とある日常のヒトコマ
無用の芝居<三蔵×悟空>
そう言えば以前、この店は何処でもヤれるのに何故トイレでヤりたがるのかとマスターがぼやいていたなと、不意に思い出した。 確かにそうだな。 店内なら何処でセックスしようが自由であるし、プレイするためのツールも揃っているのだから、わざわざ狭い個室なんぞでことに及ぶ必要など無い。ギャラリーが居るのが気になると言うのなら、最初からこの店には来てはいないだろう。 まぁ、コイツは客では無くただのバイトだが。 壁に背中を押し付けてベルトに手をかけると、恥ずかしそうに目を伏せて俺の手を掴んだ。 「手を離せ、悟空」 「でも……」 口ごもって俺を上目使いで見る仕草は、慣れてはいないように見える。が、本当に免疫が無いのならこの店でバイトを続けられるワケが無い。悟空は基本厨房担当だといっても、ホールに料理を運ぶ事もオーダーを取ることもあるのだから。 「演技なのはバレてんだよ」 力の入っていない悟空に手を掴ませたままベルトを外せば、悟空は驚いたように俺を見た。 「演技って……?」 「下手な芝居してんな」 「芝居じゃねーし」 「ほぅ。だったらもう少し真面目に抵抗したらどうだ?ヤられたくねーんだろ?」 その言葉に悟空が言葉に詰まって、悔しそうに唇を尖らせた。 「恥ずかしいんだよ……。こーゆーの、あんま経験無いから」 「嘘つけ。見たぞ、この間のアレ」 「ッ!!」 ビクッと大袈裟なほど驚いて悟空が俺を見た。 「え……まさかこの間の悟浄との?それとも天ちゃんとの!?」 コイツ大丈夫なのか? 余りにアッサリと吐いてくれて、内容に突っ込むよりコイツは正真正銘アホだと呆れた。 「カマかけただけだ。見てねぇよ」 「へ?」 目を真ん丸にして数度瞬きした悟空のパンツの前をくつろげる。その辺りでようやく俺の言葉が理解できたらしく、髪をぐっと掴まれた。 「痛ぇよ!」 「あ、ワリ。……じゃなくて!カマかけたって何だよ!?」 「ああ?うるせぇな。言った通りだ。そろそろ黙ってヤらせろ」 イラついて睨み付け低音で吐き捨てて、下着ごとパンツを引きずり下ろすと悟空が諦めたような溜め息を吐いた。 そうやって大人しくしてりゃいいんだよ。 口を開け舌を出して目の前に晒された悟空の性器を口内に飲み込む。 「……エロ」 うるさいと言うようにじろりと睨むと、俺を見ていた悟空が息を飲んだ。と、同時に性器がビクンと跳ねて一気に硬度を増す。 「三蔵のフェラ顔めちゃくちゃエロい……」 ああそうかよ。ついでにこのまま嵌まっちまえ。 「つーか、なんで慣れてないフリなんざしてたんだ?」 一度性器を口から出して、思い切り出した舌で舐めながら聞けば、今度は悟空は素直に答えた。 「そーゆーカンジのイメージ持たれてる事が多いからサービス?つか、プレイの一環?」 「成程。だが生憎俺にはンなサービスは不要だ」 もう一度喉の奥まで開いて根元まで口に含むと、悟空が息を詰めた。 折角素直になったんだ。このまま一度イかせてやるか。 キツく吸い上げて追い上げる口淫にすると、ヨさそうな声を上げた悟空が腰を押し付けてきた。それに応えるように舌で刺激してやる。 「ん。……解った」 返事が遅ぇよ。とは流石に悟空の性器に阻まれて言えなかったが、素直になる気になったらしいので良しとするか。 ふわりと、暖かい悟空の手が強請るように俺の髪を撫でた。それが何故か、妙にエロく感じてこっちの熱まで上がっていく。 「さんぞッ……!」 喉の奥に叩き付けられる熱い液体を、喉を鳴らして飲み下す。そして荒い呼吸をしている悟空にのしかかる。 さぁ、次は俺の番だ。 |
とある日常のヒトコマ