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20.Feb.02
 “ELAINE STRITCH at Liberty”
 先日(2/3;Report#52)のBea Arthurと同様にとても長いキャリアを持つ女優Elaine Stritchの独り舞台。
 #52と同様に自らの人生を面白可笑しく少ししんみりと語りながら唄いまくると云った構成で、Elaineの方がBeaよりもチャキチャキで下町っ子と云った感じです。ちなみに彼女はデトロイト出身。

 話は彼女が子供の頃両親の前で唄ったり踊ったりしていた辺りから始まり、父親の反対を乗り越えてニューヨークに出てきて演劇の勉強を始め、そこで知り合ったマーロン・ブランドとのデートの話とか、貰った役が只のダンサーで唄がないと母親に言ったら、「唄がなきゃ駄目だろう!」と言われProducerに唄をくれるように頼み込んだり、と色々あって今に至る、と言う話です。
 これが然し、面白い!私の席はとても後ろの方で表情がよく判らなかったのでもう一つだったのだが、あれで表情まで判ったら滅茶苦茶面白かっただろうと思う。黙ってたってりゃ上品なおばあちゃんにしか見えないのに「くそったれ(Shit)!」なんて台詞もアクションが大きくて本当に笑わせてくれる。勿論間も抜群で大した芸達者なのである。台詞から唄、唄から台詞の流れも実に自然で、本当に良い芸を見せて頂いたのであった。
 この舞台は去年の11月7日に267席の小さな劇場で始まり、評判が評判を呼んでこの大劇場まで上り詰めてきたと言う事だが、これは小さな劇場の方が楽しめるであろうと思う。だって近くで見たいもん。近くで自分語りかけるようにやられたら、そりゃ面白かろう。こんな大劇場の後ろの方で小さな彼女を見ていても面白いだから近くならば況わんやおやなのである。

 さて音は抜群に良かった。最初から彼女の掴みに嵌って舞台に引きずり込まれた事もあったが、音が実に自然でオペラグラスがなければよく見えないような遠い所で見ている私が途中で音の自然さに気付く程、唄も台詞も彼女の居る所から自然に聞こえてくるのである。これは実に立派である。ここまで自然に聞こえるようにする為にサウンド・デザイナーは努力していると思う。拍手!
 然し一番立派なのは彼女の喉ではないか、と思う。矢張り元の音が聞こえなくては、ああは自然にはならない。ややかすれた声であるにもかかわらず実によく通るというか、飛んでくる声なのである。あんな遠い席で観ている私に確実に彼女の生声は届いていたのである。役者の皆さん、声はちゃんと作って置いて下さいね。

 良い芸を見せて頂いて、観客は勿論全員Standing・Ovationで大喝采なのであった。まあ尤も始まる前から殆どの観客はそのつもりで観に来てると思う。Elaine Strirchはその位人気者で芸達者なのであった。
Theater Report #67