1998年分
1998-11-29 北アルプスウェーブ調査。 すでに高気圧の後面であったが、上層は弱い西風が残っていて1.5まで上がれた。雲はなし。

28日は前日妻沼にて学生の指導日でしたので一日仕事。新潟の気象予報官に2回ほど電話したところ冬型はゆるむがジェット気流がいるため29日はしばらくは高層の風は続きそう(300で西の風110ノット)でしたので北アルプスを試しに長野へ向かいました。

長野盆地は朝のうちは霧でしたが、徐々に抜けて積雲の上部は西風が当たってめくれており、所々雲の上にレンズ雲まで、、、まだ風は残っているようです。
 準備の都合で昼前に離陸し、エンジンを使用して西へ向かいました。しかし時すでに遅く、スカイブルー状態で、第2波のローターもありません。木崎湖アビームで6500FTでエンジンカット。このままエンジンをリスタートして帰るのもかっこわるいので本当にしけたローターをなんとか探し、白馬スキー場の横で同高度で1M/S位でだましだまし上がりました。ローターの位置がぐっと山よりなのもウェーブが弱いことを示しています。
 9000を越えた頃整流域に入り、相変わらず弱いながら1−2で15000FTまで上がりました。西へ延ばし、黒部ダムまで行きました。途中は西風のため50KPH位しか出ません。沈下はいっぱしで12000FTまで失高。ところが富山側の剣岳のウェーブがあり、3で上昇。剣のウェーブで上がったのはもしかして私が初めてでは?。
 針ノ木岳をスタートして東にダイブしましたが先週のようには行かず、弱いローターに入り、南下しましたがはずれでした。上がるような気流はなく、旋回点を折り返し、半分の50Kを飛んだところでしばらく白馬のスキー場で粘りましたがギブアップ。長野へ戻ることにしました。7000-5000FTでは南の風12-15ノット程度でした。寂しくエンジンをリスタートして1000FTほど上げて帰ってきました。
後で見た天気図では午後3時には高気圧の中心は完全に遠ざかっており、ウェーブが店じまいしたのも当然でした。



1998-11-23 北−中央アルプスウェーブ調査

22日、23日と家族5人で長野へ行って来ました。
23日の朝、温泉宿を出て紅葉をバックに記念撮影。長野は晴れていい天気です。
車内で妻が「今日は飛んでもいいわよ」と言ってくれたので機体を組むことにしました。いい妻を持って幸せ者です。(*注1)
 風は弱いのですが、飯縄山の山頂の雲は西風で毛羽立っています。北アルプスは山頂は雲で覆われていますが、山腹は日が射しています。つまり、朝からフェーンギャップが開いているようです。前回北アルプスで飛んでみて、風が弱くともウェーブの気配を感じましたので 気流調査がてら、自分の気象の勘が正しいか試してみることにしました。
 当日はビジターが多く、手伝いのことで気が引けましたが、中澤さんにGPSを、万場さんにHFを借りて飛ぶことにしました。(今回は全く家族サービスと無線検査の準備のつもりできていましたので)地図なし、酸素なしの軽装です。(*注2)
 昼前に離陸。エンジンを使用して6500FT、長野西の小川付近でローターと思われる雲の東端に到達。おだやかな1位の上昇と周りの3−4のすごい沈下に閉口しました。山岳地帯で標高が高く、うかうか飛んでいられません。ウェーブははずれか?と思いながらもだましだまし高く遠くに見える青木湖を目指します。雲の西側に届き、ようやく大気が荒れ出してローター雲であることを実感しました。
 揉まれながら2−4で上昇。9000FTの雲底につき上昇帯の中を山に向かって延ばしてコンタクト。4−5以上で上昇を始めました。その場に留まらずに120-150-200Kで北上を開始。強いところではそれでも5を指しています。
 ギャップの閉じている朝日岳のアビームまで行き、折り返しました。すでに零下18度、18000FTに達していて210Kほどの速度で巡航しています。(大気速度、対地速度とも)
 ここで一つの実験をすることにしました。JSAのNO,196に市川さんが那須の山脈を利用した100K三角の速度記録の計画を書かれていました。それに触発され、更に北アルプスと八ヶ岳の強いウェーブを経験してからは「那須よりも100K三角に関して言えばもっといい場所がある。」と机上で計画案を持っていました。それをやってみようというわけです。
 今回はGPSに入っていないので視認できる高瀬ダムの北の針ノ木岳をリモートスタート点とし、青木湖付近から18000FTで西へダイブ。4分4500FTの失高でクリア。
 ダイブしても5Kほどは沈下はなく、210K,GSも160-180K出るところもありました。しかしその後は振り切って沈下していきます。但し乱流はありませんでした。
1時22分スタート。木崎湖めがけて振り切った沈下の中220Kで進みます。GPSでは400Kを越すときもありました。1分ほどでガタ、ガタと微かにふるえました。
ローター突入を考え180Kまで減速して身構えましたが、スタートから1分30秒ほどで何のことはない、整流のプラス帯に入れました。留まって高度を稼ぐことはせず南下。計器速度200-210K、+2から3程度。有明山から流れ出る河の合流点、明科の北西5Kで折り返します。机上ではここら辺だったかなの乗りです。
少しプルアップして北上開始。乗鞍岳のアビーム、スキー場の北端で折り返し、ここまではラインを選ぶのみで直線飛行。18000FT青木湖付近で西へダイブ。今回も4500FT程度のロスで47分にゴールできました。本番の時はもっと突っ込んで山頂ぎりぎりを目指すのでしょうが、まだまだ機体が大事ですので、、、
 自宅で計算するとこの三角コースでは95.5K 228KPHとなります。まだまだ余裕を残してです。すべて整流内を飛べたのと零下18度程度でしたので機体のダメージもなく助かりました。次回はきちんとした準備で挑戦したいと思います。
 その後再度ギャップへダイブして旋回せずに高度を取りながら南下を開始しました。去年の春は中央アルプスの上昇帯につなげられなかったのですが、今回はギャップが明確にあり、17000〜18000FTで120K程度で巡航できました。雲の切れ間から三和ダムが見えます。遠く、下に富士山も見えます。南アルプスにもウェーブが発生していてギャップが確認されました。時間に余裕があれば確実に移行できる感じでした。しかしそろそろ2時40分、松川ICで折り返し帰ることにします。東へ向かい第2波の整流を利用しながら200Kで北上。北アルプスの第2波付近で激しいシアを感じ120Kに減速。我慢できず妙高へ北上します。習慣でついウェーブの整流を使ってしまい、高度処理できません。17000FTで妙高をクリア。3時20分をまわっています。何とかして降りたいのですが、長野上空のウェーブも非常に強く、200K出してもプラスに振りきるほどなのです。脚を出して沈下を増します。 ローターのマイナスを探してもみくちゃにされながら、、、なかなか下がりません。ウェーブの整流の沈下を探してマイナスの強いところに必死のセンタリングです。
なかなか慣れないことですので大変でした。どこいっても上がるような状態です。
何とか6000FT以下に下げてやっとウェーブの乱流とさよならできました。正直言ってほっとしました。
 長野の南の妙徳山をクリアして撤収作業の終わる頃ランディング。たっぷりひんしゅくを買ってしまったのはいうまでもありません。
 4時間21分 エンジンラン20分 約370K+のウェーブだらけのフライトでした。やはりフライトの最後は例えば那須から帰るときのように、対流の終わった静かな気流の中を一日の飛行を思い出し、余韻を味わいながらファイナルグライドを行う、、、というのがいいですね。

(*注1)しかし、朝起きてカーテンを開けたとたん、毛糸の靴下をいそいそと履きだしたのを私は見ていました。
(*注2)しかし、常日頃の机上のイメージトレーニングで、地図など必要なくなっていることを私は知っています。   以上、妻の注釈でした。

     
エンジンランでアルプスに向かう 右手に妙高山系       アルプスのローター雲の下に入る

     
コンタクト  バリオの他にアベレージャーも振り切り始めた  雲上に出て北上

        
      南方面のフェーンギャップ 湖が見える

    
北方面のフェーンギャップ スキー場が確認できた。     南下する。 翼端に富士山が重なった。

 
中央アルプスのウェーブを伝って南下する。

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