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Theater Reports #77
31.Aug.02 14:00
 “HARLEM SONG”
 昨年から観たステージ数が遂に80になった。このある意味で記念すべきステージを大変素晴らしい舞台で飾られた事は一寸嬉しい。ま、いつでも素晴らしい舞台を観られればその方が嬉しいに決まっているんだけどね。詰んない舞台を観るのはいつでも大体不幸だし、と言ってそれがお勉強になる事は勿論有る。

 さて本題、この“HARLEM SONG”はHarlemの歴史を音楽を通じて描いている。観ていて楽しい、大変楽しく浮き浮きしてくるシーンの連続である。然し勿論何にしろHarlemの歴史である、普通のご家庭の歴史だって喜怒哀楽感慨無量に溢れている位だから楽しいだけでは終わらない。そこには深い悲しみや苦しみそれらに対する戦いなども勿論織り込まれている。苦しみ、悲しみ、怒りそして喜びを綴れ織りに折り込んだ楽しい音楽のタペストリーのような舞台である。
 然しまあ、英語の判らない人や黒人の歴史に全く知識のない方でも黒人音楽さえ嫌いでなければ十分楽しめると思う。勿論知識は無いよりあった方がより深いく感動のは当然であるが、基本的には花も嵐も踏み越えて来たHarlemの喜びも哀しみも幾年月を唄って踊って楽しんじゃうぞ、と言った構成の舞台である。で有るので本当に楽しい!1曲終わる毎に物凄い拍手と歓声である。最後は勿論観客総立ちのStandingOvationである。“OKLAHOMA”の時の様にStandingOvationの様に立ち上がって置いて帰り支度をしている人など1人も居ない。本当の称賛のStandingOvationである。

 音響的には何の問題もなかった。歌、台詞、オーケストラ凡てに渡って実に適正のレベルでとても良いバランスで観客に提供されていた。これでなければいない。これでこそ余計な処に気を遣わずに舞台に集中出来るというものである、ま、そんな所に気を遣うのは私位なものだと思うが。
 ApolloTheaterの入口辺りの結構目立つ所に「Panasonic」と書いてあったが、スピーカーはEAWが殆どであったし、MixerはYAMAHAのPM1Dであった。Panasonicはどの辺りをsponsorしているのだろうか?
 PM1Dと云えばフェーダーの上げ遅れである。いつぞやのCarnegieHallに置いては頻繁に上げ遅れていたが今回も一ヶ所だけ上げ遅れていた。結構長くやっている舞台なのにそういう事はあるんだなあ。この作品は、「土14,17&20時、日15&19時、月12&19時」の週に7公演しか上演されない。私が観たのはその週の初日に当たるので一寸Operatorがボーとしていたかもしてない。気を付けて頂きたいのである。でもそれを差し引いても素晴らしい舞台だったので心広大な私は許してやるのである。

 この作品で技術的に素晴らしいと思ったのは映像の使い方であった。実に巧く使っているし、結構難しい事と思われる事を極自然に舞台の中に嵌め込んでいる。slideするScreenにズレる事なく動画がslideしていくし、Sweep OutしていくScreenと共にOutしていったりする。これが舞台を観ていて気になる事はなく実に巧く構成されている。映画やテレビで慣れっこになっている映像の切り替えが生の舞台で此処まで気になることなく再現されるとは驚くばかりである。Projectorは5〜6台位使っていた様に思う。

 とても素晴らしい作品です。是非一度御覧下さい。
 Apollo Theaterには行ってみたいけど、どんなArtistの時に行って良いか判らない方などにはとてもお勧めです。
→緞帳に投射されたタイトル
入口で配られていて幾つ持って行っても良いという団扇(ヨ!太っ腹)→