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Theater Report #20
           

07.Jan.02
 青春の光と影、希望と挫折、平和賛成戦争&権力反対。
 「RENT」です。『ラ・ボエーム』を題材にしたロックオペラ。現代が抱える人間関係、エイズ、ドラッグ等の深刻な問題を扱っている、らしい事は見ていれば解ります。只英語がよく解らないと深くは解りません。60年代〜70年代にかけての反戦運動、平和願望を代弁したミュージカル『ヘアー』の現代版、との事だが『ヘアー』を観ていないので何とも言えない。音楽は70年代アメリカンロックの流れの中にある様に思う。
 何はともあれこの作品は、とても面白いので見た事のない人は皆さん観ましょう。流石に96年度のトニー賞最優秀ミュージカル賞など4部門を受賞しただけの事はあります。

 音に関して非常に判断のしにくい席(上手のスピーカーの前)でしたので、何とも言い切れませんが、悪条件の座席で観ていてそれほどの違和感はなかった。勿論本当にスピーカーの前なのでそのスピーカーに殆ど定位してしまっているのだが、前後というか演技者との距離感が自然なので、違和感がない。この距離感はとても大事だと思う。非常にデリケートな部分を諦めず、きめ細やかなチューニングの賜であろう。サウンド・デザイナー、クルーの努力の賜である。立派!偉いのである。CABARETやレミゼも左右の定位は一点に固定されてしまっているが、距離感が自然なので、観ていて違和感がない。逆にBEAUTY&THE BEASTなんかは左右の定位は勿論、この距離感が実に不自然なので口と音がズレて見えるのだと思う。
 マイクに限らず、スピーカーも照明機材も綱場も果ては楽器ケースもモニターオペレーターも隠したりする事なく堂々と舞台上に見えている。ここまで見えていると返って気持ち良い、清いのである。然し演奏者が楽器をケースから出して、セットの隙間にケースを置いてそのまま演奏をしていたのも、モニターオペレータがジュースを飲んでいるのも見えたのは初めての事である。
 役者のマイクは黒のヘッドセットタイプ、トランスミッターも衣装に合った袋に入れたり、ポケットに入れたりで特に隠してはいなかった。あれだけ見えていてそこだけ隠すと寧ろ不自然かも知れない。わざわざ見せていると言う事でも勿論ありません。日本で極偶にミュージカルらしきものを観ていて気になるのは、あのマイクは隠しているつもりなのか、見えて構わないと思っているのか何とも判断の付かない中途半端な状態のマイクです。見苦しいので止めて頂きたい。
 マイクがヘッドセットで口にとても近いので声のノビ、抜けが良い。又役者が向かい合った時や壁など音を反射するものに無かあった時の音の変化もとても少ない。そういう演出なんだしマイクが丸見えで演技する事に納得してしまえばこの方がよい。実際、結構入れ込ん観ているシーンで役者が向かい合った瞬間に音質が極端に変わって気が削がれる事は良くある。仕様のない事だとはよく解っているのだが「ああー」と思ってしまう。どちらを取るかは演出次第である。
 何でもかんでも見えているのにモニタースピーカーは少ししか見えなかった。あれだけでやってるんだろうか?隙間なく吊り込まれた照明機材に隠れているだけなんだろうか?今度聞いてみよう。