3日ほど野宿が続いて、そのあげく敵襲を受け、昼頃には到着できるはずの街に着いたのは、すでに夜も更けた頃。 大きい街で、夜も遅いというのに活気がある。 大通りを入って程なく一件の宿屋を見つけ、運良く部屋も手に入った。 「一人部屋ひとつと2人部屋2つになります」 八戒がニコリと笑う。 一番疲れているのは彼だろうに、それを感じさせることはあまりない。 「順番からいったら、オレが一人部屋だろっ!?」 悟空がにこにこと自己主張する。 彼は長旅でも余り疲れることは無いようだ。 「僕はかまいませんけど、いいですか? 三蔵」 一人部屋の鍵を悟空へと手渡しながら三蔵を見る。 を部屋割りに加えることは皆が了承しているので八戒はには聞かず、三蔵に聞いた。 「八戒」 「はい?」 なにか問題でもあっただろうか…と、八戒が三蔵を見るより早く、その手から三蔵が鍵を奪う。 「話がある」 八戒に着いてこいと言わんばかりに、奪った鍵は悟浄へと投げる。 「出立は明後日だ」 用件だけ告げるとすっと身を翻し部屋へ向かってしまう。 その様子をきょとんと見送った3人は、めずらしい三蔵の態度に唖然としてしまう。 けれど、だけは唇を噛んだ。 先日の、余りいいとは言えない記憶がよみがえる。 昼間のいつも通りの三蔵や、いつも通りの悟空に忘れかけていた記憶。 「待ってください、三蔵」 八戒が後を追う形で部屋に向かった。 「じゃ、オレも部屋に行こう〜」 悟空がのんきそうに部屋の方へ歩き出す。 シングルはツインと方向が逆なので、おいていかれる格好になったと悟浄は気まずそうに目を合わせる。 どうも最近やりにくい。 やっぱり男の中に一人だけ女がいるというのは、本人は気にしなくても良くないのかもしれない。 私、本当にここにいてもいいのかな…。 の心に問いが浮かぶ。 の存在が、彼らの和を乱している気がして。 きゅっと、唇を噛んだ。 「なぁ」 悟浄がちらりとを見下ろした。 「三蔵と、なんかあった?」 赤い瞳がを見つめる。 それが、なんだか探るような目に見えては目を逸らした。 「別に」 「別にって感じじゃねぇな」 気に障るその言い方に、が振り向く。 「悟浄には関係無い」 感情にまかせて言ってしまってから気付く。 傷つけた…? とたんにものすごい自己嫌悪がを襲った。 「?」 「……ごめん」 うつむくに、悟浄がため息をついた気がしては目をきつく閉じた。 どうしていつもこうなんだろう。 迷惑かけて、傷つけて、引っかき回して。 やっぱり、私なんていない方がいいのかなあ…? ぽん。 頭に触れた温かい手。 目を開ければ、悟浄の優しい瞳とぶつかった。 「気にしてねぇよ」 口元を歪めるだけのいつもの微笑み。 くしゃくしゃとの頭を撫でると、悟浄は優しくの肩を抱いた。 「さ、部屋に行こうぜ。お嬢さん」 いかにもなエスコートをされて、は思わず吹き出してしまう。 その笑顔を見て、悟浄も笑った。 「そ、いい女には笑顔が似合うぜ」 そういった悟浄は、なんだかとても嬉しそうだった。 「じゃ、おやすみな。」 強行軍でつかれているはずなのに、すぐに部屋を出ていった悟浄は一向に戻る気配はなく、どうやら朝まで帰ってこなそうな雰囲気だ。 こちこちと時計の音が妙に耳について眠れない。 騒がしかった街も、眠りについたように静けさを取り戻している。 眠るのをあきらめて時計を見れば、2時を示している。 ため息をつきながらサイドボードの電気をつけ、はベッドに腰掛けた。 なんだか一杯やりたい気分だ。 自分の荷物にはアルコールは無い。 「ちょっと失礼」 姿のない主に断りを入れると、は悟浄の荷物に手を伸ばした。 余り多くない荷物を少しだけあさると、目的のモノが無いことはすぐにわかった。 ため息をついて荷物の口を閉じてから、ポケットに突っ込まれていたハイライトが目に留まる。 パッケージの封が切られていないそれを、逡巡の後開けた。 一本だけ引き出して口にくわえると、マッチを探して火を付けた。 慣らすように軽く吸い込んでから、白い煙を吐き出す。 その煙を目で追いながら、は考えた。 自分を好きだと言う三蔵。 それから八戒。 悟空の好きは何か違う気がするからおいておくとしても、彼に抱かれた(?)のは以外だった。 みんな、のことを好きだと言って、けれどの心には無理強いをせず、の身体だけを欲した。 もしかしたら身体だけ欲しいのかも。 それなら楽なのに。 身体だけならいくらでもあげる。 それで、ここにいることが許されるならいっそその方が楽だ。 「好き……か」 もしかしたら悟浄も…? 馬鹿げた考えすら浮かんで、の口元が歪む。 と、不意にドアが開いて廊下の光が室内に漏れた。 「起きてたんだ?」 「朝帰りかと思ってた」 がそう言うと、悟浄は少しだけ笑った。 そして、室内の臭いに気付き、の吸っている煙草を見咎める。 「女の子の吸うもんじゃ無いって言っただろ」 の身体をやんわりと抱きしめて、その手から煙草を奪うと、一口吸ってから灰皿に押しつけた。 「キスがヤニ臭くなるぜ?」 間近でクスリと笑われて、は少しだけ眉をひそめた。 「お酒くさい」 「そ? 飲み過ぎたかな」 に抱きついたまま、肩に顔をうずめて悟浄がくすくす笑う。 そしての顎をとると、静かに口付けた。 「おすそわけ」 絡む舌と、入り込んでくる唾液。 きついアルコールの香りに飲んでもいないのにくらりと来てしまう。 「は、オレのこと好き?」 不意に聞かれて、驚きには目を見開いた。 「オレは、のことが好きだぜ」 さらりと、笑顔で告げられる。 まるで驚いたが馬鹿みたいなくらい。 はため息をつくと、悟浄の腕をといた。 「酔っぱらい」 言って、自分のベッドに潜り込む。 しばらくはくすくすと忍び笑いが聞こえたが、やがてそれが消えた頃、ギシリとベッドが軋んだ。 「」 重なってくる重みに、が見れば、悟浄が自分の上にもたれかかっている。 それはなぜだか大型犬がなついてくるのにも似ていて、は思わずその頭を撫でていた。 さらりと、手触りの良い髪。 キレイなストレートヘア。 暗がりでもその赤が鮮やかで。 「キレイな色」 が呟くと、気持ちよさそうに目を閉じていた悟浄の目がふっと開かれを映す。 「」 静かに重なる唇。 「ね、教えて」 悟浄がねだるように、に囁く。 「オレのこと好き?」 まるで目を見るのを怖がるように、耳朶を噛む。 「一番でなくてイイ」 つぅっと、舌が首筋を降りていく。 「オレのこと、少しでも好き?」 鎖骨を甘噛みして、悟浄がを見た。 笑っているかと思ったのに。 悟浄は真顔でを見つめている。 切なそうでも辛そうでもなく、ただ無表情に。 悟浄のコトは、好き。 一番じゃないけど、みんなと一緒だけど、好き。 それでもいいの? 伺うようなの視線に、悟浄は静かに答えを待つ。 こくりと、自分の唾を飲み込む音がとても大きく感じられて、は口を開いた。 「好き」 その言葉を聞いた瞬間、悟浄がひどく嬉しそうに笑ったので、罪悪感に少しだけ胸が痛かった。 胸を覆うくらいの大きな手が、柔らかくその乳房を揉みし抱く。 悟浄がのすでに勃ち上がり始めた乳首に唇を寄せ、口に含んだ。 「ふ……」 口内でゆるゆると舐められ、そのむずがゆい刺激に思わず悟浄の髪を掴んでしまう。 軽く吸われるとその刺激にぴくりと身体が震えた。 熱心な愛撫に、気付けば悟浄の頭を抱いていて、自らもっととねだっているようで。 舌でころがされながら、ときたま吸われるとじれったくて腰が震えてしまう。 「ね、……悟浄」 ねだるようにが囁けば、悟浄は胸への愛撫はそのままに、空いた手を下へと下ろしていく。 肩から肩胛骨をたどり背筋をなぞり、の尻を柔らかく揉みながらするりと下着を脱がせた。 途中まで下ろされた下着を自ら足で引き抜くと、悟浄が少し笑った気がする。 胸の飾りを含まれたまま、吐息が胸をくすぐり唇が飾りを弄ぶ。 「……っ」 上がっていく吐息を押さえようとするに、悟浄がようやく乳首から唇を離した。 「隣、三蔵と八戒だっけ?」 「うん」 が頷くと、悟浄が再びの乳首に唇を寄せた。 「や…ん、なんで今日、そこばっか…?」 「駄目?」 含まれたまましゃべられて、の背がのけぞる。 「だ、駄目じゃ無いけど……」 自分の胸に子供のように吸い付く悟浄。 かわいいんだけど、かわいいんだけど……。 ちゅっと音を立ててそこを吸われてがまた体を震わせる。 「なんか出る?」 「でない……っよぉ」 続けてそこを吸われ、がふるふると頭を降った。 焦らされているとしか思えない。 まだ触られてもいない下肢の、アソコから蜜がとろとろと垂れているのが自分でもわかるのに。 「ねぇ、ごじょぉ……」 お願いするように見ても、悟浄は意にも介さない。 あいている方の乳房を手で弄び、を見つめる。 我慢できなくなって、が悟浄に訴える。 「お願い…」 「何?」 乳首はくわえたままで、聞かれる。 「下も、触って……?」 耐えられなくて、涙目で訴えるに悟浄がニヤリと笑う。 「おっけ」 するりと空いた手が背中を撫で、下肢へと降りる。 みだらにひくつくそこに触れる刺激を期待して、がきゅっと目を閉じると、悟浄が胸の飾りをやんわりと噛んだ。 「……っ」 のけぞり僅かに浮いた腰から、悟浄はの尻を撫でる。 と、そのままそこをやんわりと揉む。 「柔らかくって気持ちイイ」 「やぁ……」 恥ずかしさに、の顔が朱に染まる。 胸の飾りを含まれたまま、尻を揉むように動く悟浄の手。 「……っ」 溢れ出る蜜が、大腿を伝って尻までこぼれ落ちていく。 そこに触れられてもいないのに高まっていく身体に気付かれたくなくて、が足を閉じるけれど、尻を揉まれるたびにそこが淫らな音を立てる。 気が付いている癖に何も言わない悟浄に、の羞恥が高まっていく。 とろりと、あふれる愛液が大腿から尻へとこぼれ、悟浄の手を汚した。 「スゲェ……」 「やっ……」 あからさまなその言葉に、が身体をよじる。 けれど、尻を掴まれ胸の飾りを含まれたままでは効果はない。 その拍子に悟浄の手が、の愛液で滑る。 「っあ……」 クチュ…と淫猥な音を立てての入り口を掠めていった指に、 の身体が震えた。 じわじわと高められた熱は、すでにの正気を失わせている。 触れられもしていないのそこは、みだらに収縮を繰り返し犯される瞬間を待ち望んでいる。 ぼやける視界でが悟浄を見た。 悟浄はゆっくりとの胸から唇を離すと、を見下ろした。 「………ふ」 我慢できないよ。 僅かにできた悟浄との隙間で、がそろそろとその両足を開いた。 そして蜜のあふれる入り口を自らの指で開く。 「入れてぇ……」 自らの指すらも浅ましくくわえ込もうとする入り口と、ともすればこのまま自らの手で慰めてしまいそうなほどの欲。 悟浄が、くすっと笑ってそこへ指を忍び込ませた。 「……っあ」 くちゅくちゅと音を立てるそこに、嬉しそうに指を含ませる悟浄。 淫らに収縮する内部が、悟浄の指を奥へ奥へとくわえ込む。 けれどゆっくりと上げられた熱は、簡単に解放されることすらできない。 上がっていく熱に、がそこに悟浄の指をくわえたまま、身体をよじる。 淫らな姿勢で、快楽に濡れた瞳で、悟浄を見た。 「悟浄の……欲しいよ…」 縋るようなその目に、悟浄が指を抜いた。 そしてそこに自らの欲望を当てる。 「……」 悟浄のソレを入れられる瞬間を期待して、収縮を繰り返す入り口に先を触れさせたまま、悟浄がを見た。 「な・に……?」 無意識に動いてしまいそうになる腰を、必死に止めてが悟浄を見ると、彼はその視線から逃げるようにの耳朶を噛んだ。 「スキ」 「……っや、あああっ」 告白と同時に激しく貫かれて、の背がのけぞる。 押さえを失った口からは、嬌声が響き渡る。 「なぁ、は?」 片足を肩に担がれ、深い角度で抉るように貫かれる耳元での囁き。 浮いた身体のせいでイイ場所をリズミカルに擦られ、の頭が振られる。 「ああっ、…ふあっ、…ああっ、……んぅっ」 「オレのこと、好きだって言って?」 「あっ、スキッ…、すきぃ……イイのっ、ああっ、イイっ、ごじょ…、スキ……」 びくんとの身体がのけぞった瞬間、思いきり抉るようにそこを擦られる。 「っ……あああああっっ!!」 ひときわ大きな嬌声を上げて、が悟浄を締め付けると同時に、悟浄もナカに欲望を吐き出していた。 カーテンの隙間から、明るくなり始めた外の光が漏れ始める。 それでも、部屋の中はまだ闇が支配してる。 は隣で腕枕をしながら眠る悟浄を見た。 さっきまでの情事が嘘のような寝顔。 好きって言って? セックスの最中囁かれた言葉。 あんな「好き」が欲しい訳じゃないんでしょ? は悟浄の赤い髪を一房取ると、それにキスした。 |