とある日常のヒトコマ

クリップ
<悟浄×天蓬>


「ね、悟浄。早くソレ着けてくださいよ」
ワクワクしてるのを隠しもせず、興奮した様子でそう言う天蓬はホント快楽に従順だ。俺もかなり気持ちイイ事大好きだけど、コイツには敵わないといつも思う。
天蓬はこの店の常連客だ。セックスフリーなこの店の常連は割と多い……つか、特殊な店だから一見はまず居ないんだが、その常連の中でもトップクラスの来店率だと思う。基本毎日居る。時間は決まって無かったり長かったり短かったりもするが、俺が来店した日で顔を見なかったことは数えるほどしかない。
で、いくらセックスフリーとは言っても毎日ヤってるヤツは意外と居ない。大体はヤりたいから来店するパターンと、酒と世間話を楽しみつつ気が向いたらセックスするパターンとに分かれるのだが、天蓬はいつでも誰かとヤっている。コイツが普通の顔してるのなんて、来店した時くらいなもんだ。更に、普通は常連客の中でも親しい相手とか固定の相手なんかが出来てくるモンなのに、天蓬は誰とでも話すしヤる。人見知りもしないし、どんなプレイでも興味津々に試すし愉しむ。男も女も抱くし抱かれるし輪姦も強姦も拷問も何でも来いといった感じで、心底セックスと言うか、プレイを愉しんでいるヤツだと思う。
初めて俺に声をかけてきたときからして、「こんばんは。貴方とヤった事まだないですよね。取り敢えずチンポ借して下さい。あ、ついでにこれきゅっと絞めてください」と一気に言いながら押し倒されアイツ自身の首に絡めた紐の端を渡された。
そーいや天蓬とヤる時って騎乗位多いかも。
今日もテーブルに転がされている俺の上に天蓬が愉しそうに乗ってるし。挿れてんのは俺なのに、奉仕させられてる感半端ない。
で、そんな快楽に従順な天蓬は、良く新しい道具を持ってくる。そして自分に使えと命令してくれるのだ。ちなみに今日のはクリップ。たまーにうわコレ?マジで?と言うようなモノを持ってくるコイツにしては、普通のチョイスだ。でもこれ多分普通に売ってるのじゃない。
「着けんのはイーけどさ、コレどこに着けて欲しいのよ?」
別に羞恥プレイがしたくて聞いた訳じゃない。つか、今の興味津々な天蓬相手に羞恥プレイは無理だ。100パー恥ずかしがってくんない。なのになぜ聞いたかと言うと、クリップの数が多いからに他ならない。T字になってる鎖の上の部分には左右に1つずつクリップが付いてて、下の鎖の先には細い棒と短い鎖の先にクリップが付いた状態のが5個も付いている。しかもクリップの形状が前者と後者では違っていて、2つの方は洗濯バサミみたいな挟むタイプなのに、5個の方は輪っか状になっている。着ける場所も謎だが使い方も解らない。
「取り敢えずそっちの挟む方を乳首に着けてください」
「ん、解った」
話ながら俺のが萎えないように腰を動かしながら、着けやすいように上体を倒してくれるのでクリップを開こうとした。が。
「ちょ、ナニコレ。バネめっちゃ強くね?」
相当力入れないと開かねぇし。しかも挟む部分、プレイ用みたいにカバーしてあったりつるっとしてたりしてない、洗濯バサミみたいなギザギザ付きだ。けど、洗濯バサミだと凸の部分同士が噛み合うようになってるけど、これは凸の部分の反対側は凹んでて、完全に噛み合うようになってるし。
「うーわ……。これ乳首挟んで平気なのかよ……」
試しに自分の指を挟んでみた。ら、余りの痛みに身体が跳ねた。
「ん、気持ちイイじゃないですか。もっとナカ突いてくださいよ」
イヤイヤイヤ、お前を喜ばそうと思ったワケじゃねーから!涙目になりながら指のクリップを外すとガッチリ痕がついてるし。つか、指折れるっつかマジで潰れるかと思ったんだけど。中に骨がある部分でコレってヤバくね……?そりゃ、天蓬はかなり痛ぇのも平気なのは知ってるけどさぁ。
「ソレね、絶対外れないって話なんですよね」
「だろーなぁ」
まぁ、外れる外れない以前に、乳首潰れそうだけど。痛いとかじゃなくて、マジでヤバそう。
「僕も指で試してみたんですが、乳首に着けるものじゃ無いなって思いました」
うん。俺もそう思う。
「だからもう、愉しみで堪らなくて」
「…………天蓬ホント変態だな」
「何を今更」
せめて否定か恥じらいが欲しかった。
でもまぁ、本人がヤりたいって言うならしてやるけどさぁ。
「あ、でもやっぱり先に言っておきます」
「ん?」
「乳首にソレ着けたら、その後そこのプジーを突っ込んで、それからその輪っか……ソレ開くと針が出るので挟む感じで刺してください」
この棒はプジーか。って、え?針?まさか。
「ドコに刺すの?」
「勿論、僕の勃起チンポですよ?」
………………そんな当たり前の事のように返されても。
「でセッティングできたら乳首がどれだけ伸びるか試してくださいね〜。愉しみだなぁ」
それは全部セットした上で鎖を引っ張れって事ですか。しかもどれだけ伸びるかって……。
「多分乳首挟まれた時点で、僕正気失ってると思うので、頼みましたよ♪」
そこまで解っていて心底愉しそうに強請る天蓬が理解できねぇ。てか、万が一ってこともあると思うんだけど、俺に出来んのか、コレ。万が一どころか、無事な未来の方が想像しにくいレベルなんだけど。
思わず躊躇して固まってると、天蓬が腰を揺らしながら、クリップを持った俺の手を自分の乳首へと引き寄せた。
そして非常にキレイな顔を艶やかな欲情で染めて笑う。
「ね、悟浄。僕を壊して……」
あー……もー、解ったよしてやるよ。けど、どうなっても知らねぇからな!


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