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Theater Report #33
        

16.Jan.02 20:00
 “AIDA”である。おいそれとは買えないと云うデマが飛んでいた程ヒットしていると噂の“AIDA”である。今日見た限りでは席さえ選ばなければ、平日なら当日でも多分買えます。空席が上下両端には結構有った。

 何しろトニー賞12部門獲得のWINNERである。音楽がエルトンジョンである。詰まらないはずがない、と思って観に行った。「B&B」で大コケにコケたDisneyの名誉挽回である(私の中の)。でも良い席は高いので$55の3階バルコニーである。但し先週の月曜日に買っておいたので最前列の真ん中である。悪くない筈である。井戸の中を覗くような席であるのでその位のことは許そう、自分で選んだんである。

 話は「輪廻転生、愛を貫けば何時かメトロポリタン美術館で叶う」といった内容であった。オペラとは多分一寸違うと思う。何だかんだDisneyはハッピーエンドでなければ終われないのだと思う。私の両隣のカップルは、「ああ良かったわ、ダーリン」「幸せだね、ハニー」と云った感じであった。まあ良いのである、幸せに越したことはないのだ。不幸な運命の王女もこれで報われたのである。合掌。

 照明はやりたい放題であった。流石トニー賞・ベストライティングである。ムービング使いたい放題、データ打ち込みでムービングオペレーターが、本番1週間で照明オペレーターが腱鞘炎になったであろうと思われる程かしゃかしゃライトチェンジするのである。しかもそれが独り善がりでなく上手くいっているのである、鼻にはつくけど。
 道具も凄い。特にプールのシーンは面白かった。他にも色々道具も盛り沢山であった。衣装も仲々で、そのシーンは只の場繋ぎで要らないだろうと思うようなファッションショーもあった。なんだかね。

 さて音響である。席の都合でしょうがないと思うけど、声が正面(3階席のですよ)、オケが少し下の方から聞こえてくるのは何とかならんかなあ。もう少し声を下から聞かせてくれれば問題ないんだけどなあ。「KISS ME KATE」ほどの違和感はなかったけど。
 全体に音響は少し大きめに出していたように思う。エルトン・ジョンの要求なんだろうか?でも「B&B」も大きかったし、Disneyの好みかも知れない。曲によっては低音が異様に出てました。狙ってるんだと思うけど下品です。私の右隣の男は下品な低音が出るたびに「グレート」と呟いていた。劣悪な環境で音楽を聴いていることと思われます。取りあえずこれも許してしまおう。今日も私は心が広い。
 然しである。
 お釈迦様もきっとお許しにならないと思う。私は最初何だろう、変なメイクだな位にしか思わなかったんだが、すぐに気付いて主だった役の額を見て思わず呟いた
 「Oh My Buddha!!!」
 みんな額の真ん中に提灯アンコウのようにマイク本体がぶら下がっているのである。正確には張り付いて要るんだろうが、横を向くと3階席からでも提灯アンコウなのがよく判った。ケーブルもトランスミッターも実によく隠しているのに、何で提灯アンコウ!SOUND・DESIGNERかCOSTUME・DESIGNERの洒落なんだろうか?マイクを無理に隠してきたBROADWAYへのアンチテーゼなのか?謎である。全く謎である。

 どうもDisneyは最後で詰めが甘いのである。今日はまあ面白かったし、楽しませて貰ったんだけど、ずっと気になってしょうがなかった。これさえ気にしなければ結構楽しめます、ハッピーエンドだし。
 でも何故、提灯アンコウなんだろう。