山の空気が気持ちいい。 「ん〜っ」 は狭いシートに押し込められて固まっていた身体をほぐすように、大きくのびをした。 この辺りは比較的低い山が続き、緑があふれている。 「、申し訳ありませんけど薪拾いをお願いしてもいいですか?」 八戒がかまどを組みながらを見上げる。 悟空と悟浄の姿は既に見えないところを見ると、どうやらは出遅れたらしい。 「いいよ。じゃ、行って来るね」 三蔵と八戒にひらひらと手を振り、は一人森へと入っていった。 森と言ってもそんなに深いわけではなく、どちらかというと林に近い。 まるで高原のハイキング気分で、は薪を拾い始める。 獣の心配はなさそうだけど、迷子になると困るからあまり遠くまで行かないことにしよう。 燃えやすそうな枝を選んで拾う。 最近ようやく無理をしても心配を掛けるだけなのがわかったので、程々の量でいったん戻ることにした。 そう遠くない距離を歩く途中、の上を鳥が追い抜いていく。 それを見上げ、目に入った空の綺麗さに思わず口元がほころんだ。 「おまたせ」 すでに火を付けて調理を始めている八戒に声をかけると彼はにニコリと微笑んだ。 「ありがとうございます。ここら辺、木が多いので今日は薪が早く集まりましたね」 「みたいね」 かまどのそばの薪が積み上がっている所に拾ってきた分を置くと、は三蔵の姿が消えていることに気付いた。 「三蔵は?」 その言葉に何かを思いだしたように、八戒がおかしそうに笑った。 「あっちに川があるそうで、悟空に引っ張っていかれました。悟浄とジープも一緒に遊びに行きましたよ」 くすくすわらいながら火加減を見ると、八戒がにいった。 「も行って来ますか?」 「んー、やめとく」 せっかく静かだし、空が綺麗だし。 は草が程良く茂っているところを探して、ごろんと横になった。 それを見て八戒が苦笑する。 「下着、見えてますよ」 「あ、ゴメン」 八戒の方へ足を投げ出していたことに気付き、少し方向を変える。 そして空を見上げる。 「変わりませんね、は」 「?」 視線だけで問うと、八戒が少し笑った。 「身体、何ともないですか?」 それが先日の一件を示していることはわかったけれど、はわからないフリをした。 「風邪なら治ったよ。おかげさまで」 はぐらかしたわけではないけれど、そうとも取れる言葉に八戒も気付かないフリをする。 それでも。 「スミマセンでした」 「……そこで謝られると女としては惨めなんですケド」 が情けなさそうに言った。 「いえ、含みはありませんよ。後悔もしてませんし」 八戒が笑う。 「ただ、無理させてしまったと思ったので」 かまどに何本か薪を放り込む。 ぱちぱちと木のはぜる音がした。 空は相変わらずとても高くて、それでも白い煙ががんばって空を掴もうと手を伸ばしている。 「は」 「ん?」 「は誰かと同室でも、本当にかまわないんですか?」 「うん、かまわないよ」 「この間みたいなコトになってもですか?」 たとえばムリヤリ犯されたとしても? 八戒がをじっと見た。 「は僕のこと、そういう意味で好きなわけではないでしょう?」 「……そうだよ」 肯定。 「イヤじゃなかったですか?」 「………」 は草の上に起きあがって八戒を見る。 八戒は何か、のコトを誤解している。 「イヤじゃなかったよ」 きっぱりと言い切ると、八戒は少し戸惑ったようだった。 「私、セックス好きだしみんなのことも好き。だから何されてもかまわないし、むしろ期待してる」 貴方のその腕に抱かれることを。 貴方を独占できるその時間を。 「私、そんなにキレイ人じゃない。ただの浅ましい女だわ」 自分でイヤになるくらい。 そして涙が出るほど愛おしく。 「軽蔑した?」 彼のセリフを奪って笑う。 八戒が目を見開いてを見ている。 その視線に耐えられなくて、はうつむいた。 「誰にだって喜んで抱かれるのよ」 これで終わりかもしれない。 の心に浮かぶ。 この人たちとの旅もこれで終わりかもしれない。 は涙をこらえようと大きく息を吐いた。 笑ってやる。 絶対に泣いたりしない。 「」 八戒の手が伸びた。 ぶたれるかと思ったその手は、の身体をとても優しく包み込んだ。 「はすばらしい女性です」 八戒の胸に抱かれ、上から囁かれる。 「軽蔑なんてしませんよ。僕はそんなも大好きです」 降ってくるキス。 唇を重ねながら、その手が首筋をたどれば慣れた身体はそれだけで快楽を拾う。 じわりと下着が湿る感触に、八戒の身体を押し返すと、薄いワンピースの下で胸の先端が自己主張していた。 「こんなトコで……」 「イヤですか?」 首筋を掠め、胸の先端にキスをされればぴくんと身体が震える。 下着の上からそこを擦られればもうイヤとは言えない。 肯定の代わりにそろそろと足を開けば、突然八戒の鮮やかな手つきで下着を脱がされてしまう。 ミニのスカートでは隠れるわけがなくて、八戒に秘処を全てさらすことになってしまい、は恥ずかしさにさらに興奮してしまうのを止められない。 八戒がちらりとを見上げると、蜜のあふれるそこを見せつけるように舌ですくっていく。 「やっ……やだ」 慌てて身体をよじるを無視して八戒はそこを舌でなぶる。 「っう……ん」 屋外というせいなのか、いつみんなが戻ってくるかわからないせいか、わからないけれどひどく感じてしまう。 入り口を舐められているだけなのに、ナカはもうひくついていてたまらない。 「もっ、やめ…」 力の入らない手で八戒の頭を押すと、の秘処に音を立ててキスをして八戒は笑った。 「わかってます。いつあの人たちが戻ってくるかわかりませんもんね」 の手を取り、それを自身の胸へと導く。 「僕の手、今汚れてるんで、自分でココ触ってください」 「そんな…っ」 「服、汚したくないでしょう?」 八戒がニコリと笑う。 「ほら、自分でしたことくらいあるでしょう?」 促されて仕方なく、は自らの乳房を揉んだ。 それだけで身体を抜けるしびれるような快感に、思わず勃った乳首を人差し指と中指で挟み込んだ。 「んっ…ぅ」 の口から甘い声が漏れる。 八戒がそれを見て笑った。 「かわいいですよ、」 するりとの秘処へ手を伸ばすと、その指を一本つぷりと差し入れた。 「あっん……」 ぴくぴくとナカが八戒の指を締め付ける。 「可愛い、」 すっかり濡れて洪水のそこを、掻き出すように指を動かす。 「ああ……っふ…」 もう片方の手で大陰唇を広げると、のクリトリスをむき出しにする。 「ヤ、イっちゃう……」 涙目で八戒を見つめる。 大きく足を広げ、自らの胸を揉みし抱き快感を貪るその姿。 「最高ですよ」 八戒が満足そうに笑いのクリトリスをペロリと舐めあげた。 「もっと可愛い顔を見せて?」 チュッと音を立ててそこを吸われ、同時にナカのいい場所をきつく擦られ、は声も出せずにのけぞった。 「っ…!!」 絶頂を迎えひときわ強く収縮したナカが、八戒の指を貪欲にくわえ込む。 「っあ…、ああっ……、あ、あ…」 びくんびくんと断続的なコントロールの聞かない快感。 「は、あ……」 ふるふると最後の快楽をやり過ごすと、全身の力が抜けてはそこにくたりと身体を投げ出した。 八戒は指をナカから引き抜くと、そんなにキスをした。 「可愛かったですよ、」 八戒の鮮やかな笑顔に、今更ながら恥ずかしさがこみ上げてくる。 真っ昼間からこんな所でイカされてしまうなんて。 しかも八戒は一糸乱れていない。 火照ってきた顔を隠すように横を向こうとすると、八戒にやんわりと止められた。 「ちょっと待ってください」 そう言って少しだけ足を開かされる。 「なに?」 「後始末をしないと服が汚れますから」 ポケットから取り出したハンカチで、足についた愛液を拭う。再び熱をあおらないように手早くすますと、の足をうやうやしく持ち、下着を穿かせてくれる。 「八戒はいいの?」 今頃気が付いて聞いたに八戒は笑った。 「いいんですよ。の可愛い顔が見られただけで十分です」 八戒は手を洗ってきますねと、くるりと背を向けて歩き出す。 その背中を見送りながら、はワンピースを直して座り直した。 木々を抜けるさわやかな風に頬の火照りが収まっていくのを感じる。 と、そう遠くない場所で草を踏む音が聞こえた。 がそちらを見ると、悟浄がこちらに歩いてくる。 「いつからいたの?」 が聞くと、悟浄は「んー」と考える素振りをして、かまどに薪を足した。 そしてその火を見ながらぽつりと言った。 「結構前から」 その逡巡がのためなのかなんなのかはわからなかったけれど、隠しているわけでも隠せるわけでもないのは明らかだから。 「ふーん」 もとだけ答える。 妙な沈黙。 悟浄にしてはめずらしく、口を開くタイミングを計っているようだ。 「はさぁ」 意味もなく火を掻き回しながら悟浄が言葉を発した。 「は八戒が好きなワケ?」 さっきの行為を見てのその結論はわかったけれど。 「違うよ」 本当のこと。 「みんな好き」 4人とも好き。大好き。誰か一人なんて決められない。 その答えに悟浄はゆっくり立ち上がると、の方へと歩いて来る。 そして目を合わせずにの身体を抱いた。 「誰にでもこーゆーコトさせるんだ?」 悟浄の言い方がいつもと違う。 何か怒っているような、押さえているような声。 「ヤらせてって言えば、誰にでも足開くワケ?」 するりと大腿を撫で上げられる。 抵抗もできずにいるに焦れたように悟浄が初めて目を合わせた。 睨むようなその視線。 怖くなって、は悟浄の腕から逃れようと身をよじる。 それを木の幹に押しつけることで難なく防ぎ、悟浄はの唇に己のそれを重ねた。 無遠慮に入り込んできた舌に唾液まで絡め取られ、頭の心がぼうっとしてくる。 「淫乱」 キスの間の囁き。 頭から冷水を浴びせられたようなショックとともに、確実に上がってしまった身体の熱。 はきゅっと唇を噛むと悟浄を見た。 「そうよ。誰にだってさせるわよ、こんなコト」 「ッ!」 悟浄が、怒ったように目を見開いて手を上げた。 「!!」 とっさにが身体を硬くするが、その手はなかなか降りてこない。 おそるおそる目を開けてみると、悟浄はその手を握り込んで下を見ていた。 「……ワリィ」 小さな声。 そして今度は優しく伸ばされる指。 悟浄の指がの頬を優しく拭う。 「怖かっただろ」 そこで初めては自分が泣いていることに気付いた。 「こんなコトがしたかったワケじゃないんだ」 悟浄がを見る。 かちりと二人の視線が合う。 何故か悲しそうな顔をした悟浄がかわいそうになって、はふわりと笑った。 「大丈夫だよ」 悟浄は少し驚いたように目を見開いたが、つられたように少し笑った。 そしての頭をいつものようにぽんと撫でた。 「そっか」 そう言ってかまどに向かう悟浄。 やがて遠くからにぎやかな声が聞こえてくる。 4人が好きじゃ駄目ですか? は手のひらをぎゅっと握り込んだ。 |