アメニモマケズ、カゼニモマケズ
極限の修行体験集

エピソード4.雪のシークレットブーツ

 それはある年の2月、隠岐の西ノ島へ釣行した時のこと。浦郷に宿をとり、午前6時に起床。テレビを見ながら準備をしていると関東地方が大雪に見舞われているというニュースが目に飛び込んできた。まさかと思い窓を開けると、隠岐には珍しくあたり一面は銀世界。昨夜の雨が雪に変わったのだ。それでも行くしかないだろうということで、荷物をキャリーに積み由良湾を目指す。しかし、キャリーがいつになく重い。雪で車輪が回らず、まるで雪かきをしながらキャリーを引きずって歩いているような状態。それでも必死の思いで目指すポイントに到着。さっそく投入を開始する。すべての竿を投入し終えて、一息入れるが、何かがいつもと違う。うん、何だろう。しばらく考えて答えはすぐにわかった。自分の背が伸びて、景色をいつもより高いところから見ている感じ。まさかと思って足元を見ると、靴底に10pぐらい雪がこびりつき、シークレットブーツのようになっているではないか。フエルト底の靴を履いていたため、踏みしめた雪が凍りつき張り付いていくうちにこうなったらしい。いったん靴底の雪を落としても、しばらくウロウロするともと通りに雪の即席シークレットブーツが出来上がってしまう。その後、必死で釣り座付近の雪かきをしたのは言うまでも無い。