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Theater Report #68
         

21.Feb.02.
 “JUILLIARD DANCE ENSEMBLE”正式名称はこの後に「50th Anniversary Celebration Spring 2002 Performances」と付きます。
 簡単に言えばThe Juilliard Schoolの学生の発表会です。今回はJuilliardで教鞭を執っているStephen Pier氏にTicketをプレゼントして頂いたので無料で観せて頂きました。心から感謝いたします。Stephen Pier氏は2月4・5日に観たBUGLISI/FPREMAN (#55&#56)に出演していて、彼自身も勿論とても素晴らしいダンサーです。

 さてDanceについてですが、学生の発表会だからと云って馬鹿にしてはいけません。もの凄く面白かった。Ticketをプレゼントして頂いたので義理で褒めている訳ではありません。本当に素晴らしかった。$15は安い。$15でこれだけ楽しめる舞台は滅多にあるものではない。$30払っても「勿体ない」とは全く思いません。
 振付はアメリカや世界の有名処で活躍してきた素晴らしい人たちで、教授陣も同様な経歴の持ち主ばかりで大変優秀な方達ばかりです。そして学生自身も将来世界を舞台に活躍するであろう若者ばかりで大変素晴らしいダンサーばかりが出ていた。

 作品は下記の3作品。

 “BASE LINE”(World Premiere)
 Juilliardの学生によるJuilliard Jazz Ensembleの伴奏による7つのシーンからなる作品で、今回の為に作曲された作品。狩猟的なシーンなどを織り交ぜたシャープでダイナミックなダンス。Dancerの身体の切れが大変良く、又揃うべき所に乱れがなく観ていて大変エキサイティングであった。

 “THUS IS ALL”(New York Premiere)
 Juilliardの学生によるJuilliard Theater Orchestraと歌い手6名によるMozartの曲を伴奏に踊る作品で5シーンから出来ている。それぞれのTitleは「DOVES」「TAKE MY HAND」「PARDON MY AFFECTION」「LOVE RESTORETH」「BREEZES」でMozartの美しいメロディに乗せて澱みのない大変美しく丁寧なダンスが舞台上に繰り広げられていた。舞台後方にはMozartの時代のセットが用意され、それに合わせた衣装を着た歌い手が唄い、その前で白い衣装に身を包んだダンサー達が踊るという、見た目にも大変美しいStageであった。

 “MINUS 7”(New York Premiere)
 これは生ではなくCDか何かによる伴奏の作品。前の作品が終わった休憩時間、BGMにしても少々小さいかなと思うような音楽が流れる中に女性が黒のスーツで現れて不思議な身体の動きのDanceを始めた。最初は休憩時間が長い(実際NYの休憩時間は長い)ので余興かなと思っていたがそれにしては長い、何時始まるんだろうかと思っていたらそのまま幕が開いて、1人2人と舞台に出てきては同じ様な不思議な振りのDanceを始める、これが30名位になると何とも観ていて可笑しく客席からは大きな笑いが起きていた。
 その後は半円形に並べた椅子に座った20名位が同じ振りを繰り返しながら身につけている物を一つずつ取って行くが、一番上手のDancerは1人だけ振りも違い衣装もそのままで1人だけが取り残されていくDanceで緊張感もあり面白かった。客席から観客を連れてきて一緒に踊らせたりで盛り沢山の作品であった。

 Jazz Ensemble も Orchestra も大変レベルの高い演奏で楽しませてくれるし、特にOrchestraはNew York City Balletの時よりもミストーンが少なかった、と云うよりこの日はミストーンが全くなかった。大変美しい演奏であった。
 欲を言えばきりがないが、Danceも演奏も丁寧に過ぎる嫌いがないではない。随分欲張りではあるが、欲を言えばそこがほんの少しだけ惜しい所だ。

 兎に角面白かった。もしNYに来て、御覧になる機会があったら是非御覧下さい。とてもお得な舞台です。