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Theatre Report #31
     
 左は「NOISE OFF」のPLAYBILLで右は劇中劇「NOTHING ON」のPLAYBILL。ご丁寧である。

15.Jan.02
 “NOISES OFF”
 ドタバタコメディです。滅茶滅茶ドタバタです。実にテンポが良くて飽きることがありません。笑いっぱなしです。ミュージカルではなくて、ひたすら良く出来たドタバタのお芝居です。
 火曜日だというのに良く入ってました。金土日は、ディスカウントチケット屋のtktsに出ていないのがよく判ります。

 お話は、“NOTHING ON”というコメディの舞台稽古から始まります。役者に駄目を出す演出家は、客席でハンドマイクを持ってアレコレ駄目を出したり、注文を付けたり、なだめたり、すかしたりよく見かける風景です。始まりは未だ淡々と進んでゆきますが、少しずつテンポアップして途中から結構ハイスピードでギャグが私たちを襲ってきます。一幕はこの劇中劇の舞台稽古の幕が下りるところまでです。何処の国でも演出家は女優やスタッフの女の子に手を出したりするんだな、というのがよく判ります。これが原因で稽古場の雰囲気が険悪になることも間々あります。このお芝居でもちゃんと険悪になります。正しい、読みやすい展開です。

 二幕は、一月後の別の劇場での舞台裏です。本当にセットを裏返した舞台裏で、険悪に拍車が掛かってドンドン大変なことになって行きます。セットの窓の処を通る時は腰を屈めながら裏で喧嘩してます。舞台に出ていった役者は私たちからは一部しか見えないけれどちゃんと演技してます。ちゃんとやっているのは舞台裏を覗いた時と表に出た時の台詞に切れ目が全くないのでよく判ります。表での台詞は、舞台裏にモニターといった雰囲気で拡声されています。
 三幕は私たちとしては二幕に続いてみています。約二ヶ月後の又別の劇場での幕開けから始まります。ここでもひたすら、止めどなく、777と揃ったパチンコ台のようにギャグが出続けます。兎に角2時間笑いっぱなしです。でもお客さんはみんな、細かいギャグを見落とさないように、聞き落とさないように一所懸命に見ていますので、壊れたオバ様のようなことはありません。

 開演前に日本でもアメリカでも開演前の諸注意・携帯電話の電源を切ってくれとか、アラームは消せとかアナウンスされますが、今日は実にタイミング良くこのアナウンスが終わった瞬間に誰かの携帯が鳴って大笑いを取っていたが、もしかしてこれも仕込まれたモノではないか、と今では思っております。そうでなけりゃタイミング良すぎます。
 そしてご丁寧に劇中劇“NOTHING ON”のパンフレットまで豪華8ページ、稽古中の写真入りでPLAYBILLと共に配布されます。細かいところまで凝ってます。

 さて音ですが、効果音は感覚的にはこんな感じだろうな、アメリカ人はといった音です。つまりアメリカンコメディのままです。正統派です。
 声は私の席では殆ど生でした。スピーカーから出ているようには全く思えませんでしたが、マイクの真ん前に段ボール箱を置いた時マイクが生きているのが判りました。どちらかというと上の方からリヴァーブ成分らしきモノが聞こえてきたので、マイクは2階席用だと思います。使っていたマイクは(多分)AMCRONのGLM-200です。これのヘッドを舞台に垂直に立てて両サイドに釘みたいなものを打って踏まれないようにプロテクトしていました。アイスキャンデーのスティックを削って黒く塗って舞台に突き刺して、横に釘を打ったような見た目です。遠目に見ても一寸なんだろうと思うような感じです。ですからわざわざ観に行ったんですけど。

 兎に角面白いです。ドタバタですので英語が判らなくても8割方は笑えます。New Yorkにお越しの際にお時間がありましたら是非御覧下さい。「B&B」や「F・M」で時間とお金を無駄にするより何倍も価値のある時間があなたのモノになります。