Theater Report #74
29.Aug.02
 “OKLAHOMA!”正しい外題を「馬鹿娘馬鹿若衆恋鞘当淫限後哀残菊」と言い大変長いのだ。本当に馬鹿しか出てこない!

 (観客又はアメリカ人に対して)悪意に満ちた舞台である。私は観た後あまりの腹立たしさにロブスター(3尾$18)を相手にバリバリ皮を剥いて殺戮の限りを尽くしてしまった。そして妻からは今後Musicalを観る時にタイトルを選ぶ権利を剥奪されてしまった(哀号哀号)!怒れる妻の怒髪は将に天を突いていた。

 話は馬鹿娘や馬鹿な若者があっちにちょっかい出し、こっちにちょっかいだし、そんなこんなで結婚相手を捜し、痴話喧嘩が起きた結果モテない純情者が死んでしまってハッピーエンドという、恐ろしくも又馬鹿らしい内容で有る。1幕の話の判らな無さ加減は天下一品で、今まで観た中で最も不可解!この辺に大いなる悪意を感じる。このアメリカにおける古典的ミュージカルの不朽の名作(多分)をイギリス人が悪意を持ってシニカルに「アメリカの田舎モンはこんなもんだべ」と描いた作品!過去には宝塚少女歌劇団でも上演された様だが、学芸会の様な宝塚の方が悪意が無いだけマシではないかと思う。
 こんな舞台が何ヶ月も上演されているのは不可思議。最後はスタンディング・オベーションになっていたが、立った瞬間殆どの人は上着を着だして拍手しながら帰る準備をしていた。ついうっかり立ってしまう奴に引き連られるが如き成り行きであった。然しあんなモンでスタンディング・オベーションするかあ、全く!そんな奴は中身をちゃんと観てないのである、それはそれでこの場合幸せかも知れないけど。腹立たしく思わないだろうからね。この作品に観る価値はない!と思う。

 然しこの古典的不朽の名作(多分)をイギリスで仕立てたのは何故だろう?オクラホマというアメリカの田舎を舞台にしたものを何故、イギリスで仕立てたのだろう?矢っ張り、悪意先に有りき何だろうか?謎は謎を呼ぶのである。嗚呼それにしても詰らん!

 音は比較的悪くはない。声と役者との距離感は良い。音量も五月蠅かったのは始まった瞬間だけで後は問題はない。然しオーケストラがホリ裏にいる為全く生音が聞こえてこないので録音したものを聞いている様であり、オケと声とのバランスもオケの位置からして仕様のないことだと思うが一寸変、時々演歌を聴いている様な気になるバランスの時もあった。それにオケ自体のバランスが怪しい所も多々有った。サウンド・デザイナーはそれなりに努力していると思うが、結果は何となく変。

 スタッフは皆それなりに努力していたと思う。何とかしなければ、と思っていたと思う。然し演出が悪意に任せて突っ走ってしまった様だ。
 もしかしてアメリカの独裁的世界観に対するアンチテーゼか?