とある日常のヒトコマ

ワインボトル
<悟空×捲簾>


「なぁ、結局アレ入ったの?」
「は?アレって何?」
「ワインボトル」
「ああ……」
少し遠い目になった捲兄ちゃんを横目で見つつ、仕込みを進めて行く。時間がかかるソースとかパテとかは捲兄ちゃんがやってくれてあるから、俺がやるのは野菜やフルーツを切ったりする程度。後は注文が入ってから仕上げ部分をやるだけ。意外と楽だ。
「見てたんだ?」
「チンポスゲーコトになってんなーって見たくらい。で、入ったの?」
「入った入った。つか、挿れた」
「うっわ。どうだった?」
「んー?そりゃヨかったぜぇ。久々にアタマ真っ白ンなったわ」
ソレ気持ちヨくてなのか痛みのせいなのか判断に迷うけど。
「捲兄ちゃんってマゾじゃ無いのに、ハードなプレイ好きだよな」
「おぅよ。チンポとかケツ穴とかぞんざいに扱われんのスゲー好き」
サッパリ解らない。多分俺のが捲兄ちゃんよりマトモと言うか、捲兄ちゃんが突き抜け過ぎているんだと思う。
「そーいや突っ込んだボトル、中身入っててよ」
「え」
「金蝉のヤツ先端から挿れたもんだから、一気に酔いが回って思い切り楽しめなかったんだよな」
「イヤイヤイヤ。それ十分ハードじゃね?」
「そうなんだけどよ、ちょっとベクトルが違うっつーかな。ケツ壊される様を思い切り楽しみたかったからさぁ」
「変態」
「うっせぇ」
半目になっての正直な感想に笑いながらの反論が返ってくる。もー、ホンット捲兄ちゃんは変態だ。
今日確実にハケる分は多少火を通しておこうとフライパンをコンロに乗せる。と、捲兄ちゃんが何故か手を打った。
「それ良いな」
「は?」
前の話と繋がっていないセリフに捲兄ちゃんを見ると、何故かゴミを纏めてある一角に歩いてった。そして空の一升瓶を持って戻ってきた。
「ホレ」
差し出されてもさ、嫌な予感しかしないんだけど。何をしろと命じられた訳でも無いが、取り敢えず踏みとどまって貰いたい。
「もうすぐ開店だぜ?」
「だな。サクッと行こうぜ」
「一升瓶は無理だろ」
「無理矢理突っ込みゃなんとかなんじゃね?」
「使い物にならなくなった捲兄ちゃんの分まで働くの俺ヤだぜ?」
「……」
ムチャすんのはせめて仕事終わってからにして欲しい。捲兄ちゃん、自分が動けなくても店あけそうなんだもん。一人で厨房とホール担当すんのはさすがにイヤだ。いくら酒は常連が勝手に作ってくれるっつっても、片付けまではさすがにしてくれない。
「ダメ?」
「ダメ」
カワイく言ってもダメ。つか、かわいさを狙ってるのはわかるけどカワイくねーし。捲兄ちゃんのことをカワイく見える特殊フィルターを持ってるのは天ちゃんくらいなもんだ。
しばらく小首を傾げて一升瓶を抱いていた捲兄ちゃんはやっと諦めてくれたようで、溜め息を吐いてゴミ置き場に足を向けた。
「しゃーねーなぁ。コレなら文句ねーだろ」
そう言って一升瓶の変わりにワインボトルを俺に差し出す。なんか違わね?
「早くしろよ。時間ねーんだから」
ヤることは決定かよ。諦めてよ。ベルト外してンじゃねーよ……。
盛大な溜め息を吐いて、仕方なくワインボトルを受け取る。
「あーもー……、挿れるだけだからな。前戯もフォローもしないからな」
「OKOK」
なんで俺が諦めないといけないんだろ。バイト先変えようかな。でも給料イイんだよなぁ。
補充用の小さいローションのボトルを掴んで封を切る。
「どっちから挿れんの?」
「底」
「うぇ……」
時間が無いからか他をする気が無いのかわかんないけど、下だけ脱いだ捲兄ちゃんは流し台に手を付き脚を開いてケツを上げた。
早くしろと言わんばかりのその態度に仕方なくワインボトルの太い方へローションをたらす。あんまためらってるとイラついた捲兄ちゃんに俺が挿れられる。捲兄ちゃんはそーゆーヤツだ。ローションをボトルに塗りたくって、残りを捲兄ちゃんのケツに塗って。入り口に塗り付けたつもりだったのに、抵抗無く指が中に入った。
「スッゲーゆるゆる」
「昨日の今日だからなぁ」
見た目閉じてるだけで筋肉は伸びたまま、まだ戻ってねーのか。力入れなくても挿れた指を開ける。しかも、メッチャ開く。
「遊んでねーで早く挿れろよ」
「うん」
つい遊んでた指を抜いてワインボトルの底をケツの穴に押し付ける。と、ボトル越しに入り口が開いて行くのが見える。赤い粘膜がボトルのカタチに押し広げられていく。
「ン……」
にしても、簡単に開きすぎだと思う。それでも3分の2くらい挿れたトコで入らなくなった。
んじゃ、時間もねーし、押し込んじゃおうっかな。
捲兄ちゃんの腰を掴んでボトルに力を入れていく。慣れるのなんて待たずに勢い良く。
「ッア!」
意外とアッサリボトルがケツに飲み込まれて、小さな嬌声をあげ捲兄ちゃんが仰け反る。つーかさ……。
「何でコレだけでイけんの……」
「ヤベーくらい気持ちイイわぁ」
うっとりしたように身体をビクビクと震わせてる捲兄ちゃんにはついていけない。行きたくもないけど。


とある日常のヒトコマ