
  長袖ラクダの上下+厚手のズボンとシャツ+ワンピースのスキーウェア+成人用オムツ(私はまだ実際に役立ったことはありませんが、下腹部が冷えないので長時間の飛行にも自然が呼びにくくなっているようでお薦めです)。上は防寒ジャンパーをその上から。とにかく下半身を暖めるのがコツ。日の当たる上半身はこの装備では暑いくらい。一応手織のマフラーをしていきますが、はずして足下に掛けて飛ぶことも多いです。帽子はフェルト作家(実は私の妹)に特注したフェルト製でつばの短いのをかぶっています。 不思議と手先は寒くならず、素手で飛んでいます。
 なおこの格好で機体押ししたり低空で頑張っていると汗だくでたまりません。
 2777には防寒電熱ヒーターのジャックが装備されていますが、上記の装備で凍えそうになったことはまだありません、我慢できる程度の寒さです。零下20度以下の世界に入りたい人は更にご自分でお考え下さい。

GPS
  ケンブリッジ社製フライトレコーダーとバックアップ用にガーミンのパネル設置型の2個。共に計器板に取り付けています。液晶画面が大きく、視認性に優れています。
北アルプスではギャップがきちんと開いていることが多いので位置確認は容易ですが、那須以北ではオントップコンディションも多いのでウェーブラインをはずさないよう山の位置を数十カ所入力してあります。

EDS    
     これにボンベからレギュレーターを介して接続する。私は鼻に差すカニューラで使用。マイク使用等便利です。
  現在、若干の疑いの目をもって見られているシステムですが、操作が簡単なことや使い勝手が良いこと、消費酸素が少ないことから18500FT以下のXCにはお薦めです(EDSの取扱説明書より)。
 それ以上の高々度を飛ぶときはしっかりと圧力のかかるタイプを装備すべきです。
 私自身の失敗としては電源オフを確認せず、機体を仕舞って次の時にバッテリーアウトとなったことが2回ほどあります。もっとも006P電池は車にスペアをおいてありますが。
 心配な人はレギュレーターから2系統にし、EDSとコンスタントフローを装備しています。私も検討中です。
ボンベは医療用アルミ製2Lで数回の飛行に使えます。充填は新潟某所で1回2000円、検査は3000円位です。

エチルアルコール
 2777は固定バラスト付きですが、更に機体を重くしたいときは必要です。まだ使用してはいません。「色々な問題をはらむので無理に積まなくても良いのでは?」の意見もありますが、どなたか安い入手先を教えて下さい。
 春先の積雲でも結構冷える高度まで上がります。要研究です。

トラポン
 最後にきましたが、最大の関心事です。
 ハンディタイプの噂もあります。バッテリー容量の問題があります。バッテリー登載のスペースもありません。 燃料タンクか酸素ボンベをはずすとバッタりーのスペースは確保できそうですが。
  どなたか良いのが出たら教えて下さい。

体調
 早朝、新潟から車で長野入りし、午後の暖かな日差しの中、居眠り(気を失うとも言う?)をしたことがあります。(静穏な気流の中、とだけお伝えしておきます。今考えてもぞっとします。) 
 風邪気味の時、ウェーブから降りてきて耳の異常な痛みが1.2日続いたこともあります。体調管理は非常に大事です。他のローカルフライヤー達が夜遅くまで楽しい宴で盛り上がっていたとしても、ウェーブトライをする貴方はつき合うことなく、充分な睡眠を確保して下さい(XC全般にいえますが)。酸欠高度にも響くようで、喫煙習慣と共にもろ効いてきますのでご注意を。

機体
 2777のマニュアルには機体を零下20度以下にするなとか、ダイブを使わず、必要ならば脚を降ろしてゆっくり暖めながら降下しろとか、ダイブの回りにワセリンを塗れとか記載されていますが、全てそのようにしています。今のところゲルコート異常は見あたりません。

2.ウェーブの入り口 
 

 北アルプスの標高は1万FT程度ですので、波動自体も高く、8000FT程度では整流域に入れず、9000FT以上でやっと入れた事が良くあります。曳航機で1万まで曳いてもらうという手もありますが、非常によいローターが形成されますので、通常それを使って上がることとなります(当然強い乱気流あり)。
 青木湖の東に小川村と言うところがあり、そこと青木湖との間に良いローターゾーンが発生します(強風時)。弱風時はもっと山寄りとなります。ローターゾーンの風上側で離脱し、雲底まで、揉まれながら上昇します。整流域近くでは若干清らかな動きになりますので、山に向かって延ばすと、、、コンタクトできます。
 ローター内ではコアを探してセンタリング、、といった通常モードではなく、とにかく上がる方へ寄せ続けるのです。沸騰しているお湯の中を飛ぶとイメージして下さい。
フルコントロールしても逆へひっくり返されるのは良くあることと覚悟して下さい。自分の体も含めて機器は全てきつく固定しておくこと。ウェーブ内でキャノピーを割った例が国内にもあります。まだ帽子のてっぺんにポッチが残っている人は即取っておくこと。ともかく、お気をつけて、ご無事で。
青木湖東北にXCスキーコースのグラウンド有り、やや風上ですが、唯一の平坦地。
 黒磯ならローター中の曳航は大変(これだけでもダイヤモンド記章の価値有りという人もいます)ですが、それ以外は整流域まで曳いてもらえて楽です。後は充分ノッチを付けて上昇すればいいのです。
 北アルプスではどうしてもローターを使って上がる必要があり、これは明らかに上級者コースの一つといえます。ウェーブ初心者は無理をせず、長野から近い第2波か第3波にトライするのが良いと思います。(アルプスチャレンジの教訓)春先のウェーブならば風上に延ばして乗り移ることは低速機でも可能と思います。私は基本的に第1波を使用しているので推測ですが。

 整流域に入れば、バリオは振り切り、しばらくしてアベレージャーも振り切るでしょう。南北方向に数10キロはそんな感じで上がります。おめでとう!。
 高度が上がるにつれて、風上側へシフトしていきます。ちょうどフェーンギャップの真ん中でしょうか。北は日本海、南は中央アルプスまで、波動の雲は続いています。第2波、第3派も確認して下さい。唯決して風下に旋回しないこと。風速は時速100K以上出ているかも知れません。ウェーブの沈下は半端ではありませんぞ。VNEも高度と共に下がってきます。充分気を配りましょう。高度計の設定変更もお忘れなく。

 

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