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Theater Report #57
         

07.Feb.02
 “CARNIVAL”
 「City Center Encores!Great American Musicals In Concert」
 City・Centerが1994から続けている企画で、毎年3本ほどの懐かしのMUSICALを上演している。
 これは今年の1本目。この後“Golden Boy”“The Pajama Game”が予定されている。

 “CARNIVAL”は1961に映画「Lili」をベースに製作され、719Stages上演されたと資料にあるが、何でそんなに続いたのか私には分からない。

 話は、父親を訪ねてきた田舎娘が、カーニバルの一座に加わる事になる。女ったらしのマジシャンMarcoに適当な事を言って口説かれ惚れてしまう。 
 どういう訳か突然MarcoのShowの看板を持って舞台にでる事になるが、マジックを見た事のなくて、場の空気が読めない馬鹿娘は一々大げさに反応して、Showの流れを邪魔し揚げ句にぶち壊してしまう。帰れと言われて田舎に帰ろうとする所を、よせばいいのに人形劇の人形が話しかけてきて、彼女は気を取り直して残る事になってしまう。
 その上そこで人形達と歌っていた歌を一座の頭が聴いて、これは行けると勘違いしてしまい舞台に出す事にしてしまう。人形遣いの中年男Paulは彼女を指導する内(このシーン3分位)に彼女を好きななってしまい、突然彼女にkissをして「モンスター、獣」と罵られる。唐突な展開である。その本番寸前に馬鹿娘は、矢っ張り出来ないと逃げ出してしまいShowは台無しになってしまう(そうなった筈なんだけど誰も騒いでなかった、妙である)。
 2人の中年男の間で揺れる馬鹿娘が折角今度こそ本当に田舎に帰ろうとしているのに、またもや人形が話しかけてくる。そこで人形に励まされた娘は、人形劇の舞台に掛かる幕を引きちぎって、そこにいるPaulと見つめ合う。Paulが人形を置いて去ろうとすると馬鹿娘が抱きついてきてハッピーエンド。めでたしめでたし、作者の頭おめでたい。

 途中笑える所もいっぱいあるが、中年男2人と馬鹿娘の三角関係という愚にも付かない話を延々3時間もやるというのどうかしてるんじゃないかと思う。こんなモン見て涙流すか?おばさん達?妙で謎の人たちなのである。

 このMUSICALが長くなった要因の一つにPaulを演じるBrian Stokes Mitchellと云う役者の人気がある。この人はトニー賞も受賞している有名俳優らしくこの人が歌い終わると一々拍手が鳴りやまず、それこそStandingOvationしそうな勢いで、そのたびに芝居が止まって次に行けない。本当にそれが長くて馬鹿娘に惚れちゃうシーンより長いような気がした。

 今回の上演はコンサート形式で役者はスコアーを持って唄っていた。これが芝居の邪魔で見ていてとても変。演技をするんなら持って出るのを止めればいいのに、時々台詞を確認するように見ていたからそうはいかないんだろうな。極めて中途半端な上演に感じた。

 音響的には、コンサート形式の上演の為か主要な役以外の人はワイヤレスマイクを付けておらず、Ensembleの人たちは舞台のあちらこちらに立てられたマイクの前で唄っていた。このマイクが舞台前に7本も並んでいて下で見ている人には邪魔だったんじゃないだろうか?多分マイクはAKGの451か460あたりで1m位のExtensionTubeが使われていた。幾ら細くても邪魔だと思うけどなあ。
 音はCenterClusterから声、舞台から生々しいオーケストラが聞こえてきて変だった。私の席では舞台から声が聞こえるようにする事は難しいとは思うが、それならばオケももう少しCenterClusterや3階席狙いのスピーカーから出したらどうだろう。スピーカーは1階席用にd&bが1対仕込んであった以外はこのホールの常設の物を使用していた。

 私は3階席の5列目で見ていたのだが、この席は通路の手すりが非常に良い所にあり舞台の中心部分が全く見えない。それを交わすように頭を下げると前の人の頭が舞台の半分近くを隠している。隙間を見てけては舞台を観ると云った感じでこれも非常に疲れた。

 然しこのMUSICALの何処がGreatなんだろう?