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Theater Report 62
  

14.Feb.02 19:00
 “PETER & WENDY”
 詰まる所ピーターパンです。ピーターパンのお話をケルティックな音楽にのせて語り演じる人形劇、楽しそうでしょ。観たかったんですよ、チラシを見た時から。
 tktsにTicketが出ていないのでBOXOFFICEに直接買いに行くんだけど、先週の土曜日に行ったらその日は売り切れで入れず、今日行って来ました。前売りを買えばもう少し手に入り易くなるんでしょうが、どこそこの劇場には入れるぞ、と云う情報が何時来るか分からないので出来るだけ前売りは買わないようにしているので当日買いに行くので良く売り切れで入れない事がある。

 さて本題。
 この人形劇は、凡ての役の声をKaren Kandelと云う女性が1人で語り演じます。この人の語りは完璧で、良くこんなに老若男女様々な声が出るなと思う程でした。この語りに合わせて、人形遣いが人形や色んなものを扱って場面場面を構成していくという手法で楽しく美しく上演されていました。
 人形以外の物も色々実に巧く使っていて、何かの役になったりSetになったり、影絵もあったりと結構盛り沢山で観ていて飽きない、と書きたい所ですが少々飽きました。
 上演されているThe New Vidtory Theaterは子供向けの作品を中心に上演している劇場ですし、内容的にも子供向けの筈何だが、実は子供が余り喜んでいない。大人は実に楽しそうなんだけど、子供はもう一つ乗り切れていない感じであった。
 作者が欲張り過ぎたような気もするし、端折ればいい処で筆がのってしまったような気もする。つまり冗漫なんですね。音楽も語りもSetもアイデアもほぼ完璧で大変美しくピーターパンの物語を上演しているんだけど何か楽しくなりきれない。大体活劇場面がホンの少々なのに2時間30分は長い。勿論休憩を込みの時間ですが、それでも長い。
 それと子供にイマイチ受けていなかったのは、多分解釈が大変大人的なせいでもあると思う。私自身はピーターパンは結構悲しい話だと思っていたが、ここでは本当に悲しく終わる。成長しないPeterと成長して大人になったWendy、2人の出会い場面の悲しみは相当なもので、語りの女優は本当に泣いていた。彼女はカーテンコールで出てきた時も未だ泣いていた。「そんなに泣くなよ、白けるから」と声を掛けたくなった程である。
 解釈は色々あるし、元々悲しい物語ではあると思うのでしょうがないと思うけど、こんなに悲しく終わるピーターパンを初めて観た。大変美しく上演されているのにどことなく浮き浮きした処がないのはこのラストに持っていくための布石なのか、あまりに悲しい結末に役者達が楽しい気持ちになりきれないのか、話は結構淡々と進んで行く。皆さんも余り想像出来ないでしょ、静かに淡々と美しい「ピーターパン」。でもそんな感じでした。それはそれで良く出来ているのでいいけど、もう少し血湧き肉躍るシーンが欲しかった、私としては。

 音は全体的にはまあ良かったんじゃないかと思う、生演奏の音楽も生でやっている効果音も本当に美しくPAされていたし。これも上演形態上仕様がないとは思うけど語りの声のワイヤレスマイクの抜けが悪かった。様々な声を演じ分けるために喉に負担を掛けないようにしているであろうし、本当に囁くような台詞もあるのでしようがないと思うが、抜けは悪かった。最初はとっても聞き辛かった。慣れるのに30分以上掛かった。

 悲しい「ピーターパン」も偶には悪くないかな、と思った夜であった。