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Theater Report #63
14.Feb.02 23:30
 マチネもないのに今日は2本です。しかも何だこの色はと云う感じですが、St.Valentine's Dayで会場で見たケーキの色合いにしてみました。

 The Village Vanguard“CLARK TERRY Quintet”に行ってきました。前のが19:00からの人形劇なので21:30でも大丈夫だろう行けるだろう、と思いつつも電話予約する前に上演時間を調べたら2時間30分!良かったあ、予約する前で。危なかった。そこで23:30からのStageに予約を入れて行ってきました。

 行って良かったあー、もの凄く幸せ。
 23時を少し過ぎて開場になり、中に入るとすでに結構な人がいて(多分前の回から続いて予約している人たち)、場内は何となく幸せに満ちていた。聞き終わって出てきた人たちも嬉しそうだったし、と思っていると「1人ならあそこの席に行け」と言われた処はStageの真ん前のど真ん中!同席したのはとても上品でご機嫌の良い小母ちゃまでここにいる間ずっともの凄く嬉しそうな顔をしていた。
 チョイとStageの上手を見ると御大Clark・Terryがスパゲティを食べているではないか。彼は結構な歳の筈なので楽屋に戻るのが面倒なんだろう。その隣にケーキが2つ程置いてある。まさか今日は彼の誕生日か?と思ったが違っていた。St.Valentine's Dayなのであった。どうも敬虔なBuddistである私は、切支丹の祭に疎くて。そのValentineDayのケーキを私の隣の小母ちゃまに出演者らしき人が内緒で持って来てくれたので小母ちゃまは嬉しそうな顔を益々嬉しそうにしていた。

 さて時間が来てメンバーがStageに上がってくる時、矢張り御大は足が悪いらしくSaxの若者に介添えして貰ってやっと定位置、私の真ん前に座った。私と彼のフリューゲルホーンのベルとは2mと離れていない。将に生音が私の耳に飛び込んでくるのである。然し足も覚束無い歳で良くフリューゲルホーンをあんなに吹けるよなあ。あの元気な日野テルマサでさえ18年位前に六本木PIT INNで聞いた時「コルネットは疲れる」と言っていた。それがフリューゲルホーンである。ご存じない方のために少し説明致します。トランペット、コルネット、フリューゲルホーンは、同種の楽器でトランペットが一番管が細くて音が堅く、フリューゲルホーンが一番管が太くて音が柔らかい。私は吹いた事がないのでよく分からないが、フリューゲルホーンが一番吹いていて疲れるらしい。

 演奏はもうご機嫌で聞いていると本当に幸せになってくるのである。難しい事も悲しい事も凡て忘れて幸せになってしまうのである。たった2杯のオンザロックでこんなに幸せになれるのは素晴らしい。2杯目が仲々来なくても全然気にならない程気持ちよかった。
 今日は特別な日なのでなのか、御大が出ているといろんな人が彼を慕って遊びに来るのか知らないが、飛び入りでトランペットとピアノが加わってのジャムセッションはもう最高であった。ピアノなんかメンバーのピアニストが弾いていると彼の肩を叩いて演奏の途中から人が変わったりして、本当にみんな幸せそうに演奏していた。

 入場料$15、オンザロック2杯$12、計$27で幸せ一杯に慣れた夜なのであった。



 結局15日の夜も幸せになりたくて聞きに行った。やはりこの日も飛び入りがいた。彼もトランペッターであったが、彼は自分のペットを持ってきていた。14日のトランペッターは本当に遊びに来ただけらしい。それで御大のペットを借りて吹いていた、という事らしい。それで少しマウスピースが気に食わないような顔をしていたんだ、きっと。

 15日も一番前でこの日の同席は韓国の若者で彼もビル・エバンスのリバーサイドの4枚の大ファンでここに来るのが夢であった、と言っていた。

 2日続けて深夜に幸せになって帰ってきたのであった。