≪報われない小悪魔の誘惑シリーズ≫フォンダンショコラ中からトロリとチョコが溢れ出すフォンダンショコラの作り方は簡単だ。基本的に混ぜて焼く、それだけ。半熟かつ火は通っているという状態にしなきゃいけないから焼くのが少し難しいが、最悪焼きすぎたとしても焼きショコラになる程度で食えない訳じゃない。 と、なんでいきなりフォンダンショコラの作り方を説明しているのかというと、今現在俺がフォンダンショコラを作らされているからに他ならない。ソファーに座ってケータイを弄っている悟浄のオネダリによって。 悟浄は近所に住んでる女子高生だ。今でこそスカートを穿いたり化粧をしたりと女らしいトコもあるが、昔は見た目はともかく中身がものすごく男の子してて、女の子とはあまり遊ばず男の子に混じって遊んでたもんだから、近所のガキどもと遊んでやってた俺とはその頃からの付き合いだ。当時から懐いてくれていて、それがずっと続いているという数少ないヤツ。手をかけていたヤツが、懐いてくれるのは当然嬉しいし、更にずっと懐いてくれるなんつーのは嬉しくて堪らないと同時に可愛くて堪らない。だから悟浄のことを俺は物凄く可愛がってるワケだが。だがしかし。 懐いてくれるのは確かに嬉しい。無防備に見上げられたりすると、頭を撫で回して抱っこしてやりたいくらい可愛い。だがしかし、コイツは女であって男じゃない。だからいくら無防備に懐いてきてくれるからと言っても、昔と同じように可愛がったらそりゃもう犯罪だろう。 と、俺は思うのに、コイツがだな……。 絞り袋に入れた生地を入れるセルクルを並べながらチラリと悟浄を見ると、ケータイを弄りながら今度はソファーに転がっていた。俺の部屋は1DKだが、少し変わった作りをしていてキッチンはカウンターキッチンだ。んで、ダイニングのソファーはキッチンから覗ける場所に置いてある。キッチンと垂直に。だからソファーに転がると頭か脚のどちらかがこちらに向くことになるわけだが。 「パンツ見えてンぞ……」 なんで脚をこっちに向けるかな、女子高生。超ミニのスカートはただでさえ下着が見えそうでそそるのに、こっちに脚を向けて、しかもソファーの長さが身長に対して足りてないから膝まで立ててくれている。懐くのは別にいいが、せめて俺が男だということを意識の片隅に置いて欲しいと切に願う。隠れていれば気にはなっても敢えてスカートを捲ったり覗いたりしてまで見ようとは思わないが、完全に見えていると思わず視線が引き寄せられてしまう。健康的な色のナマ足に短いスカートと、申し訳程度に秘部を覆う小さな布地。 「ン? あぁ。なぁ、見て見て。コレ、新作なんだよ」 うわ、コイツ逆にパンツ見せて来やがった。ケータイを放ってソファーの上に膝立ちになりただでさえ短いスカートを腰まで上げ、同性のツレに見せるノリで俺に下着を見せてくる。高い位置に腰があるため、ほっそい腰からケツへのラインやヘソが良く観察出来る。あー、割れ目に布が食い込んでンのまで良く見えるわ……。 「あー、ハイハイ。つか、見せんな。ガキのパンツなんざ見ても嬉しくもなんともねぇ」 げんなりしながら視線を外して絞り袋を構える。コイツ懐いてくるのは嬉しいが警戒心無さすぎだろ。俺が普通の男だったら襲われてるぞ。俺だって理性と近所の兄ちゃんとしてのプライドとで我慢してるんだ。 ……いや、まあ、我慢……一応してるんだ、これでも。でも完全に手を出していないかっつーと、そうとも言い難かったりもする……。あー、アレは若気の至りってか、好奇心に負けたっつーか、コイツがアホなのが悪いと言うか……。 オーブンにフォンダンを突っ込んでタイマーをセットする。焼き上がるまでに洗い物を済ませてしまおうと流しに向き直りつつソファーを見れば、今度は横向きっつーか俯せっつーかな体勢で転がりながら悟浄はまたケータイを弄っていた。短いスカートが動きについてきてないせいで、相変わらずパンツが丸見えだ。つか、ナニそのパンツ。フロントは普通のっつーか飾り気の無いシンプルなローライズだったのに、後ろスゲェな。脚の付け根を覆う布以外、上の方は紐しかない。当然柔らかそうなケツもケツの割れ目もバッチリ見えているという。 「お前そんな下着、誰に見せるつもりで穿いてんの?」 思わず疑問が口から漏れてた。イヤ、だってソレどう見てもセクシーランジェリーだろ。 その質問に悟浄はキョトンとして首を傾げてから、あぁ、とやっと俺の言いたい事に思い至ったようで口を開いた。 「ちげーよ。これはヒップアップ効果があんの。エロいのじゃねーから」 「マジか」 「マジマジ。ナニ、そそられちゃった?」 妙に嬉しそうに悟浄はケツを俺の方に突き出してスカートを上げて披露してくれるが、コイツマジで俺の事を男だと思ってねぇな……。下手したら同性の友達、いや、家族認識なのかも。微妙な気分だ。 「あー、そそられて困るからしまってくれ」 「うっわ、棒読み」 ケラケラ笑いながら脚をバタバタさせてる悟浄は放置して洗い物を片付けよう。もういいよ、パンツくらい。穿いて無い訳じゃねぇし、実に今更だし。いつものことすぎる。 そう、いつものことなのだ。困ったことに。悟浄とは、コイツが幼稚園に通ってる頃からの付き合いだが、その頃からこんなだったしな。つっても、ガキはそんなもんだし、その頃は俺もガキだったから何も気にしてなかったが。風呂は流石に一緒に入った事は無かったけど、泥まみれになったときの水浴びや川遊びの時に素っ裸なのも普通に見たことがあったくらいだ。それでも別に俺の中の認識は変わらず、女の子では無く、近所のガキだった。そんな悟浄を女の子だとキチンと認識したのはコイツが小学校4年の頃だった。コイツは二次成長が人より早くて、学校の性教育や身体についての授業を受ける前に胸が膨らみ始めてた。更にコイツの家はちょっと複雑で、ブラなんかも買ってもらえなかったようで、膨らみ始めた胸が嫌だとかそんなんは思わなかったようだが、もて余してはいた。当時高校生だった俺は、普段は友達と遊んだりして帰りが遅かったが、たまに早く帰った時にはやっぱり近所のガキと遊んでやっていて、そんなある日、いつも元気一杯で誰より動いていた悟浄の動きが鈍いことに気付いた。心配になり帰りに具合が悪いのかと聞いたのだが、そしたら胸が邪魔なのだと悟浄は言ったのだのだ。その時俺はもう童貞でも無かったからその言葉に動揺はしなかったが、ずっと近所のガキだと思っていたコイツが、女という生き物であるのだと初めてキチンと認識して妙な感覚を感じたのを覚えている。 で、その時の俺は何を血迷ったのか、悟浄にアホな提案をしたのだ。『じゃあ、俺が押さえててやろうか?』と。 そしたら悟浄は首を傾げて不思議そうに俺を見てから、あろうことかコクリと頷きやがったのだ。 多分まだ性教育なんか受けていなくて、女は胸が膨らむもんだってのは解っていても、だから他人に触らせてはいけないだとか、胸が膨らむってことは子供を産める身体になろうとしてるだとか、子供はどうやって作るかだとかそういう知識が一切無かったんだろう悟浄は、懐いている俺の言葉に素直に頷いてくれた。 一瞬真っ白になってヤバいと思うと同時に俺が狼狽えて固まっていると、悟浄は不思議そうな顔をしたまま俺の手を取り、そしてその手を自らの胸に押し当てた。その感触は今でも忘れられない。本当に膨らみ始めって感じで、それまで抱いた女みたいな柔かさじゃなく、かといって男や子供の平らな胸みたいな固いものでもなく、もう本当に発展途上って感じの独特の固い柔かさ。 で、指一本動かせずに俺が硬直していると、悟浄は少し何かを思案した後俺の手を離し、何故か俺に背を向けた。ひょっとしてこのまま悲鳴でも上げて俺に触られたって言うつもりじゃ……なんて思った俺の胸に今度は背中を押し付けて、中途半端に浮いている俺の手を取り、何を思ったのかもう一度自分の胸へと押し当てたのだ。 ビックリして悟浄を抱き締めている体勢……しかも両胸を手のひらで完全に覆っている状態で硬直している俺を余所に、悟浄は何故か頷いた。そして、『押さえてもらうと楽だな。動きにくいケド』とのたまったのだ。アホだとしか言いようがない。俺も相当アホだが、コイツはそれ以上のアホだと思う。 お湯を出してざっと流してから一気に洗剤で洗い、まとめてすすぐ。大した量は無かったから焼き上がるより早く終わらせて、フォンダン用の皿を棚から出す。 「イイ匂い〜♪」 嬉しそうな悟浄の声が聞こえるのとほぼ同時にオーブンが軽い音を立てた。オーブンを開いて鉄板ごと取り出し面倒なのでコンロの上に置く。取り敢えず悟浄に食わせる為の一つを掴んで皿に待避し、冷凍庫からバニラアイスを取り出した。鉄板に乗せとくと温度が下がりにくいから皿に乗せた訳だが、少し冷めるまで待たねぇと。フォンダンショコラは熱々じゃないとトロッといかないが、型から抜く為には少し冷めて焼き縮みしたとこを狙わないといけない。タイミングを計りつつフォークとスプーンを用意し、更にアイス用のスプーンも出して……フォンダンと型の間に隙間が出来たのを見計らって型を外し、アイスを添えて、彩りとアクセントを兼ねたジャムを少し飾れば出来上がりだ。コイツは食べたがるわりに甘いものが苦手だから、フォンダンショコラもバニラアイスも甘さ控えめの俺のお手製。プラス、ジャムもマーマレードにしてやった。 「出来たぞ」 ソファーの前のテーブルに置いてやると、悟浄が目を輝かせてソファーから降りた。ソファーとテーブルの間に嵌まり込んでラグに座りながら早速フォークをフォンダンショコラへ差し入れる。 「おお〜! 出た〜!」 歓声を上げて喜んでいる悟浄を放置して、キッチンに戻り今度はコーヒーを淹れる。コイツのと、ついでに自分のも。お湯はさっき一度沸かしてあったので、再沸騰させながらドリッパーをセットし粉を入れる。間を置かず沸いたお湯を粉に注いでいると、悟浄がスゲー幸せそうな顔して食ってるのが見えた。本当、こーゆートコは昔から変わんねーな。ガキだわ。可愛い。 淹れたコーヒーをマグに移し、テーブルに置いてやると悟浄は直ぐに口をつけた。 「あちっ!」 「そりゃそーだ」 バカな子程可愛いってこう言うのなんだろうか。悟浄の頭を撫でて、自分のマグを持ったまま空いているソファーに座ると、拗ねたような顔で火傷した舌を出している悟浄にマグを奪われた。 「何?」 悟浄はマグをテーブルに置くとフォンダンの皿とフォークを持って、俺の脚の間に座り込んだ。そして俺の手を掴むと、自らの胸にその手を押し当てる。 「………………お前な……」 あの頃とは違う柔らかい感触に、何故か溢れるのは溜め息で。あのアホな一件以来、何を気に入ったのか解らないがコイツは良く俺に胸を触らせる……いや、支えさせるようになった。少しずつ膨らんでいく胸が、成長して柔らかい感触になっても、乳首がコロコロと主張するようになっても、多分もうこうすることがいけない事だってのは解っているだろうに相変わらず俺の腕の中に入ってきて胸に手を押し当てさせるのだ。しかも、窮屈だからといつもノーブラで。YシャツとかTシャツ一枚とかでも容赦なく触らせてくるもんだから、俺は勃たせないように、気付かれないトコで必死だ。つか、俺の股間に悟浄のケツが当たってるからマジで反応させられない。なんだコレ、何て言う拷問。 「やっぱコレ楽だな〜。捲簾が持っててくれるから軽くてさ」 気に入るな。つか、俺の手をブラ代わりにすんじゃねぇ。もう、このアホの子どうしてくれよう。 悟浄は俺に胸を支えさせたまま、またフォンダンショコラを食べ始めているし。俺の胸に背中を触れさせるだけじゃなく、完全に背もたれにしてるし。 いきなり俺がコイツを押し倒したりしたらどうするつもりなのか。そう言うの解ってウチに遊びに来たり胸を触らせたりしてるんだろうか。 …………絶対解ってねぇだろうな。解ってたら一人暮らしの男の家に上がり込んでパンツ披露した挙げ句胸触らせるなんて有り得ない。やっぱ男扱いされてないんだろう。 深々と溜め息を吐いて悟浄の肩に顎を乗せると、悟浄が笑ってアイスのついたフォンダンをフォークで差し出してくれたので口を開けてそれに噛みつく。うん、甘さ控えめでイイ感じ。 「カーワイv」 悟浄が身体を揺らして笑うので、胸を支えてるんだか揉んでるんだかわからない感じになった気がするが、単なる不可抗力だろう。いっそ揉んでしまえばコイツも俺を男だと認識してくれんのかね。なんて思いながらも、無防備な、俺を信じきってる女子高生の胸を揉むなんて真似は出来ないんだけど。 「お前さぁ、こんな事他のヤツにさせんなよ?」 「へ? 俺だって相手くらいちゃんと選ぶって」 「ならイイけどよ……」 いや、良くない。選ぶって事は他のヤツにさせないってことじゃねぇし、そもそも俺はいいのかっていう。 あーもー、考えても解らんモンは解らん。やっぱコイツがアホの子だってことで、それ以上でも以下でも無いに違いない。解ったよ、支えてやるよ。胸くらいいくらでも支えてやろうじゃねぇか。女子高生の乳だ、嬉しいな! もうヤケだ。 もう一度溜め息を吐いて悟浄の肩に額を付けると、悟浄が何か呟いた。 「ん? 何?」 「んーん、なんでも?」 「そ?」 フォンダンショコラを食べ終わった悟浄が俺の手を一度外させてテーブルに皿を置く。そして再び俺の胸を背凭れにすると、また俺の手を自分の胸に押し当てた。 「あー、落ち着く〜」 「あー、ハイハイそりゃよかったな」 楽しそうにケラケラ笑った悟浄が、胸に触れている手のひらに自分の手のひらも重ねて、何故か胸に強く押し付けた。ふにゅりと柔らかい肉の潰れる感触に、下半身がヤバくなってくる。なんだ、コイツは。何がしたいの。 「アハハハハ」 「んだよ?」 「んー……?」 ゴソッと、悟浄が身動ぎして、柔らかいケツが股間に押し付けられ、ピクッと俺の身体が跳ねた。その反応にまた笑った悟浄は、意味不明な爆弾を俺に投下したのだった。 「捲簾の鈍チン」 |
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