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Theater Report #24
          

10.Jan.02
 “THE FULL MONTY”
 映画ではイギリスの炭坑夫が失業して・・・、という話だったと思っていたので、New Yorkに舞台を移したらきっとビージーズが主題歌「ニューヨーク炭坑の悲劇」を歌っているに違いない、と思ったがそんな事はなかった。当たり前である。話の舞台は更に移されて、製鉄工になっていた。

 これも面白い様な、面白くない様な、で有った。話自体は割と面白いし、ギャグも面白い、だけど見ていて何となく苛々する。冗漫なんだと思う。いくらでもとは言わないが、削ぎ落とせる処は結構あると思うんだけどなあ。もっとスピーディに進められないのかなあ。PRODUCERSにはそういうところは全くなかった。どうでもいい様な細かいギャグは一杯入っているけど、芝居の進行のスパイスになる事はあっても邪魔をする事はない。モッタリしないのである。処がフルモンティはずっとモッタリと進んでいく、役者の動きまで糸を引いた納豆の様にネバネバと見えてくる。野暮ったい話ではあるんだが、舞台まで野暮ったくてどうする。

 さて最終的に彼ら製鉄工は糊口を凌ぐ為にストリッパーになる訳ですが、どのくらい脱ぐんだろうかと思っていたら、最後に本当に素っ裸になった。一瞬だけど、ほんの少しの間だけどブラブラと見えます。ここで観客は最高潮に達します、特におばさま。アメリカのおばさまは男性ストリップがよほどお好きでいらっしゃるらしい。芝居の中でも夫が失業中とはよく解ってない妻達は男性ストリップに夢中であった。この設定自体、無理がないか。いくら知らされていないとは言え、六ヶ月も前から旦那が失業していたら何となく解るだろう。失業を知った時にあれだけ「愛している。大丈夫。」と言い切るんだったら、普通もっと早く気付くだろうし、男性ストリップに入れ込んでる事はなかろう。
 と突っ込みたくなる程冗漫なんです。もっとテンポ良く進行していればそんな事気にしなくて済む筈だ。

 この作品は、あこがれのMusical俳優の裸を見たい人の為の際物だと思う。男性ストリップ専門のクラブ等に入れない方でどうしても見てみたい方はどうぞ御覧下さい。但しホントに一瞬ですよ。より長く見たい方は、(私は未だ見ていませんので断言は出来ませんが)off Broadwayの“NAKED BOYS SINGUNG!”を御覧下さい。チラシの写真ではこちらは明るい中で全裸の男8人が踊ってます。写真には検閲に引っ掛かる様なモノは写ってませんが、18歳未満入場禁止ですので、期待できます。新聞評でも“Full Monty”gangとか“Talk about a show with balls!”と有りますので大丈夫だと思います(何がだ)。

 さて音なんですが、際物ミュージカルとは思えない良さでした。上手の一番端の席で、こちらを向いているのは補助のd&bだけという寂しい中、ちゃんと舞台の上から聞こえるんですよ、声が。上手のスピーカーに音がベッタリくっついてしまうだろうなと思っていたんですが、これが何とちゃんと舞台の上から聞こえてきた。大したもんだなや。センタークラスター(dvDOSCだと思う)の音を聞いてるんだろうな実際は。ディレイとレベル配分の問題なんだろうな、上手い!因みにセンタークラスターは1階席用と2階席用、別々のトラスに吊られていた。ラインアレイのスピーカーを見たのはNew Yorkに来てはじめての様な気がする。なおバルコニー下等の補助スピーカーは凡てd&bでした。サイドにあった1階席用は不明です。マイクで見えたモノはPcc4枚。
 男性ストリッパーのトランスミッターはTバックの交差点の処にあった。最後に全裸になる時はマイクケーブルも背中に貼っていなかったので、帽子の中だと思う。マイクも帽子に付けてあると思う。最後に唄が終わって、全裸になって前を隠すのに帽子を使っていたので他にあるまい。

 Musical俳優の裸が見たい方はお越し下さい。舞台的にはそのくらいしか見所はありません。