春眠暁を覚えずというけれど、その時の私はまさにそれ。 ようやく暖かくなってきた気候に眠気を誘われ惰眠を貪る日曜の昼。 布団の中でぽかぽか陽気の外を見て、昼御飯は何を食べようなんてぼんやり考えていた。 ぴんぽーん。 チャイムの音が、の部屋に響く。 「誰だよ…、こんな時間に…」 思わず悪態をつくが、時計を見れば12時をまわっている。 だがしかし、今のの姿はパジャマである。 とても来客に対応できる服装ではない。 「無視」 はきっぱり宣言すると、それでも一応布団から這い出て、床に座ったまま良い天気の空を見上げた。 「布団干すかなー、でもめんどくさいなー」 それよりもお昼だな…。 動くのも面倒くさくて、日だまりの中、ぼんやり空を見上げていれば、再びチャイムの音が部屋に響いた。 「ぴんぽーん」 「……誰だよぉ」 かといって出られる服装でもない。 無視を決め込んではクッションを抱きしめるとごろんとそのまま床に寝ころんだ。 と、今度は携帯が震えた。 「…………」 ようやくまどろみをあきらめて、はクッションを抱きながら妙な音を立てて机を滑っている携帯をつかんだ。 見ればメールが入っている。 『居留守だってのはわかってんのよ。ドア開けろー。 捲廉』 なんでこの人はこう、いつでも自信満々なんかなー…。 しかもメールを見たのを見透かしたように、もう一度チャイムが鳴る。 仕方なく携帯を持ったままドアを開くと、そこには笑顔全開の捲廉が携帯片手に立っていた。 「よぉ」 「おはよー…」 あからさまに寝てましたという顔でがあいさつすると、捲廉は苦笑しての頭を撫でた。 「おはよって時間じゃねーぜ、」 それでも一応パジャマ姿のに気を使ってか、捲廉はの部屋にはいるとドアを閉める。 入ってしまえばいつも通りで、捲廉は玄関の壁に寄り掛かって手を組んだ。 「なあ、今日暇?」 「暇といえば暇だけど…?」 「じゃ、俺らと遊びに行こうぜ」 「誰と?」 「俺と天蓬」 「どこへ?」 「新宿、秋葉原」 「めんどくさいなぁ…」 「この間欲しいって言ってたスカート買ってやるぜ。ついでに三蔵のバイト先で飯食って来ようぜ、もちおごり」 「むー」 それは非常に魅力的な話だ。 スカートも御飯も魅力的だし、何より捲廉と天蓬の二人を連れてショッピングなのだ。 「……行く」 「よっしゃ」 「でもちょっと待ってね。着替えるから」 「ああ、いいよ、そのままで」 「は?」 きょとんとしてが捲廉を見れば、捲廉は楽しそうな笑いを浮かべている。 「そのまま天蓬の部屋行って、一緒に風呂入ろうぜ」 「なんで……?」 あまりに意外な言葉に、が問えば捲廉は唇の端を吊り上げニヤリと笑った。 「知ってっか? 子供は1人で風呂に入れちゃいけないんだぜ?」 「子供じゃないよ」 唇をとがらせてが言えば、捲廉はくすくす笑ってをぎゅっと抱きしめた。 「知ってるさ。よーくな」 吐息と共に捲廉の唇がの首筋をかすめる。 けれど熱を煽るまでは行かず、捲廉はの身体を離した。 「今なら俺が身体の隅から隅まで洗ってやんぜ? しかもその間に天蓬が飯を温めてくれんだろーな。昼飯もまだなんだろ?」 「天蓬の御飯!?」 「や、八戒の。天蓬は温めるだけ」 びっくりしたに捲廉が訂正する。 「ああ、びっくりした……。てゆーか、何でお風呂よ。ひょっとして私臭い?」 「や、石鹸のにおいすんぜ? 実は風呂入りたいのは俺だったり」 「ああ、そう。えっちなことしないでよね」 思わず脱力してがそう言うと、捲簾はにっこりと笑う。 「おっけ」 「でもこのままの格好で行くのはなぁ…」 が取りあえず上着を取ってこようと部屋の方へ向かうと、捲廉がその手を取った。 「だーいじょうぶだって。イザとなったら俺が抱いてやるから」 薄手のジャケットの裾をひらひらさせながら笑う。 「鍵これだろ? さ、行こうぜ、お姫様」 天蓬の住んでいる部屋は同じマンションの3階上にある。 その部屋のドアを捲廉が開くと、とても良いにおいがした。 「お腹空いたぁ…」 が子供のように呟けば、その言葉を聞いて顔を出した天蓬が笑った。 「今温め始めたところです。すみませんが、捲廉をお風呂にいれてやってくれますか?」 「俺かよ…」 「いーけど、そういえば私着替え持ってくるの忘れた」 捲廉に言われるままに来てしまったが、色々と忘れてきたことに今さら気付く。 すると天蓬はにっこり笑った。 「大丈夫ですv 今日はのために色々と用意してあるんですよ」 「へ?」 「僕らのプレゼントした服を着たと出掛けたいんです」 「もちろん、気に入らないなら途中で買ってやるからよ。つーか、洋服プレゼントしたいのもホント。今日は俺らリッチな上にゴキゲンだから、欲しい物なんでも買ってやるぜ?」 「う……、なんか話がうますぎない?」 「うまい話には裏があるっていいますもんね」 「ちなみに今日の裏は、の今日一日の拘束権」 「あたし?」 「そ。俺らがと1日デートしたいわけよ。OK?」 「う…、んと」 「いやですか?」 あからさまにしゅん…とした顔で天蓬がの顔をのぞき込む。 性格を考えると明らかに嘘だとはわかるが、無下にもできない。 というか、する理由もないし。 「んー、いいよ」 「っしゃ。じゃ、早速風呂な」 「その間に食事温めておきますね」 天蓬の笑顔に見送られて、は捲廉とお風呂に向かった。 えっちなことはしないという約束通り、えっちなことはかけらもされず(それはそれでちょっと不満かもしれない)、身体の隅々まで洗われた上にむだ毛の処理まで何故かされて、半分のぼせてお風呂を出るとすぐさま天蓬にバスローブを着せられて、ダイニングへとつれて行かれた。 それから八戒が作ったと言われる天蓬が温めてくれた優雅なブランチをして、手を引かれるままに歯磨きして(これは自分で)、椅子に座らされて、気付けば天蓬に真剣な顔でメイクされていた。 「上手くやれよ」 「任せておいて下さい」 実際天蓬のメイクの腕はプロ並みだったりする。何故か。 そして髪をブローしてくれて、捲廉の差しだした服を見て、私は今までの流れ作業の理由に気が付いた。 やっぱり大きな裏があったのだ。 「可愛いだろ?」 ひらりと洋服を見せる捲廉は、じろりとにらみつけても動じる気配すらない。 「に似合うと思うんですよ」 背後での肩をがっちり抱いて、天蓬がほほえむ。 そう。確かに似合うかもしれないが、この際似合うか似合わないかはおいておこう。 趣味が合わないのかと言われれば、別にそういうわけではない。 どちらかといえば好きな路線だ。 フレアのスカートに、パーカー付きの細身のニット。 春向きな、ちょうど今の服装。 ちなみにの今の服装はバスローブ一枚。 ……何か足りないだろ? 「ほら、これ来て一緒に遊びにいこうぜ」 捲廉の笑顔を見た瞬間、彼らがわざとやっていることには気付いた。 つまり、捲廉と天蓬は、に、下着を付けないままこの洋服を着て、一緒に出掛けようと言っているのだ。 「冗談じゃない! 絶対イヤ!!」 「えー、この洋服、気に入らなかったですか?」 「そういう問題じゃなくてっ…」 「じゃ、どういうモンダイ?」 にやっと笑って、捲廉がすっとに近づく。 そしてバスローブをするりと脱がせる。 「誰にもわかりゃしねぇって」 言葉と共に、足を取られスカートを履かされる。 そのスカートを足に絡めるように、足を撫でて、天蓬が囁く。 「スカートの丈もこんなに長いですし、大丈夫ですよ」 「上もニットなんだし、めだちゃしねーって」 「ね、僕らと一緒に遊びに行きましょう?」 きゅっとの乳首を天蓬の指がいたずらに摘んで、すぐ離れる。 そして素肌にニットを着せられ、そのボタンを捲廉の指が閉じていく。 ニット越しでも僅かに分かる、その突起。 「絶対に誰にも分かりませんよ」 耳元で囁かれる天蓬の言葉。 ひくりと痙攣したそこを見透かしたかのように、スカート越しにお尻をなぞるように撫でて、を抱くように立たせながら捲廉が笑った。 「絶対気持ちイーぜ?」 は目をきゅっと閉じて、頷いた。 基本的に、捲廉の移動は車が多い。 だから今日も車だと思っていたのに、彼らが向かった先は歩いて3分の最寄り駅。 始めはびくびくしていただったが、スカート丈が膝上ということもあって、少しすーすーする位で何も履いていないことはすぐに気にならなくなってきた。 それに、今日は全部二人の奢りって事で、お財布すら持ち歩かないでいいのでは身1つでちょっと気分も良かった。 駅の構内に入り、ホームへ向かうエスカレータに足をかけると、不意に捲廉がニヤリと笑った。 「なに?」 「別に」 不審なものを感じて振り向きかけたその時、ホームへ向かって風が吹き上がる。 「!」 ふわりと舞い上がるスカートをがあわてて抑えると、捲廉の笑みをこらえきれない瞳と視線がぶつかる。 「ここ、いつも風強いよな」 「地下鉄駅もそうですね」 「…………」 「つーか、前だけ押さえても意味ねぇだろ?」 ふわりと舞い上がるスカートに苦笑して捲廉が言う。 あわててスカートの前と後ろを押さえては恨みがましそうな目で二人を睨んだ。 それをみて天蓬は心底楽しそうに笑った。 「かといって、両方抑えてると変ですけどね」 「うう……」 この二人の口車に乗ってしまったことに、早くもは後悔していた。 その後悔は、電車に乗ったとき更に大きくなった。 たまたま来た電車はほぼ満員状態。 しかもそんな中に乗ったものだから、ドア付近なんてとても無理で中央の人混みの中。 幸い二人とははぐれていないものの、痴漢が出ても不思議じゃない状況。 今触られたら絶対ばれる〜。 半泣き状態のの尻を、誰かがするりと撫でた。 びくっとして僅かに振り向けば、後ろににやにや笑っている捲廉がいる。 捲廉〜〜。 恨みがましそうな瞳でにらみつければ、今度は胸の先端をかすめる指。 今度はきっと睨めば、天蓬の楽しそうな瞳がそこにある。 「くそぅ…」 新宿まで約10分。 着いたらすぐに洋服買って着替えてやる。 そう決意をして、は潜り込んでくる腕をつねった。 『新宿〜、新宿〜』 どっと電車から吐き出された人並みに揉まれながら、は捲廉と天蓬を恨みがましそうな目で睨んだ。 「服、買ってくれるんでしょ? 今すぐ買って!」 「何? 良くってスカート汚れた?」 「ばっ! 違う!!」 「またまたぁ」 二人がかりでいじめられるとどう考えても分が悪い。 うそを付いてもすぐに見透かされてしまう。 実際のあそこは座りでもしたらバレバレなくらいで。 「ま、いいぜ。何がいいよ?」 「えーと…」 「この間が欲しいって言っていたスカートはどうですか? バーバリーの、ブルーレーベル?」 「えっ、本当にいいの?」 「かまいませんよ。ねぇ?」 「ああ。下着以外なら何でも買ってやるぜ?」 「……」 まあ、それでもフレアよりはタイトの方がましかもしれないと思って、は二人と一緒に店に向かう。 そして過ちに気付いた。 「あ、このスカート可愛いですね」 「いいねぇ。このカットソーもどうよ?」 「それよりはこっちのリボンが付いてる方が良くないですか?」 「ああ、それいいな」 「えーと…」 をよそに二人はあれこれと洋服を見聞している。 そして結論が出たらしく、店員のお姉さんににっこりほほえむと、と洋服をまとめて更衣室へと放り込んだ。 「着たら見せろよ」 「ちょっとっ! 私の意見は無視!?」 「早く着ないとここ開いちゃいますよ?」 さらりと天蓬に怖いことを言われ、は仕方なく着替えようとニットを脱いだ。 と、更衣室にある鏡に自分の姿が映る。 ブラすら着けていない自分の姿。 はあわててカットソーを着ると、スカートは脱がずに履き替えた。 しかし、さっきの服装よりもましだとは言い切れなかった。 カットソーは少しだぶついているので身体の線は目立たないが、襟や袖が大きく開いていて覗けば中が見えそうだし、あちこちに花をあしらったデザインが透かしで入っている。 そしてスカートはタイトのミニで、歩くだけでも中が見えそうな位きわどい。 思わず少し前屈みにして鏡で確認してみれば、中がばっちり見えている。 「どうしよう……」 中が見えてしまう羞恥心に途方にくれるけれど、何より困るのはそんな状況に興奮してしまう自分自身。 問答無用に溶けだしてしまうそこから目をそらすけれど、ちょっとでも溢れてくれば、足に伝っていく液は見えてしまうだろう。 「これならさっきのスカートの方が…」 あわててもう一度はき直そうとすると、狙い澄ましたように捲廉の声が聞こえた。 「着替えたか? あんまり遅いとここ開けんぜ?」 「ま、まって」 仕方なく、覚悟を決めては扉を開いた。 その瞬間刺さってくる捲廉と天蓬の視線が痛い。 「おっ、似合うじゃねーか」 「ええ。とても良くお似合いです」 二人の言葉に店員もにっこり笑って誉める。 「本当にお似合いですよ。ほら、お客様のために作ったみたいです」 そんな言葉を聞けば聞くほど、羞恥が募る。 「ナニ照れてんの? 顔赤いぜ?」 「ね、捲廉。見えてないよね?」 「おう。そそるラインだけどな」 「そ、そう……。よかった。じゃ、もう一度着替えるから」 「大丈夫ですよ、そのままで」 「え?」 「お姉さん、この服ちょうだい。このまま着ていきたいんだけど、いいよね?」 「ええ、かまいません」 「ちょ、ちょっと待ってよ」 があわてて捲廉を制止しようとすれば、天蓬がクスリと笑った。 「そんなに激しく動くと見えちゃいますね」 ばっとあわてて裾を抑えると、その様子にくすくすと笑う。 「み、見えた?」 「少しだけね」 「ほ、ホント?」 「嘘ですよ」 そのやり取りを聞いて、なにも知らない店員がほほえむ。 「大丈夫ですよ、以外と見えそうで見えないものです。どうしても心配だったらスカートと同じような色の下着を着ければ目立たないですよ」 「あ、はい……」 羞恥で真っ赤になって、はうつむいた。 すっかりおとなしくなったをつれて店を出ると、捲廉が楽しそうに笑う。 「さて、次はどこ行く?」 「もぉいい。帰ろうよ」 「なんだよ、まだ来たばっかりだぜ? の好きな本屋とか、CD屋とか、ゲーセンとかいかねぇのか? もっと服買ってもいいし、バッグだって何だって買ってやるぜ?」 「もういい」 むぅっと下から睨んでも、帰ってくるのは悪びれない笑み。 こんな格好で街中を歩くなんて、私、おかしくなっちゃうよ。 その言葉は飲み込んで、がうつむくと、天蓬がにっこりと微笑んだ。 「じゃ、秋葉原で買い物していってもいいですか?」 そういえば天蓬がそんなことを言っていたのを思い出して、は仕方なく頷いた。 「じゃ、電車に乗るか。中央線のが近いかな?」 「どちらも同じくらいでしょう。中央線でいいんじゃないですか」 そういってホームへ上がるエスカレーターへ乗せられる。 ちょっとした段差がある度に気が気じゃない。 誰かがちょっと見上げれば、誰かがちょっとのぞき込めば、の乳首や秘部は簡単に見えてしまうだろう。 どれだけ静かに歩こうとしても、一歩踏み出す度に揺れる胸。 不自然じゃないように歩こうとしても、お尻にスカートの裾を感じる度にスカートの中が見えてしまう気がして、気にしないようにすればするほど濡れてしまう。 もはや、カットソーの上からでも明らかに分かるほど尖ってしまっている乳首。 羞恥に顔が火照ったまま、吐息さえ熱くなっていく。 何にもされていないのに、触れられてすらいないのに、上がっていく熱を抑えるすべすら分からない。 こくりと、唾を飲み込む音すら大きく聞こえる。 電車に乗って、扉の側に立つ。 電車が揺れてもよろけないように、きつく手摺りをつかんでいるを、天蓬が笑った。 それを睨んで見上げれば、捲廉が挑発するように囁く。 「そんなカオしてると、バレバレよ?」 「……だってっ」 もう止まらない。 SEXの最中にも似たこの快感。 もう、どうなってもいいからここで犯して欲しいとすら思うほどの熱。 「ねぇ……」 ねだるように囁けば、天蓬がクスリと笑った。 「駄目ですよ」 まだ、お預け…。 『秋葉原〜、秋葉原〜』 電車の扉があっけなく開いた。 「欲しかったパーツがあるんですよ」 平然とした声がひどく遠く聞こえる。 既に見られている感覚はひどく遠くて、いっそ見えてしまえばこの熱から解放されるのかなとすら思う。 中心が、ひくひくしているのが自分で分かる。 とろとろに解けて、じんじんしてる。 このまま、自分でしてしまいたいほどの熱に浮かされたまま、二人の後を歩く。 と、天蓬がぴたりと足を止めた。 「ちょっと、おもしろくないですよね」 「そっか? 俺はこれはこれでおもしろいけどな」 くるりと振り向き、天蓬がにほほえむ。 「、イきたいですか?」 明るい午後の日差しの中、歩行者天国の車道の真ん中で問われた問いは、シチュエーションと相まって一瞬理解できなかったが、ワンテンポ遅れては頷いた。 「……ん」 崩れ落ちそうになる足を、なんとか踏みとどまっては二人に近づく。 すると、天蓬が小さな楕円形のボールの様なものを取り出した。 「これを、家に帰るまでずっと入れているって約束してくれるなら、いかせてあげてもいいですけど?」 ちいさなピンクのローター。 「家に帰るまで……」 「そうです」 子供に言い聞かせるような言葉で、天蓬はふんわり笑った。 「そしたら一度、いかせてあげますよ?」 解放される。 この熱から解放される。 「ん」 だったら、もう何でもイイから。 「いかせて……」 「ええ」 路地裏かと思った。 もうどこでもいいって思った。 いかせてくれるなら何でもいいから、だからこの熱を解放して欲しいって。 すると、天蓬はゆったりと微笑んで歩道と車道を分けている街路樹の手前にある金属の柵を指さした。 「じゃ、あの上に座ってください」 こんな人の多いところで、しかも人混みのど真ん中で。 一瞬躊躇したものの、既に熱で溶けた頭には、そんな事は大した障害にはならなくて、はもたもたと歩いてそこまで行き、金属の柵に腰掛けた。 お尻に直接触れる金属の冷たさに身を竦め、けれどそれすらも快楽にしかならない。 「、足を開いてください」 「ん……」 そろそろと、足を開いて何も履いていない秘部を晒していく。 すでに、羞恥なのか快楽なのかの区別すらつかない。 「良く見えませんね」 ちらりと視線を落とされるその扱いに、のどこかでネジが飛んだ気がした。 そろそろと、自ら片足を柵にあげて行く。 そして自身の指で濡れきった秘所の入り口を開く。 クチュ…と雑踏の中ですら聞こえた音に、羞恥を覚え、自分で押さえている入り口がひくつくのが分かった。 「お願い…」 「かわいいですね、」 天蓬の意外と男らしい手が、ピンクのローターをするりとそこへ埋め込む。 ひやりとした感触が、のナカに飲み込まれていく。 「……っ」 ぞくぞくと背筋をはい上がる快感に、がふるふると頭を振れば、天蓬がニヤリと笑ってスイッチを入れた。 「ひゃ……あっ」 思わずのけぞった瞬間、柵から落ちそうになったを、捲簾が抱き留めた。 「あっ…、ああっ………」 熱が上がりきっていた身体に突然強い快感が与えられ、一気に絶頂へと駆け上る。 もう、ここがどこで、自分が何をされているかなんてどうでも良かった。 「っ……っ…ふ、ぁぁ………ぁ」 捲簾の背中を抱きながら、それでも声だけは抑えては絶頂に達した。 びくびくとナカでうごめいていたローターは止まり、それを名残惜しそうにこすりあげる内壁が妙に淫らで、は、こぼれた涙を捲簾のシャツにこすりつけた。 「かわいいぜ、」 そんなの顎を取り、捲簾が口づけを降らせる。 その口づけを受けながら、脱力していたに、天蓬がにっこりと笑んだ。 「じゃ、買い物に行きましょうか」 「ま、…マジっすか?」 思わず聞いたの耳に入ってきたのは楽しそうな声。 「もちろんです」 見上げれば捲簾も、同じ笑みを浮かべていたのだった。 |