kanon


初めて彼を見たとき、なんて綺麗な人なんだろうとは思った。
太陽の光を受けて輝く金の髪。
透き通るような白い肌。
そして何もかもを見透かすような紫の瞳。
とてもかなわない。
自分が綺麗だとかそんなコトを思っていたわけじゃないけれど、さすがにちょっぴり嫉妬した。
神様は不公平だ。
何も男にあの美貌を与えることはないでしょ。
神々しいまでに澄み切った気配。
まるで人ではないみたいに。
こんなに坊主らしくない人はいないと思うと同時に、これ以上坊主にふさわしい人はいないと思う。
玄奘三蔵。
この旅の要の人。

が食堂を通りかかると、すっかり人気のないそこに人影が見えた。
夕食時間は過ぎてるし、誰だろうと目を凝らすと暗闇でも映える金の髪。
「三蔵、なにしてんの?」
の声に三蔵がこちらをちらりと見やる。
その手元には何本かの酒瓶とグラス。
そばに近づいてよーく見れば、ほんのり目元が赤い。
激色っぽい…。
思わず駆けめぐった不埒な想像を頭の隅に追いやって、は三蔵に再び聞いた。
「一人で寂しく晩酌?」
「静かでいいだろ」
素っ気ない言葉。
けれどそれは故意でもなく他意もないことは、すでにもわかっている。
それに静かでいいというのもあながち嘘とは思えない。
そのくらい普段の彼らは騒々しい。
「私もつきあっていい?」
三蔵の向かいの椅子にこしかけると、グラスが差し出される。
それに氷を入れると、三蔵の傾けていた瓶を傾ける。
「おいしい」
「この街の名物だそうだ」
「へぇ、どうしたの? これ」
「宿の娘がくれた」
娘が。
の瞳がちらりと光る。
「三蔵ってさ、坊主の戒律守ってるの?」
からんと氷が音を立てる。
「関係ねぇだろ」
「関係ないけどさぁ……」
そういう言い方されたらちょっと傷つくかも。
そう思ったはなんとなく意地悪したい気分になる。
「三蔵って童貞っぽいよね」
がそう言ったとたんに部屋の温度が5度くらい低くなった気がする。
あくまで気のせいだが…。
じろりとその目で睨まれれば思わず腰が引ける。
「んなわけねぇだろ」
まさかというべき否定。
の目が丸くなる。
「え、違うの!?」
思わずこぼれた本音に、口を塞いでももう遅い。
「てめぇ、人を何だと思ってやがる」
「えーっと、坊主?」
てへ、と可愛く笑ってみても効果はないようだ。
そもそも三蔵はをいつもちゃんと年上の女性として見ている感もある。
もっとも悟浄と悟空とまとめられることもおおいけれど。
氷点下まで下がりかけてる雰囲気はさておき、の中に好奇心がむくむくとわいてくる。
「ねぇ、三蔵。マジでしたことあるの?」
の再度の問いに怒るかと思われた三蔵はちらりとを見やる。
「そういうてめぇはどうなんだ」
「へ? 私?」
まさか三蔵が他人に興味を持つとは思わなかったのではきょとんとしてしまう。
「したこと? あるけど?」
「てめぇがか?」
心底意外そうに言われると……。
「三蔵、私を何だと思ってるわけ?」
「……子供じゃねぇのか」
ぷちっ。
「失礼ね!! 私はこれでも25歳よ! 経験ないわけないでしょ!」
思わず叫んだに、三蔵がしれっと言う。
「みえねぇな」
「そう言う三蔵だって見えないわよ! 実は口だけなんじゃないの?」
「てめぇ、いい度胸だな。何でこのオレが嘘なんてつかなきゃならねぇんだ」
「そんなこと知らないわよ」
「……てめぇ、いい加減にしねぇと怒るぞ」
「図星なんでしょ!?」
三蔵が沈黙した。
それは黙ったと言うよりはむしろ。
突然の腕がつかまれた。
「な、なによ…?」
いくぶん不安そうな声でが聞く。
「ちょっと、離してよ」
「離してやるさ」
背を向けている三蔵の表情は見えない。
が、静かに笑っている気がする。
こ、怖い……。
「てめぇが謝ったらな」
「え……? それって」
さっきのことを怒っているらしい。
しかもかなりマジで。
つーか、三蔵きれるの早くない?
は酔っている三蔵が切れやすいことを知らなかった。
引きずられるように部屋に連れ込まれてベッドへと投げられる。
「ちょっと、タンマ! 謝る、謝るから!」
あわててが訴えるけれど、三蔵は聞く気も無いようで法衣を肩から落とす。
「三蔵!? ごめんってば」
の必死の訴えに、三蔵がちらりとこちらを見た。
が。
「してもいねぇのに謝られても誠意が感じられん」
すぱっと言い切ると、の唇に自分のそれを重ねる。
「っん…」
あっさりと入り込んできた舌に、が驚く。
他人とのスキンシップを嫌う人じゃなかったの!?
パニックに陥るをよそに、のワンピースがたくし上げられる。
その手が胸へ触れる前に、自分の手で胸を隠しては怒鳴った。
「わかった! 三蔵がしたことあるのは認める! だから勘弁して、ごめんなさい!」
一瞬考えた様子の三蔵に、がホッとしかけたその時。
がしたことあるのかはわかってない」
「いいよ、そんなのっ」
「良くない。すっきりしねぇ」
そして再び重なる唇。
酒の味の唾液に、自分にまで酔いが回ってくる気がする。
一体どれだけ飲んだんだ、この人!
僅かに離れた三蔵の唇がの頬を掠めて耳朶を噛む。
と、同時に囁かれる声。
「死ぬほどイかせてやる」
ぞくっ。
背筋を快感が駆け抜けると同時に、僅かな恐怖も感じる。
「ほ、本気?」
おそるおそる聞いたに、三蔵はめずらしく満足げな笑みを浮かべた。
「躯で確かめるんだな」
一気にワンピースを脱がされると、あらわになった胸をもみし抱かれる。
「いっ、いたっ」
力一杯揉まれて痛みを訴えると、その手つきが変わる。
明らかに愛撫になったその手に、快感がぼんやりとわき上がってくる。
僅かに勃ち上がってきた乳首に三蔵が口付けた。
「ひゃぁ!」
軽く口付けると、そのまま口内に含み舌で転がすようにする。
開いてる方の乳首は指で転がす。
と、その手が脇腹を掠め、背中を首筋からすうっとたどった。
避けるように腰を浮かべると、そのまま下着を取り去られる。
足を片方開かせると、その谷間をなぞる。
くちゅ…。
「濡れてるな」
からかいを含んだその声にの頬が朱に染まる。
「触って欲しいか?」
割れ目を往復しながら問う。
羞恥と欲望の間で一瞬だけ迷う。
「意地悪、しないでよ…」
やっとの事でそれだけ言うと、三蔵の指がするりと2本入り込んできた。
「ふぅ……ん」
思わぬ圧迫感に、の頭が振られ、髪が乾いた音を立てた。
「確かに、慣れてるみたいだな」
中を物色するように探っていた三蔵の言葉。
「最近もしただろ」
なんでわかるんだ?
の視線に、肯定を感じて三蔵が指を引き抜いた。
「あいつらの誰か…か?」
くちゅっと、三蔵の雄がそこにあてがわれると、慣らすように侵入してくる。
「やぁっ、そんな、いきなり」
「だからゆっくり入れてるだろ。濡れてるし慣れてるなら平気だ」
あっさりと言い切る三蔵に、が唇を噛む。
それに気付いて三蔵が躯を倒してキスをする。
深い口付け。
「このくらい体格に差があると、楽でいいな」
囁き。
片手を腰に、もう片手での胸をいじりながらゆっくりと動き始める。
半分ほど出ていっては再び入ってくる三蔵の熱。
それは彼の快感のためというより、のいい場所を中心に攻めてくる。
ゆっくり上がっていく熱とは違う、半分は生理的な快感に頭が真っ白になる。
「やぅ、そんな」
まだし始めたばっかりなのに。
「イっちゃうっ」
言うのと同時に上り詰める。
収縮して三蔵を締め付けるそこ。
快感が駆け上る。
その感覚に浸りかけたの腰を掴むと、突然三蔵が激しく動き出した。
「やぁぁぁっ!!」
の悲鳴が上がる。
「やっ、まって!」
耳もかさずに動く三蔵。
上り詰めた躯を玩具のように揺さぶられる。
収まらない熱の中、さらに熱を加えられて頭がショートする。
乳首をカリと噛まれると、痙攣しているナカがひときわきつく締まる。
そこを三蔵自身が手加減なしに貫いていく。
「なっ、なんでぇ……?」
胸を遠慮なく揉みしだかれても、痛みはもう感じない。
快楽が、全てを塗りつぶしていく。
「死ぬほどイかせてやるっていっただろ」
微妙に角度を変えて、再び一番感じる場所に先端をこすりつける。
「あああぁぁっ!!」
結合部から吹き出した愛液がぽたぽたと漏れる。
「潮吹きか。イきっぱなしだろ」
ぐちゅぐちゅと音がする結合部から、愛液が漏れ続ける。
の開けっ放しの口からは唾液と嬌声がひっきりなしに漏れている。
「返事もできねぇか」
三蔵の口元が楽しそうに歪む。
簡単に飲み込むくせに、食いちぎりそうなほどきつく締め付けてくる内部。
絶えず漏れる愛液と柔らかい肉壁に、三蔵の方も限界に近い。

呼ばれ、うっすらと目を開く
けれど、正気を失った潤んだ瞳には三蔵を認識できない。
強引に唇を重ね舌を絡める。
片手で胸を揉み、乳首をつまむ。
そしてもう片方の手で、のクリトリスをすりつぶすと、の躯がひときわ大きくしなる。
ナカがきつく、三蔵を締め付ける。
ともすれば入り込むことすらできないくらいしまった内部を、抉るように三蔵自身が犯す。
最奥を犯された瞬間、内部で三蔵が弾けた。
その熱さをどこか遠くで感じながら、の意識は途切れた。

シャワーの音が聞こえる。
がうっすらと目を開くと、そこはベッドの上ではなかった。
「気が付いたか」
「ここは…?」
いくぶんかすれた声でが聞く。
「風呂だ」
三蔵は素っ気なく答えると、の躯にシャワーをかけた。
「ひょっとして、後始末してくれてるの?」
「普通だろ」
が気が付いたので頭まで洗うことに決めたらしく、シャワーを上からかける。
「思ったより早く気付いたな」
シャンプーを付けて、の頭を指の腹で洗いながら三蔵が言った。
その気持ちよさにうっとりしながら、ふと食堂でのやりとりを思いだした。
「あの、さっきはゴメン。食堂での」
「お互いだろ」
流すぞ、といってシャワーを再び頭からかけられる。
以外と神経質そうな洗い方に、三蔵らしさを見た気がしてはくすくす笑う。
なんだと問いたげな三蔵に何でもないとだけ答えてはうっとり目を閉じた。
幸せだなぁなんて思いながら。


END
花吹雪 二次創作 最遊記