一人遊び


街へ着いたのは夕方だった。
ちょうどいい時間だと宿を探し始めたのだが、一件目はあいにく満室だった。
「すみません、三蔵」
宿のフロントから戻ってきた八戒が三蔵を呼ぶ。
何で三蔵を呼ぶんだろう?
が疑問に思う。
ひょっとしてものすごく高いとか…。
いや、この宿でそんなことはないだろう。
じゃあ、どうしてだろう。
悟浄も悟空もここに居る。
というより、言い争いをしている。
のすぐ隣で低次元な言い争いが聞こえる。
………。
ぷち。
「だーっ! うるさいっ!!」
我慢しきれず叫んだに、悟空がすかさず助けを求める。
「だって悟浄がっ」
「てめぇだろ! バカ猿!」
「なんだと!? このエロがっぱ!」
「…っ」
再び怒鳴ろうと息を吸い込んだの後ろから、怒りのこもった声が聞こえた。
「うるせぇ」
同時にジャキ…と銃を構える音が聞こえる。
それものすぐ後ろで。
「ひょっとして、私も入ってる……?」
「当たり前だ」
三蔵があっさりと肯定した。
「まあまあ。それより今日の宿なんですけど」
八戒が苦笑しながら言うと、悟空が嬉しそうに聞く。
「部屋、とれた?」
「ええ、取れましたよ」
「一人部屋、あった?」
「それがですねぇ……、二人部屋が1つと三人部屋が1つしかなかったんですよ」
すまなそうに八戒が言う。
八戒のせいではないので文句すらいわなかったものの、悟空が少し不安げな目をした。
「じゃ、どうすんの?」
「三蔵とも話したんですが、二人部屋をに使っていただくということで、いいですよね」
敢えてには聞かず、悟浄と悟空に八戒は聞いた。
「そんなっ! だから私のことなら気にしなくていいってば!」
あわててが言うが、もとより相手にする気はないらしく誰も聞いてくれない。
だから三蔵だけを最初に呼んだんだ。
読み切れなかった自分に腹が立つ。
そんなにはかまわず、悟空がいいよ〜とのんきな声を出す。
「じゃ、そういうことで。
鍵をわたそうと八戒がを振り向いた瞬間、が八戒に言った。
「私、3人部屋がいい」
「え?」
にこやかな笑顔のまま八戒が凍り付く。
「一人はいや。みんなと一緒がいい」
いうだけ言うと、ぷいっと横を向いてしまう。
「で、ですが……貴女は女性なんですし」
非常にもっともなことを八戒は言うけれど、納得なんて出来なかった。
「男とか女とか、気にしないでよ。同じに扱ってくれていいって言ってるじゃない。私は雑魚寝だって野宿だって平気だよ! どうしてそんなに気にするのよ!?」
じっと、八戒の翡翠の瞳を見つめる。
僅かに逡巡し、言葉に詰まった八戒の後ろで三蔵が冷たく言い放った。
「男と女は同じじゃねぇんだ。聞き分けろ」
「……!」
我が儘を指摘されてが息をのむ。
何か言い返してやりたい。
でも言葉が浮かばない。
見つめるの前で、三蔵はきびすを返すと一人部屋へと歩いていく。
悔しくて言い返したいのに、三蔵の言ってることが正しいのも解って、自分が女であることに嫌気すら感じる。
気にしないで欲しいのに、そんなこと。
彼らと一緒に扱って欲しいのに。
唇を噛んでうつむいてしまったに、八戒が優しく声をかける。
「迷惑なんかじゃないんですよ。の気持ち」
そう言われても顔を上げられないの肩に、突然無遠慮に腕が絡んだ。
「じゃ、オレと同室になる?」
「悟浄!」
八戒が咎めるのにウインクして、悟浄が笑った。
「どーせ今夜も出かけるし? 二人で使えば遠慮はいらねぇだろ? な、
どーする?…と悟浄が視線で聞いてくる。
八戒も、そう言うことならばとに判断をまかせたようだ。
は反射的に頷いていた。
「うん、悟浄と同室になる!」

夕食を食べると、悟浄はあっという間に姿を消していた。
というか、正しく言うならが食べ終わる前。
三蔵と八戒が食べ終わっていたところを見ると、特に急いで食べたわけでもなさそうで、悟空につきあって杏仁豆腐など食べていたが遅かっただけの話である。
結局二人部屋を一人で使うことと余り変わらない。
部屋に戻ると誰もいなくて、は少しため息をついた。
さみしいなぁ…。
一人が慣れていない訳じゃないけど。
普段がにぎやかなだけに、このギャップにはまだ慣れない。
悟浄はもう街に遊びに行ったんだろうなぁ。
そこで可愛い女の子でもひっかけて、そのまま一晩お泊まりして。
私だって女なのに。
誰でもいいって訳じゃないんだろうけどさ…。
そこまで考えてちょっと落ち込む。
どうせ可愛くないし、スタイルだって良くないし、性格だってブスですよ〜だ。
いいもん。
別に悟浄の事なんて好きじゃないもん。
はベッドの上にごろごろと転がりながらふてくされる。
好きじゃなくても他人を向くのは何となく気に入らない。
悟浄のコトだからいい女選ぶんだろうなぁ。
スラッとしてて、美人で、胸がおっきくて、エッチも上手い人。
悟浄、あれだけ遊んでんだから、上手いんだろうなぁ。
…あそこ、おっきいのかな?
「って、なに考えてんのよ、私」
思わず自分で突っ込みを入れてしまう。
そんな自分がおかしくて、つい笑ってしまうが考えてしまったものは止まらない。
悟浄はどんな風に女の人を抱くんだろう。
やっぱりキスから始まって、悟浄のことだから好きだとかなんとか簡単に言いながら、気が付いたら服が脱がされていてってかんじ?
「………」
あそこが、少しじんじんする。
「やば…」
興奮してきちゃったよ。
そう言えば最近ご無沙汰だった。
抱かれることはもちろんのこと、自分でもしばらくしていない。
かといって、ここで一人でするのも…。
少しだけ戸惑ったけれど、誰もいないもう一つのベッドを見たとたん、我慢ができなくなった。
そろそろと、片手を胸に持っていくと触れてもいないのに乳首が勃っていて、撫でると快楽が身体中を走った。
ただそれだけのコトなのに、あそこがひくついているのがわかる。
ご無沙汰していた身体はすぐに火がついて、もう止まれなかった。
ミニのワンピースをまくり上げて、直に胸を触り、我慢できずにパンティの上からクリトリスを擦ると、足から力が抜けた。
じんわりとしめってきた感触にパンティを脱ぐと、力の抜けきった足をだらしなく開いて直にクリトリスに触れる。
「ふあっ…」
快感に、耐えきれずに声が漏れる。
擦るだけじゃ足りない。
中が、物足りなくて、ひくひくしてる。
快楽を知っている身体を慰めるのに、加減なんてできるわけない。
気付けば胸を弄んでいたの指が、秘所の入り口で遊んでいた。
割れ目を擦るようにしてやれば、物欲しそうにひくついて、指を飲み込もうとする。
快感に、全てを忘れてそこに指を忍び込ませる。
一本入れて、中をかき混ぜるとイイところにかすった。
「あぁっ…」
小さくイって、秘所が指を締め付ける。
最中に指でそこを掻き回してやると、さらに快楽がわき上がってくる。
一本じゃ足りなくてもう一本秘所に入れると、まるで広げているみたいに見える。
動かしにくい指を必死で動かして、もう一方の手でクリトリスを擦ってさらなる高みへと意識を手放そうとしたの目に、人影が写った。
「!?」
「あ、やっと気が付いた?」
悟浄が、しれっとしてに言った。
慌てて指を引き抜くが、自分が胸まであらわにした格好だったことに気付き、は慌ててワンピースを下ろそうとする。
と、既にベッドの脇まできていた悟浄がその手を取った。
「そんな手で洋服触ったらよごれるぜ」
かぁっと、顔が赤くなるのが自分でわかった。
「オレがやってやっるから」
「えっ!?」
まかせとけと、の手を解放すると洋服に手をかける。
混乱しているにニヤリと笑うと、悟浄はの洋服を勢いよく脱がせたのだった。
「ちょっ……! 悟浄!?」
慌てて胸を隠すけれど、全裸では何の意味もない。
涙目で見上げるに悟浄は笑って言った。
「途中だろ? 続きしねぇの?」
「できるわけないでしょ!!」
恥ずかしくてそれどころじゃない。
「へぇ」
わかっているのかいないのかわからない調子で呟くと、悟浄がばっとの手を掴んだ。
「じゃ、手伝ってやるよ」
信じられない台詞。
呆気にとられるの腕を開き胸をあらわにさせると、悟浄はそれに口付けた。
「一人より二人のが絶対気持ちイイって」
「そう言う問題じゃ…」
「天国にイかせてやるぜ?」
ちゅっと音を立てて乳首を吸われると、忘れていた熱が身体中を駆け抜けた。
ベッドに倒れ込んだの手から力が抜けたのに気付いて、悟浄はその手を解放する。
そしての顎を取り深く口付けた。
悟浄の舌が歯列をなぞりながら侵入してくる。
顔を背けてあらがいながら、が弱々しく訴える。
「やだぁ」
「何が?」
「キス、や」
ちゅっと音を立てて口付けられれば快感がかける。
「なんで、ヤなの?」
「だって、好きじゃない」
悟浄は私のことを、私は悟浄のことを、そう言う意味で好きじゃない。
「好きじゃなくてもできるだろ? は身体だけは嫌い?」
嫌いだったら、こんなになる前に怒ってる。
「いいじゃん、今だけ。傷の舐めあいっこでもさ」
おしゃべりは終わりだとばかりに深く重なるキス。
舌が、の舌を絡めるように愛撫していく。
もう抵抗できない。
跳ね上がった息に飲み込み切れなかった唾液がの頬を伝う。
そろりと、悟浄の指がの秘所に触れた。
割れ目をそろそろと撫でられると、そこが物欲しそうにひくつくのがわかって、はきつく目を閉じた。
そんな仕草に悟浄が笑う。
「すげぇ、濡れてる」
「やっ、言わないで…」
「なんで? いいコトだろ?」
くちゅりとわざと音をたてて指に愛液をなじませていく。
首筋にキスが降るのと同時に、指が、一本中に入ってきた。
それだけのことなのに、の内壁はひくひくと締め付ける。
、イイ躯してんな」
首筋に悟浄の熱い息がかかって、が首を竦める。
そんな些細なことにも指を締め付けるに満足そうに笑うと、悟浄は指を乱暴に回した。
「ひゃっ…ぁ」
ぴくんと躯が跳ねて、小さな絶頂を迎える。
「今、軽くイっただろ?」
くすくす笑いながら、悟浄が鎖骨に歯を立てる。
「や……ぁん」
ざらりとなぞるように舐められると背筋をぞくぞくと快楽がはい上がってくる。
ゆるまない締め付けの隙間にねじ込むように指が一本増やされた。
男の人の、骨ばった指。
長くて、太くて、ごつごつしていて、それが中を這いまわる。
「あぅっ…」
再び跳ねた身体に、悟浄が小さく笑った。
「ホント、イイ躯」
ずるりと締め付ける中をワザと擦りながら指を引き抜くと、悟浄は自分のそれをズボンから取り出す。
の足を自分の太股の上に乗せるとニヤリと笑い、を見下ろした。
「欲しい?」
嬉しそうだ。
ぼんやりとした頭でもわかるくらい。
けれど、そうしている間にも熱は高まっていく。
だって、まだおっきくイってない。
それに、中だって物足りない。
指なんかじゃなくて、もっと太いのが欲しいってひくひくしてる。
ちらりと目に入る悟浄のソレ。
普通より少し長いかもしれない。
太さは明らかに普通より太い。
欲しい…。
アレを突っ込んで欲しい。
奥まで入れられて、掻き回されたらどんなに気持ちいいだろう。
入り口をいっぱいまで広げられて、子宮口まで届くくらいまできつく突かれて、イかされたらどんなに気持ちイイだろう。
耐えきれないうずきが身体中を駆け抜けた。
もう、恥も外聞もなくは悟浄に叫んだ。
「入れてっ…」
満足げにニヤリと笑うと悟浄は一気にを貫いた。
「ふあぁぁっ!!」
の嬌声が上がる。
「きつ…」
半分くらい引き抜いては入れるを繰り返してから、悟浄はの足を肩に乗せた。
「いくぜ」
抜けるぎりぎりまで引き抜くと、一気に貫く。
ぐちゅぐちゅという音と共に、悟浄の躯が尻とぶつかる音が響く。
悟浄は少しずつ突く場所を変えて、のいい場所を探す。
「っあああぁぁ!!」
ひときわ大きい嬌声が上がり、中が悟浄自身をきつく締め上げた。
「ココ?」
片目を眇めながら、悟浄が問う。
「や、やぁっ!!」
そこを何度もきつく擦られ、の躯が跳ね上がった。
「やぅっ……っんん」
そこを擦られるあまりの刺激に、悟浄自身をきつく締め上げてしまい、さらにそこを擦られるコトになる。
「もっ、イっちゃ…」
そこに、じんわりとした快楽が溜まる感覚。
ソレを悟浄の先端が強く擦った瞬間。
「っあぁっ………っ!!」
上り詰めると同時に、悟浄をきつく締め上げ跳ねた身体から愛液が勢いよく噴き出した。
「くっ…」
その感触に遅れて、悟浄もの中に欲望を吐き出す。
びくびくと痙攣をする中で、悟浄がどくどくと吐き出しているのが妙にリアルに感じ取れた。

敏感になった躯を刺激しないようにソレを引き出すと、悟浄はハイライトに火を付けた。
深く吸い込んでから吐き出す。
「煙い」
「わり」
慌ててとは逆側に煙草を持っていく悟浄。
吸うのはやめないまでも、基本的に優しい。
全裸の躯をベッドに隠しては気になっていたことを聞いてみた。
「悟浄、遊びにいったんじゃなかったの?」
一瞬きょとんとしてから、ひどく優しげに悟浄はに笑った。
「出ようとしたら八戒に釘刺されてさぁ。こういうことをするなって」
言って、の髪にキスをする。
「対象外だと思ってたんだけどさ。ってとても年上には見えねぇし、どっちかっつーともう少し大人になったらなってくらいだったんだけど」
言っての髪をくしゃりと混ぜる。
成る程、女の子扱いなわけか。
ふてくされるに悟浄が笑って見せた。
「でも、一人でしてるは激色っぽかったぜ」
「……それで明日八戒に怒られるわけだ」
「言わなきゃあいつもいわねぇよ」
しれっとして言う悟浄に、二人のつき合い方を知らされる。
八戒と悟浄は馴れ合わない、いたって大人なつき合い方をしているのだと。
「それに、メチャよかったからな」
不意打ちの台詞に、の頬が赤く染まる。
そんなの髪にキスをすると、悟浄が笑って囁いた。
「またしような」
降ってきたキスは少しだけ苦かった。


END
花吹雪 二次創作 最遊記