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23.Jan.02 15:00
 昔と言っても25から30年位前、実際はもっと前かも知れません、それなりにヒットした映画で邦題「想い出の夏」というのがありました。私は、20年位前に観たと思います。その映画のミュージカル版“Summer of '42”です。映画のオリジナルタイトルも同じだったような気がする。

 ストーリーは、それなりの歳の方ならもうご存じですね。甘酸っぱくも苦みも残した想い出の青春時代。青春グラフティ、にして戦争反対。だと思うんだけどどうも後者の印象は薄い。
 中学生がSEXに興味津々だけどどうしていいか分からず、教科書(勿論学校のものではない)を色々入手してはアレコレ想像して頭でっかちになり、実際女の子を前にするとどうしていいか分からないので、只困って笑っていたりする。主人公は近所に住む憧れの女性と話が出来るようになり、徴兵の為に夫のいなくなった彼女の家に力仕事を手伝いに行くようになる。何もないんだけど嬉しくてしょうがない。ある日行くとテーブルの上に電報が置いてあって、彼女は酒を飲んで悲しみに暮れている。新婚1年にして未亡人となった彼女をどう慰めて良いか分からない彼と、悲しみに沈む彼女はその日・・・・で次の日彼女の家に行くと彼女はいなくなっていた。そんな話です。戦争反対だと思うんだけどなあ。PLAYBILLにはわざわざ
 “In Memory of Sgt.Oscar'Oscy'Selter, U.S.Army
Posthumously awarded the Silver Star for gallanty in action, Korea, April 13,1952”
 と書いてあるし、戦争反対だと思うんだけどなあ。

 映画とミュージカルですから勿論テイストはかなり違う。映画の方がかなり淡々としていた、と思う。20年前の印象なのであやふやだけど。ミュージカル版は途中に賑やかしの唄と踊りが入ってそれなりに派手です。
 OffBroadwayの小さな劇場で金銭的にもスペース的にも色々とやれる事に限界はあると思うが、仲々出来ていたと思う。演技的にも音響的にも多少の問題はあるがまあそれなりにお薦め出来る作品です。佳作と言った所ですか。私は50%offで入りましたので少しお得感があります。ジーンともさせてくれるし、でも最後は泣かなきゃと思って待っていた私はそれほどは泣けなかった。でも悪くない作品です。良かったら見て下さい。いつまでやってるか分からないけど。

 音響的にはそれほど問題はないと思ったけど、主役グループの3人の男の子が全員声が鼻つまみというのは、彼らの声量不足のせいだろうか?だとしたら音響家の責任ではない。あとムービングのか何かのファンの音だと思うんだけど静かになるとノイズが凄い、ずっと「ブーン」と云っている。こういう音をこちらでは“Airplain Noise”という。実はこれは今回に限った事ではなく、最近の舞台で当たり前になってしまった。照明機器を作る会社はもっと考えるべき事である。照明家も音響家ももっと文句を言うべきである。劇場に静けさを取り戻したい。今回は静かなシーンが本当に静かだったので目立っただけの事だと思う。“AIDA”なんてそれなりに音があるシーンでも少し気になった。殆どのシーンがそんな音を気に出来ない程の音の大きさだっただけだ。
 ここでもMixerはK-3であった。いんぷっとがすくなく、音響スペースが小さめにしか確保できないところでは流行かも知れない、卓に奥行きがなくて設置しやすいし。

 客層はお年寄りが殆どで、自分たちの青春時代とダブらせていたかも知れない。時代も同じ位みたいだったし。それにしても老人クラブのようだなと思って表に出たら、お迎えのバスが来ていた。団体さんだったのである。マチネ以外の客層は違うかも知れない。同じかも知れない。そんな事はどっちでもいいことだけど。
 “Summer of '42”は佳作です。
Theater Report #38