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Theater Report #29
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13.Jan 19:30
 哀れ秋風よ、心あらば伝えてよ、ここに静かに観劇せんとする男有り・・・・・

 “I Love You , You're Perfect , Now Change”
 長いタイトルである。ボックス・オフィスでチケットを買う時もブースの中の女性にいきなりタイトルから言い出すと何者かと思われる様なタイトルである。しかも私の様にサラリと言えなくて、寒さも手伝って顔が強張っていると変なリアリティが出て勘違いされかねないのである。実際にはそんな事は全くなかった、少し残念かというとそんな事はないのである。

 お話は手元の資料によれば「2組のカップルを通して、出会いからデート、結婚、子育て・・・・と、男女の日常をコミカルに描く。誰もが思い当たる節があるシーンのオンパレードに、結局何時の時代も男と女なんて同じものなのかも知れない・・・・とつい失笑させられる。」とあるが、ホンの一寸違う。2組のカップルではない。男女2名ずつだが固定したカップルという訳ではない。各シーンは確かに出会い、デート、結婚・・・・といった風に進行していくが特定のストーリーがある訳でなく、どちらかというと「男と女」をテーマにしたコント集といった趣の方が強い。
 それぞれのシーンは割とよく出来ていて、クスクスから大笑いまで笑いの絶えない舞台で流れもまあまあスムーズなんだがもう少しテンポがあった方がいいと思う。一寸冗漫に感じるところもあった。でも結構面白かった。
 この作品の演出(Joel Bishoff)は、東宝ミュージカル(だったと思う)「アニー」の演出を最近やっている人であるとのことだ。先日バッタリ17年振り位であった大学時代の友人が「アニー」の振り付け助手をやっているそうで、その様に言っていた(然し17年振りの再会がNew Yorkとは驚いた。知り合いなどいないと思って、悪い事なんかしていると見つかったりするのである。恐ろしいことだ。仏様の手からは出られないのである)。
 
 音響的には、小さな小屋の為殆ど生と言っても良いレベルで、唄やリヴァーブの必要なところだけ拡声していた様に感じた。拍手や大笑いの後などの台詞も拡声していたが、台詞が聞こえる頃には会場は収まっていたのが殆どなのでそんな時だけ声が上に行ってしまって不自然であった。芝居だけの処はほぼ生声だけだったと思う。なので自然なんだけど所々で声がプロセに上って行ってしまった処が悔やまれる。伴奏はピアノとヴァイオリンのみ。ピアノは生、またはリヴァーブ成分だけ出していたかも知れない。バイオリンも生の様に聞こえたが、これはもう少し音量が欲しかった。時々ピアノにマスクされてしまって聞こえなかった。ヴァイオリニストの背中にケーブルの様なものがチラチラしていたので左耳の辺りにピンマイクを付けているんだと思う。もう少し出すべきだろう。

 本日一番問題であったものは、私のすぐ後ろに座ったオバ様達であった。始まる前から甲高く笑い転げていたが、始まったら何でもない処でも大笑いしっぱなしで一寸参った。きっと箸が転がっても笑うんだろうな。そんな歳から箍が外れて笑いっぱなしなんだろうか。一寸可哀想なのだが、迷惑である事は変わらないのである。休憩時間もずっと笑っていた。謎のオバ様達なのであった。一つ何とか善処して頂きたい。

 明日から又寒くなるらしい、暖かいままでいて欲しい。
 明日はオバ様の居ない者を観に行きたいものである。
 共に叶わぬ夢である。劇場にはお友達と連れだったオバ様達が出入りするのは日本もアメリカも同じなのである。とても大事なお客様なのである。ショービジネスにとっては不可欠なのである。

 でも矢っ張り
 哀れ秋風よ、心あらば伝えてよ・・・・